最近、成長著しい部下を見て思うことは、「こうすれば伸びるよ」って教えることが指導者の役割ではないことです。
指導のゴールを、「作業1~10までできること」のようなことに設定して何が起きるかと言うと、作業1~10しかやらなくなるということです。
仕事って、作業1の発展形作業1+とか、1αみたいなものが現れる世界です。でも、ちょっと変化しただけで対応できなってしまうのです。
これを、ずっと私も勘違いしてて、「そうか、作業1~10で足りないなら、作業1~100までやろう。1000までやろう。」みたいな指導法をすると、どうなるかというと部下はいつしかパンクしてしまうのです。「この前教えたよね?」って、だいたい師弟関係の危険信号になりますよね。
じゃあ、何を指導のゴールにするべきか。
「この範囲については、あなた(たち)に任せます。ただ、失敗はできないので、実施する前には私の確認を受けてくださいね。」という姿勢です。
一人に任せると、一人で悶々と悩むかもしれないので、複数の部下をチームにしたほうが良いと思いました。そして、作業が1なのか10なのかというより、自分たちの作業範囲について定義した上で責任を持たせたのです。
そして、わからないことについては積極的に支援。あくまでもサポートをする態度で寄り添うというのが指導者としてふさわしいと思いました。
これが・・、機能することと言ったら・・。人に依存する話だとは思いますが。
作業の順番なども部下の自由です。ただ、優先度を上げて欲しいことについては、はっきりと上司から部下に伝え、優先順位の付け方や判断理由は言語化し共有します。任せると言っても統制は必要です。
作業単体より、全体の作業群をどのように仕上げていくかについて、助言と指示を与えるイメージです。個別のことは相談を受けない限り自由にやらせる。
こうやって、責任範囲を明確にした上で一任すると、部下も仕事もやりがいが出てくるようで、自分がこの範囲については寄与しているという自覚が出てくるようです。モチベーションの向上は、仕事の質まで上げます。作業をやらされているという感覚と、作業全体を把握しコントロールするという感覚。全く仕事に対しての発想が変わってくるんですね。
自主性を重んじるとは言いますが、放任というわけじゃないんです。その責任範囲は確実に仕上げないといけないですし、これまで何をしてこれから何をしようとしているかも、外部に向けて発信する必要があります。部下を管理するのではなく、部下が管理されるために情報を作り上司や顧客に発信する。これができるようになったら、途端に部下は伸びますし、上司は始終見ている必要もありません。
部下の仕事を年中監視しているようなマネージャーは、これは部下を伸ばしません。部下の自主性を否定しているようなものですからね。
この、私がさんざん失敗してたどり着いた指導の在り方ですが、失敗の積み重ねで発見するのではなく、初めから誰かに教えてもらいたかったです。そういう意味では、もしこの記事を若いうちに読んでいる方がいるとすれば、それはラッキーだと思います。ぜひ自分がマネージャーの立場になったら、今回の話を思い出してみてください。