orangeitems’s diary

クラウド専任の40代インフラエンジニアが書くブログ。新規事業マネージャー。20世紀末の就職氷河期スタート時にIT業界に文系未経験で入りこみそのまま生き残った人。

競合他社に転職して、どこまで情報を秘匿するべきか

 

ちょっと真面目に考えてみたい、この件。

 

www.yomiuri.co.jp

 回転ずし大手「はま寿司」の営業秘密のデータを不正取得したとして、「かっぱ寿司」を運営する「カッパ・クリエイト」社長の田辺公己容疑者(46)らが不正競争防止法違反容疑で逮捕された事件で、カッパ社がデータに含まれていたすしの原価などを表にまとめ、経営幹部の間で共有していたことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁はメニュー開発や価格設定の参考にしていたとみている。

 

競合会社からの転職なんてIT業界では日常茶飯事ですよね。どの会社でも秘密保持誓約書を書かされ、業務で知りえた情報は外に漏らさないことを確約させられます。それは退職後に対しても同様であり、今回も転職が大いに絡んでます。

ただ、転職した先で、前の会社で知りえた情報を「一切」漏らさないとしたら、それって仕事になりませんよね。前の会社の経験を買われて転職するのですから、あらゆる全ての情報を使えないのは不自然です。

きちんと、「何がダメなのか」を押さえておくべきです。

経済産業省が、理解しておくべき要件を、シンプルにまとめてくれています。

 

www.meti.go.jp

不正競争防止法では、企業が持つ秘密情報が不正に持ち出されるなどの被害にあった場合に、民事上・刑事上の措置をとることができます。そのためには、その秘密情報が、不正競争防止法上の「営業秘密」として管理されていることが必要です。

 

そう、この「営業秘密」という情報こそが今回のポイントです。

営業秘密には3つの要件があるそうです。

 

①有用性

・情報自体が、第三者が客観的に見て、事業活動に利用されていること。

・その情報を利用することで、経費削減・経営効率改善につながっていること。

②秘密管理性

・従業員に、ある限定された情報が「秘密情報である」と明確に示していること。

・従業員が、ある限定された情報を「秘密情報である」と認識できること。

③非公知性

・アクセス権が設定されており、アクセス権のある人だけがその情報を入手できること。

 

これは大事な話ですね。営業秘密と会社が主張する以上は、会社はいろいろやらないといけないということです。従業員は秘密情報が何で、それを知ることができることも大事。そして、きちんとアクセス権が設定されていて守られていること。最も大事なことは、その情報が経営にダイレクトに活かされている必要があるということです。

会社には情報があふれているので、どれが営業秘密でどれがそうでないか、一個一個判断するのは難しくないですか?。しかも退職した後まで縛られるのは厳しい。

企業では、この複雑さをシンプルにするために「業務を通じて知りえた情報全て」みたいな言い方をしますが、法律違反にまで発展するためには上記の3つを全て満たす必要があります。

 

※この記事が詳しい

www.roudoumondai.com

 

例え事業に使っていた情報だとしても、従業員がそれを認識していなかったら営業秘密と認められないこともあります。アクセス権も管理されておらず、その情報が秘密扱いされていなかったとしたら。そして会社の営業秘密とはどの情報かという教育を従業員にしていなかったら。これは会社にとっても不利ですし、従業員も「それが営業秘密とは認識していなかったし、会社からも教えてもらえなかった」と言い張ることができると思います。

今回の事件の場合、前の会社では幹部だったということで、原価や仕入先の情報が営業秘密にあたるなんて本人は当然ご存じだったと思われます。①も②も③もきれいに満たしているように、記事を読む限り、見えます。

 

IT業界の場合は、一般的な技術スキルは事業に使っていますが、その他の会社もその技術スキルを知ることができる以上は営業秘密ではないですね。

ただ、協力会社はどことお付き合いしているとか、単価の計算方法などまで踏み込むと、これは完全に営業秘密になります。結局のところ売上や利益に直接絡むような情報は危険と言えます。

上記の営業秘密に関する3つの要件、とてもわかりやすいので頭に入れておくと、危険な目に遭うことが避けられます。特に転職の時には気を付けたいものです。