テレワークでさぼるエンジニア、という見出しは面白い。
Q.28歳のシステムエンジニア(SE)です。3週間前までは、出社の必要がなければ、毎日テレワークしていました。今は週2日までテレワークで、それ以外は出社勤務と言われています。就業中のプライベートの外出がばれたからです。上司が私に電話した際、店内の音楽が背景で聞こえて「おかしい」と思ったようです。うっかりしていました。過去の操作ログもチェックされたようです。テレワーク当日は上司から電話が数回あり、さぼっていないかの確認と、作業遅延に関する愚痴と叱責が長々と続きます。監視されているみたいで、つらいです。
つらいです、という質問はもっと面白い。
この上司は、いわゆるマイクロマネジメントをしていると思う。毎日数度電話するなんてはっきり言って異常だ。そもそもシステムエンジニアなのに、電話を使ってコミュニケーションをしている時点で効率が悪すぎる。
テレワークをする時点で、チャットやWeb会議などのコミュニケーション環境をきっちり整えないといけない。突発的な仕事があるとして、それを上司が部下に振ったときは、部下はすぐに応答しなければいけない。それだけで部下の仕事に対するレスポンスなんて確認できる。あとは結果がふさわしいスピードであるかを確認すればいい。
仕事ができない原因を、テレワークに求めるのならそれでも構わない。オフィスで仕事を強制的にさせました。そのときにテレワークに比べて、目に見えて成果が上がる。それなら本人のためにもオフィスに出した方がいいだろう。仕事ができて困る人はいないし、大抵の人がうれしいはずだから。
逆に、テレワークとオフィスの仕事量に大差がない人もいる。そういう業態もある。私の理想は、
・オフィスでしかできないことをオフィスでやる
・テレワークでしかできないことをテレワークでやる
・あとは、自分の好みで場所を選んで仕事し、快適さを得る
という3条件である。
それぞれでしかできないことはある。例えばオフィスでは、リアルに人と会って話ができるので、情緒的なコミュニケーションにはすこぶる向いている。一方で、オフィスではWeb会議をするときに場所が無くて辛いことがある(あくまでも弊社では)。また、たまにうるさい。だから、オフィスで仕事しなくてもいいときは、オフィスに行かない。通勤も面倒だ。テレワークだからこそ集中できることもある。
また、オフィスに行ったところで、さぼるときはさぼる。それは見た目上さぼっていないように振る舞っているだけで、実際なところオフィスでもサボるときはサボる。
これらの条件を行える責任がある人は、仕事のアウトプットをきちんとできる人だ。どこにいようと、責任を果たし成果を最大化してくれるという信頼を得ている人は、上司も管理をする必要がない。また、電話を何度もかけて在籍確認なんて、マネジメントの範囲をゆうに超えている。だから、質問者は辛いのだ。
よくよく考えると、マネジメントの本筋としては、仕事をしない社員に対しては、仕事をしない結果をエビデンスとして厳しい人事評価やコメントを行えばよいだけなのだが。部下が「辛い」と思っている時点でマネジメントとしては二流三流な気もする。
今の時代、上司が部下を育て上げねば!と力む時代ではなく、部下が自律的に育つ環境を整えて、応援するというストーリーの方が向いている。「あ、この部下、テレワークでは結果が出ないな」と思った時点でさぼりを疑い叱責するのではなく、「結果が出ないので、オフィスでみんなで仕事をすることを試してみよう」とオフィスに巻き込むのも手だと思う。本人も仕事で結果が出たら、オフィスで仕事したほうがいいんだな、という発見があるかもしれない。
そう、やっぱりマネジメントにおいて「叱責」という言葉が出てくる時点で何か狂っていると思っていいと思う。叱責をしないで、部下をいい方向にもっていく方法こそ追求しなければいけないのかもしれない。