orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。


IT業界の迷信を3つほど斬る

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はじめに

20数年前にIT業界に入門してまだ退門していないので生き残りとも言える私ですが、いろんな迷信に出会ってはそうならないことに遭遇してきました。そして今もまた迷信が生まれ世の中右往左往しているのですが、もうここまで業界にいるとそれはないなと思うことがいくつかあります。

今日はそんな迷信をいくつか振り返ったり、評価したりしてみようかなと思います。

 

迷信レビュー

 

クラウドの登場によりインフラエンジニアはいらなくなる

2012年くらいにこんなことが言われだし、今もってそんなことを言う人はいます。

 

news.mynavi.jp

4本のレポートの共通タイトルを「4年後には職業がなくなる!? クラウド時代のインフラエンジニアの未来」としたが、すべてのスピーカーの方々に共通していたのは、「インフラエンジニアは不要な存在にならないが、インフラエンジニアに求められるものは変わる」という見解だった。

 

2019年の地平に立つと、インフラエンジニアは不要どころか引く手あまたになっています。むしろ、今、インフラエンジニアを育てるのは非常に難しくなっています。企業がクラウドを積極利用しだしたことにより、オンプレミスの経験を若手に積ませることが難しくなってしまいました。オンプレミスの経験と言ってもオフィスのサーバールームに物理サーバーを置くというような基礎的なことではなく、データセンターにインターネット回線を引き込みストレージやスイッチ、物理サーバーをラッキングし仮想環境を構築、というレベルです。

クラウド事業は大資本のパブリッククラウドに収れんしつつありますから、実際にその運用に携わるか。もしくは大企業のプライベートクラウド構築に携わるか。どちらにしろインフラエンジニアの育成シーンが限られるようになってきているため、「インフラエンジニアです」と名乗る人はどんどん少なくなる。今そのスキルセットを持っている人はクラウドによって仕事が無くなるなどあり得ない、と言っておきたいと思います。

最近思うのは、クラウドネイティブ、つまりはじめからクラウドしか触ったことがないしデータセンターに入ったこともない。物理サーバーに触れたこともない。そんな若手が育ちつつある現状です。AWSしかさわれません。Azureしかさわれません、という人が増えてくるのではないかと危惧していて、それはプログラマーで、Javaだけです、Pythonだけです、ということと似ていて、リスクがあることだけは言っておきたいと思います。真にインフラの知識を身に着ければ、どのクラウドでも使いこなせて然るべきです。

 

SESの時代が終わり、フリーランスの時代が来る

来ないですね。

この話、言われ続けてもう何年も経ちます。

企業は、個人事業主との取引を嫌います。信用のある法人とつきあいたいし、資本は大きいほど良い。問題が起こっても何とかしてくれるし、無責任に逃げると信用が落ちるから契約トラブルも少ない。

フリーランスはそれでは困るので、数人のフリーランスが結集し、法人化します。法人化して企業とどのような契約を結ぶかというと、ここでSESが登場します。会社が伸びるとさらに人員を募集し、会社が大きくなっていく。

このテンプレート的な成長戦略で何社ものSES企業が生まれていて、上場している会社すらあります。

このSES会社に反抗し、フリーランスを始めたところで、成長を考えた途端にSES企業のルートに乗ってしまうのです。

悪いことだとは思いませんが、SES企業は給料が低くてダメ、これからはフリーランスの時代でフリーランスなら給与が高い。そんな話を真に受けて安易に何とかスクールにお金を払いITエンジニアデビューをしようとするのはお勧めしません。

仕事を請けるためには、営業力がまず必要です。仕事が受注できなければ収入はゼロです。特定企業にだけ入りこんで安定的に収入が得られる場合も、リスクを考えると常に案件情報は手に入れなければいけない。税務処理も行わなければいけない。ITの技術以外にもやらなければいけないことがたくさんあるのがフリーランスの世界です。

フリーランスが単独で、雑務を行っていると無駄が多いので、法人化し分担しているうちに、SES会社になってしまうので、正直、見た目上のフリーランスの待遇に騙されることだけはやめたほうが良いと思います。なぜそんなに時給や月給が高いのか。理由があります。SES会社に入れば雑務処理は会社にすべて任せて、案件に集中できますからね。

SES会社に十年くらい務めて、実力をつけてからフリーランスになるというのが本来かなと思います。経験もないのにフリーランスは、無理かと。いきなり雑務処理に追われて詰むし案件の受注すらしんどい。

もしくは、Web業界で凄腕のシステムエンジニアとして名を馳せ、自己ブランディングできるとすればスーパーエンジニアとしてフリーランスとなれると思います。でも普通はCTOとかになるでしょうけどね・・。

 

世の中のソフトウェアはオープンソースだけになる

時期によっては、すごい勢いでしたねオープンソース。

ただ最近は考え方が変わっています。

作ったりメンテナンスして価値を保ち続けるために、お金が不要なわけがない。

もし作り手が「やーめた」と言ったときに、誰かサポートを引き継がないとそのソフトウェアが更新停止になってしまい、新たな脆弱性や、新しいOSなどに対応できなくなってしまう。

オープンソースと言っても勝ち組は決まっているので、これらのオープンソース資産を正しくビジネスに載せていくために、企業が支援するというのが今や当たり前になっています。そうすると、支援企業の意思がオープンソース資産の行く末を決めてしまうので、結局は企業の有償ソフトウェアと同じになっていく。

一方で、オープンソース自体に責任を持つ企業は、経営が難しくなっています。フリー版と商用版を作り、商用版のサポートで食いつなぐビジネスモデルは、フリー版が優秀過ぎてキャッシュが集まらないという矛盾をはらんでいると思います。SIに強みがありそのソフトウェアを通じて案件獲得を目指すというのが王道で、ソフトウェアの販売というよりはソフトウェアを通じたSIがビジネスとなってしまう。

オープンソースを採用するときは、どの企業が支援しているのか。その企業は安定経営しているかどうか。そんなことを考え出すと、それは有償ソフトウェアを採用するときと何ら変わりないのかな、と思います。

 

備考

現在実施している、東京モーターショーに、日本IBMが出展しています。

 

www.nikkei.com

東京モーターショーではIT(情報技術)面での動きも目立った。日本IBMはブースを初出展し、デンソーはソフト人材を大幅に増やす方針を示した。自動車各社は自動運転といった次世代技術「CASE」への対応を急いでおり、システムやソフト開発の重要性が増しているためだ。海外では珍しくないというが、日本のモーターショーにも変化が現れている。

 

一方で、昨日実施されたIT Weekには日本IBMは出ていない。

もう、IT業界、って言う言葉自体が、実体のない幻なのかもしれないなと思う時があります。ITを使う、ってだけならもう全業種の課題になっていて、使っていればIT業界というならば世界全てがIT業界です。ついに自動車業界にまで染みだしてきた。

IT業界が成長すると言うより、全業界のIT化が進むと言った見方をした方がよいと思います。働く場所も柔軟に考えないといけません。