orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

中小企業のDXがなかなか進まない理由

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中小企業の情報システムに対する扱いは昔はもっと今より悪く、総務の雑多な仕事のうちの一つだった。パソコンを調達したり、サーバーを社内に置いたり、ソフトウェアを調達して使えるようにしたりと、下働き要素が強かった。専任ではないことも多く、何かの仕事をしながらコンピューターの面倒を見るということも多い。「パソコンが起動しないんですけど・・」という社員のめんどうを見ているうちに一日が終わることもざらだ。

一方で、世の中はDXという言葉が盛り上がっているものの、大企業ばかりが先行しており、中小企業はやっぱり周回遅れらしい。

 

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新型コロナウイルスの感染拡大で非接触化やテレワークの導入が広がるなか、企業にとって有効なコロナ対策の一つであるDX(デジタルトランスフォーメーション)化が「できている」かどうかを聞いたところ、「できていない」と答えた人はは全体の51.3%で過半数を超え、「できている」(17.4%)との回答を大きく上回った。

 

このDXと言う言葉もなかなか捉えにくい言葉であるが、旧来の情シスの役割から考えると進まない状況はごくごく自然と言える。

 

「DX化ができていない」とことは、デジタルツールの導入がはかばかしくないということだが、調査でその理由を聞くと、最も多かったのは「ツール導入後の明確なビジョンを描けていないから」(15.7%)で、次いで、「デジタル活用に長けた人材が不足しているから」(15.5%)、「どのツールが良いのかわからないから」(14.7%)との答えが多かった。

 

ということらしいが、これは逆に私のようなデジタルツール漬けで仕事をしている人間から考えると想像もできない世界が広がっているのだろう。

中小企業がデジタルツールに対して近づけない理由は、まさに、どうやってデジタルツールを使って仕事するかの想像がつかないことが原因のように思う。

・・というツールがあることは分かった。料金も機能も分かった。で、私たちの仕事はどういうふうに便利になるんだい?。なんで変えなきゃいけないんだい?。大企業なら使う理由もあるかもしれないが、私にたちには・・という具合だ。

ただ、私がそういった企業に移ってかりに情シス担当となったらどうするか。それはもう、過去の仕事の方法を紹介し、こうやってやってみませんか、慣れるまでこっちでやりますよ、とリードしまくるだろう。だって、SaaSを使って仕事するのは、どう考えても効率的なのだから。SaaSはいろんな客の動向を掴み機能を拡張していく。いちいち環境構築しなくてもすぐ使えるし、仮に馴染まなかったら止めてしまえばいいんだから。

そう考えると中小企業の情シスの役割は大きく変わると言える。

・様々なSaaSについて活用方法を知ること

・自社の業務知識を勉強し、SaaSがどうフィットするかを考察し、積極的に組み入れること。

・デジタルに詳しくない社員をコーチし、使い方の伝道師となる。

・たくさんのSaaSを適材適所に導入し、また、SaaS間で連携することを検討する。

これらは、硬直的な情シス像とは全然違う。業務とデジタルを結び付けるキーマンとなるし、実際やっていることはDXに近いと思う。

社内に物理サーバーを導入し外部ベンダーと協力してシステムを構築したり、パソコンのお守りをする、機械中心の役割ではない。まず業務があり、そしてSaaSがある。それらは無形のものだ。SaaSが何より良いのはシステム構築期間が不要なこと。ただ、SaaS独特のリスクももちろんあるので、リスクと便利さのバランスを絶えず取っていく役割となる。

おそらく、こういった、デジタルツールを使いこなした仕事の仕方を身に着けている人材が不足しているのだと私は思っている。DX人材と言うと、すぐAIやデータサイエンスを思い浮かべる人は多いが的外れだ。特に中小企業においては、出来合いのSaaSをすぐに持ってきて業務にフィットさせる能力が高い人の方が求められると思う。

例えるならば、保険会社や商品が乱立した時に、複数の保険を紹介する「ほけんの窓口」が成長したものだが、DX人材も、複数のデジタルツールに熟知しアラカルトで会社全体に導入し、生産性を上げていく役割が求められる。開発スキルよりも、利用スキル、業務スキルと言った能力が必要になる。

また、業界ごとに、どういったツールを入れたら成功するかという事例を知ることも大事となってくる。中小企業のDX成功には、情シスの成長が欠かせない。