orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

人を増やしていく組織の育て方を検討する

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組織に人を増やしていく、考えるべきポイントとは

新規事業を立ち上げるなど会社内で事業組織を新しく立ち上げる場合に、いきなり数十名、数百名の人数で開始するというのは稀だと思います。まずは少人数で立ち上げ、そこから事業規模とともにスケールアウトしていくことが手堅いでしょう。

スタートアップやベンチャーと呼ばれる若い企業でも同様のパターンと思われ、いきなり人数を抱えると人件費でしばらく首が回らなくなります。赤字を続けられるほど体力があれば別ですが。

コロナ禍の状況においてはこの手の話は実は珍しくなく、新しいビジネス業態に否応なく挑戦しないと生き残れず、むしろ盛んになっているのではないかと推察しています。

この記事では、自分が一人で立ち上げた組織を十人にまで増やすシミュレーションをしています。組織の成長フェーズでいろいろと人々の立ち位置が変わっていきます。

 

 

シミュレーション

組織=1名(自分)

たいてい、偉い人の部屋に呼ばれ「君に新しい事業の立ち上げを任せたい。まずは一人部署だががんばってほしい。」と告げられることから始まります。

私も一度だけそういうことがありましたが、いざそうなってみると、ひとりぼっちを痛感します。相談するにしたって実質その指示をした偉い人としかできず、偉い人もそこまで暇じゃないので自分一人で悶々と行動計画を考えることになります。

この時に必要なことは、何しろもう1名増やすことです。

人を増やすことを目的とするのはこのフェーズだけです。仲間ができたら後は事業規模で増員を考えていけばいい。しかし、1名というのは特別です。なぜかと言うと自分が倒れたら誰もフォローできないからです。

だから、1名の段階でたくさん現場の仕事を抱え込むようなことをしたらいけません。できればフリーハンドで、ほぼ仕事が無い状態ではじめ、今後の行動計画を作ります。この行動計画は、「これだけのビジネス、事業規模を目指すなら、1名ではダメだよね」と偉い人に説得するための材料なのです。

行動計画をスタートさせてしまったときに、1名だと企業として責任あるビジネスにならない。だから「じゃあ若手を付けるか」となるようなストーリーをこの段階で作るのです。

人を増やさないなら、この行動計画はできません。そう言い切ることが大事なフェーズであると思います。

 

組織=2名(自分+部下)

さて、1名、部下としてメンバーをつけてもらいました。

このときの「自分」はプレイングマネージャーです。自分が全部やりきることになるのでマネージャーよりプレーヤーに近い立ち位置です。しかし全て部下に業務内容やプロセスを共有します。自分と同じくらいできる人なら自分のクローンになってくれそうなものですが、たいてい、新規事業立ち上げ時にはいきなり優秀な人はアサインされません。ですから教育的観点が必要になります。自分が、組織のプロセスを作りながら、それを実践しながら、常に部下と一緒に動くことで、部下がそれをおぼえて行きます。

プレイングマネージャーの日々、です。

 

組織=3名

さて、組織が3名になると部下が2名になるのですが、ここで考える必要があるのがこの2名のうちどちらを将来の「リーダー」にするかです。

自分がプレイングマネージャーであり続けるのは2名のときと変わらないのですが、だんだんと部下が育つと、一部の簡単な仕事は部下だけに仕事を任せられるようになります。その場合には自分は部下の仕事をレビューし問題ないか把握することが主題となってきます。いよいよ自分自身もプレーヤーを離れマネージャーの立場も必要となります。

仕事を部下2名に任せるとき、どちらが最終的な責任を持つかという決めが必要で、その際にマネージャー候補を絞ることになります。つまり、2名をミニチームとして仮定し、その中の一人をリーダー候補として自分が指導することになります。

一方で、部下がまだできないことや、部下の手が回らないときなどは機動的にプレーヤーとして動く必要もあり、柔軟性が求められると思います。

 

組織=4名

さて、4名になるということは、部下が3名ということです。

2名が3名になると痛感するのですが、全員を把握するのが難しくなります。何かを伝えるにしても、1名や2名に伝えるときはそれぞれに言葉をかければいいのですが、3名になった途端に同じ方法が難しくなってきます。

質問に答えるにしても、それぞれの理解度があるので全員フォローすると時間がかかりすぎるのです。

ですから、部下3名のうち1名を明確にリーダーに位置づけ、自分はそのリーダーに対して業務指示を伝えることになります。

部下3名がチームだとすると、その中に未習熟なメンバーがいる場合は教育も、リーダーが考えます。4名になった時点で自分がまだプレイングマネージャーで教育も自分がやりだすと、途端にマネージャーとしての行動力がそがれてしまうので要注意です。

自分は業務全体を考え指示をリーダーに出すことに専念しつつ、本当に手を動かした方が良い場合のみ、プレーヤーとして行動することになります。指示が遅れた場合は組織全体の生産性が一気に下がるので、マネージャーの責任も重大です。そしてリーダーはリーダーとしての自覚が必要です。

 

組織=5名~10名

ここからは現場の仕事内容によって、やり方が変わってくると思われます。リーダーも、部下をたくさん抱えると見切れなくなります。ですから、チームを2つ以上に分割しなければいけなくなります。分割した場合に、それぞれのチームにリーダーを立てることになるでしょう。

ですから、リーダーが次のリーダー候補を育てていくことが義務であり、マネージャーはその文化を浸透させる必要があります。

マネージャーはここまで来ると全部の部下のプロセスを見て行くことはできないので、リーダーと常に正確かつ頻繁なコミュニケーションを行う必要があります。また、リーダーが複数になると縦割りの弊害も出てくるので、リーダー間のコミュニケーションも別途必要になります。チームで人手が足りないときなどは、融通しあうことも出てくるでしょう。

また、チーム数が増えすぎると、マネージャーが全て統括するのが難しくなってくるので、チーム統括のような立場なサブマネージャーも必要になってくるかもしれません。

 

 

役割の変化を感じ、行動を変えていくことが重要

プレーヤーとしては一流だったのに、リーダー・マネージャーになって輝かなくなる人の特徴として、役割の変化を感じず頑なにプレーヤーとしての自分に固執することが原因であることが多いです。人によっては、仕事を抱えすぎてパンクし、かつ部下は手が空いている。なぜ仕事を振らないかと聴くと、忙しいから。部下に技術がないから。教えるのが難しいから。これでは人だけ増えただけで、組織は成長できません。

また、逆にマネージャーとしての自分にあぐらを書き、プレーヤーとしての自分を見失っていき、最後は現場が自分のスキルを凌駕してしまい、「妖精さん」の仲間入り、というケースもあります。

組織の成長が役割を作り出し、それに応じて人々が最適化し行動を変えていくことが重要です。

私自身は、マネージャーとして組織の成長段階をプロデュースできたら、次の新規事業のためにまた「ひとりぼっち」に戻り、またプレイングマネージャーへと思ってはいるのですが、それができるというのは事業が成功した時になりますから、幸せなことだなと思います。