orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

IBMの分社化に関する正しい理解 クラウドサービスはどうなるのか

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https://www.ibm.com/us-en/?ar=1

 

IBMが分社化する。

過去、HPがHPとHPEに分社化したことを思い出します。

IBMの分社化については、本日の朝2つニュースがありますが表現が断片的であるため、正しい解釈をする必要があると思っています。

 

www.bloomberg.co.jp

米IBMは、クラウドサービスを手掛けるマネージド・インフラストラクチャー・サービス部門をスピンオフし、上場させる計画だ。大手クラウドサービス事業者へのシフトを加速する。

 

jp.reuters.com

米IBMは8日、従来事業からの多角化を図り、利益率の高いクラウド事業に注力する取り組みとして、2社に分割することを発表した。

データセンターの技術サポートなどアウトソーシングサービスを提供するITインフラサービス部門を2021年末までに別会社として分離し、上場させる計画だという。

 

ブルームバーグは「クラウドサービスを手掛ける部門をスピンオフする」、ロイターは「クラウド事業に注力するため、ITインフラサービス部門を別会社とする」。いったい本体のIBMはクラウドをどうしたいのかについて、この2つのニュースを見ると混乱します。

IBMはクラウドを切り離すのか。それとも中核として残すのか。IBM Cloudはどうなるのか、ということをはっきりさせる必要があります。

IBMという会社はこの前Red Hatを買いましたし、そうかと思えばLenovoにPC事業を売ったり、Notesを手放したりと、どんどん形を変えていきます。

今回の分社化は、どこの何を切り離すのか。

 

 

こういう時は、原文を読むのが重要です。

 

newsroom.ibm.com

 

日本語に翻訳します(ほとんどGoogle翻訳)。

 

ニューヨーク州アーモンク、2020年10月8日/ PRNewswire / -IBM(NYSE:IBM)は本日、ハイブリッドクラウドの成長戦略を加速してクライアントのデジタルトランスフォーメーションを推進すると発表しました。さらに、IBMは、グローバル・テクノロジー・サービス部門のマネージド・インフラストラクチャー・サービス部門を新しい公開会社(「NewCo」)に分割します。これにより、業界をリードする2つの企業が生まれ、それぞれがクライアントと株主の価値を高めるための戦略的な焦点と柔軟性を備えています。

この分離は、IBM株主への非課税のスピンオフとして達成され、2021年末までに完了する予定です。

「IBMは1兆ドルのハイブリッド・クラウドの機会にレーザーの焦点を合わせています」と、IBMの最高経営責任者であるArvind Krishnaは述べています。

「当社のハイブリッドクラウドプラットフォームの採用が加速している一方で、アプリケーションおよびインフラストラクチャサービスに対するクライアントの購入ニーズは多様化しています。今こそ、彼らが最も得意とすることに焦点を当てた2つの市場をリードする企業を設立する適切な時期です。IBMはオープンハイブリッドクラウドプラットフォームに焦点を当てます。 新会社は、世界で最も重要な組織のインフラストラクチャを設計、実行、および最新化するための俊敏性が向上します。両社は、パートナーと新しい機会を獲得する能力が向上し、成長軌道が改善され、クライアントと株主に価値をもたらします。」

「私たちは、IBMを、ハイブリッドクラウドの新時代に位置づけています」

とIBMのエグゼクティブチェアマンであるGinni Romettyは述べています。

「私たちの複数年にわたる変革により、オープンハイブリッドクラウドプラットフォームの基盤が構築され、Red Hatの買収により加速しました。同時に、マネージドインフラストラクチャサービスビジネスは、複雑な分野で比類のない専門知識を備えた業界リーダーとしての地位を確立しました。 IBMと新会社は、2つの独立した企業として、それぞれの強みを活用します。IBMはクライアントのデジタル変革の旅を加速し、新会社はクライアントのインフラストラクチャの近代化の取り組みを加速します。イノベーション、そしてクライアントのためのより迅速な実行にフォーカスすることで、価値が高まり、増加します。」

 

大手ハイブリッドクラウドおよびAI企業であるIBM

IBMは、1兆ドルの市場機会を表すオープンハイブリッドクラウドプラットフォームに焦点を当てます。IBMのハイブリッドクラウド基盤に基づいて、同社はRed Hatを買収し、クライアントにとってクラウドの価値を最大限に引き出し、プラットフォームの採用をさらに加速させました。このプラットフォームは、強力なAI機能の展開を容易にして、データ、アプリケーションモダナイゼーションサービス、およびシステムの能力を実現します。これらはすべて、セキュリティ、業界における比類のない専門知識、およびクライアントがIBMに期待するオープンソースイノベーションへの深いコミットメントによって支えられています。

IBMは、より緊密な統合とオープンハイブリッドクラウドおよびAIソリューションへの注力により、収益の半分以上がサービスである企業から、過半数が高価値のクラウドソフトウェアおよびソリューションである企業に移行します。IBMはまた、ポートフォリオの50%以上を経常収益に持つことになります。

RedHat OpenShiftに基づくIBMのオープンハイブリッドクラウドプラットフォームアーキテクチャーは、ベンダーに関係なく、クライアントの既存のITインフラストラクチャーの全範囲で機能します。このプラットフォームにより、クライアントは「write-once / run-anywhere」が可能になり、パブリッククラウドのみのソリューションよりもクライアントに最大2.5倍の価値をもたらすハイブリッドクラウドアプローチが可能になります。

IBM独自のフルスタック機能とパートナーの大規模なエコシステムおよびISVはイノベーションを提供し、クライアントがハイブリッドクラウドとそのデータの価値を最大限に引き出すことを可能にします。

データとAI、自動化、セキュリティに焦点を当てたIBMのソフトウェアポートフォリオは、オープンソースを通じてイノベーションへの幅広いアクセスを可能にします。

IBMのビジネス、戦略、およびテクノロジーのコンサルタントは、既存のアプリケーションを最新化し、主要なオープンハイブリッドクラウドプラットフォーム上に新しいAIを取り入れたデータ分析機能を構築することにより、クライアントの変革を支援します。

IBMの安全でミッションクリティカルなパブリック・クラウドは、必要なすべての規制管理を提供するように設計されており、クライアントにオープンソース・ソフトウェア、セキュリティ・リーダーシップ、およびエンタープライズ・グレードのインフラストラクチャーの基盤を提供します。

ハイブリッドクラウドプラットフォームと統合されたIBMのシステムビジネスにより、クラウドネイティブの開発者はIBMのハードウェアの独自の機能を活用できます。IBMは、クライアントとの長期的な関係を活用して、企業が最もミッションクリティカルなコンピューティングのニーズに依存するハードウェアの革新を推進し続けます。

この戦略的加速の一環として、IBMは、スピードと成長のために運用モデルを簡素化および最適化するための措置を講じています。これには、地理的モデルの合理化と、顧客との関わりとサポートを向上させるための市場参入構造の変革が含まれます。IBMは、共有サービスの統合も続けています。この簡素化された焦点を絞った運用モデルは、ハイブリッドクラウドのイノベーションの加速をサポートし、成長分野への投資を増やすための柔軟性を高めます。その結果、収益と利益の成長を改善するための明確な軌道を備えた財務プロファイルが強化されます。

 

大手マネージドインフラストラクチャサービス企業である新会社

新会社(後日名前が付けられる)は、すぐに世界をリードするマネージドインフラストラクチャサービスプロバイダーになります。Fortune 100の75%以上、600億ドルの受注残、最も近い競合他社の2倍以上の規模を含む、115か国の4,600を超えるテクノロジー集約型の高度に規制されたクライアントと関係があります。

新会社は、5,000億ドルの市場機会である、クライアント所有のインフラストラクチャの管理と最新化に完全に焦点を合わせます。比類のない専門知識を活用して、ホスティングおよびネットワークサービス、サービス管理、インフラストラクチャの最新化、マルチクラウド環境の移行と管理を提供します。これらは、クライアントの運用の中核となる重要なサービスです。

合理化されたビジネスモデルにより、新会社は、企業がAIと自動化を通じてパフォーマンスを最適化するのを支援することにより、価値を創造します。新会社のサービスにより、企業はインフラストラクチャとデータセンターに俊敏性と効率性を組み込むことができます。新会社は、何十年にもわたって構築されてきた関係により、あらゆる業界の比類のないクライアントの名簿のためにインフラストラクチャをより適切に近代化することができます。

新会社は、マージン拡大、利益成長、および現金生成の機会を増やしながら、次世代の革新的なマネージドインフラストラクチャサービスへの投資を増やすことでリーダーシップを拡大します。

新会社はまた、IBMとの強力な戦略的パートナーシップを維持し、既存および新規のクライアントにサービスを提供し続けながら、すべてのクラウドベンダー間で完全に提携し、成長のための新しい道を開くことができます。

 

この発表を考えるに、IBM本体からクラウドサービス(IBM Cloud)を切り離すと考えるのはミスリードです。あくまでもSIとしてのインフラをマネージドするサービス部門を切り出す、ということです。新会社には具体的な顧客がおり、データセンターを持ち、物理インフラやクラウドサービスを管理し、顧客に提供している部門です。IBM Cloudもポートフォリオにはもちろん持ちますが、マルチクラウドに触れているように、どこのクラウドを使うかはこだわりません。あくまでも顧客志向でインフラを預かることにフォーカスしていて、しかも既にクライアントがいる、ということです。

本体のIBMから切り出すのは、具体的な顧客に対してインフラSIを行っている部門であり、本体はソフトウェアやIBM Cloud本体など、非SI事業に集中するということを意味しています。

ここからは推測ですが・・。

新会社は、スタート時には本体と100%の資本関係を持つでしょうが、分割する以上は将来上場したり、売却したりで、関係性が薄くなることも考えられると思います。分社化する以上は、本体への依存をできるだけ減らし、IBM CloudではなくAWSやAzureも含めて他のクラウドサービスとのハイブリッド性も担保し、独立採算を目指すものと思われます。

IBM本体も、RedHat OpenShiftや、IBM Cloudpakなど、IBM Cloudへの依存を極力減らす戦略を取っています。IBM Cloud中心にクラウドサービスの強化を行いつつ、どのクラウドもオンプレミスも視野に入れるといういいとこどりを狙っているため、分社化自身はすんなり進むのではないか、と思われます。