orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

データセンターという建物

f:id:orangeitems:20200919181448j:plain

 

データセンターという建物にはかなり思い出はあるのですが、最近は全然入ってません。クラウド専業となったからですが、それでもそのクラウドはデータセンターで動いていますから、データセンターとは未だにお付き合いは続いています。

データセンターほど世間の人に取って目立たない建物はなく、入口の門に「データセンター」という看板があることはほぼありません。それはなぜかというと、セキュリティー的にデータセンターの場所は隠したほうが良いと言われているからです。でも、業界の人が外観を見たら、ああこれデータセンターだなーって思います。私が働いている場所の近くにもありますが、入口に「当センターに入る際は入館証を提示すること」なんて、わざわざセンターという言葉を使っています。たまに宅配のトラックが止まって、明らかにサーバーやネットワーク機器を持ち込んだりしていますから、何と言うか、ここはデータセンターじゃないですようと言う雰囲気を醸し出しつつ、どう考えてもデータセンターだろうという、あのお約束は何なんですかね。

クラウドだって、雲の中にある立てつけですが、もう使っているとどこのデータセンターなのかはバレバレで、積極的に公開しないことと、隠していることは同義のようです。知っちゃったの、でも秘密にしてね!、みたいな雰囲気を業界にいて感じるのですが、これってセキュリティー的には何の意味もないんじゃないかな、と思ったり。

データセンターにも寄りますが、サーバーラック単位で貸し出しを行っているところも多く、サーバールームの中は雑居ビルのようになっています。A社のラックの横にB社のラックがあります、みたいな。で、大昔は、施錠管理がめちゃくちゃでした。はっきり言えば、どこかの会社のサーバーの電源ボタンを押せました。一応監視カメラも付けてマースという抑止力はありましたが、それは後から罰するためのものであって、押ちゃうことはできた。ほんとはダメですよね。ちゃんとサーバーラックごとに施錠管理しなきゃいけない。

データセンターという未来的な世界観の一方で、実際は、入館出来ちゃって中に入れちゃうと隙が多くて、まあ最近よく言われるのですが、外との境界ばかりセキュリティーを強化しても、中に入れちゃうとスカスカという、人間の持つセキュリティー観の脆弱性が体現されているところがデータセンターじゃないかと思うことがありました。

データセンター外へ、データの持ち出しも結構厳重な警備をするところが多いのですが、結局インターネット回線の引き込みができちゃうので、アップロードしちゃったら意味ないやん、とも思っていました。物理的にUSBメモリなどをデータセンターに持ち込んで持ち出す、っていうのは厳重に取り締まりをしているのですが、それって現実にあってないじゃん、と。

そうやって考えると、ゼロトラストと呼ばれる、データセンターの建物を守るだけではなく、サーバーラック単位で厳重に守るような、次世代型のデータセンターを考えている企業もいるんじゃないかな、と思います。マイクロソフトが海中にデータセンターを作るプロジェクトをやっていますが、実際、誰も立ち寄れないところにコンピューターリソースを置くのは現実的な気もしますね。宇宙とか(知らんけど)。

ということで、記憶を辿る限り、データセンターという建物は、セキュリティーの持つ矛盾を体現したとても大好きな建物です。物理的には外と切り離されるし、昼も夜もなく温度もいつも一定で、そこに機器のファンの音と廃熱のエアフローが常にあり、完全に生活感のない人間がいてはいけない世界に、20時間くらいぶっつづけで仕事をしたときに、何だか精神が少しおかしくなった気がしましたが、あれは多分、本当におかしくなったなと、今は思います。もう、できないかな。