orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

苦悶する地方データセンターの現状を知る

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地方のデータセンターの現状について記事が出ていたのでコメント。

 

cloud.watch.impress.co.jp

 インフラとしてのインターネットを縁の下から支える存在、それがデータセンターだ。コロナ禍を受けて、テレワークやオンライン授業、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)が大きな潮流となる中、データセンターに求められる役割もまた変わっていくものと予想される。

 そこで今回、主に地方でデータセンター事業を展開する企業にオンラインでお集まりいただき、現状について語り合ってもらった。

 

私も、いくつかのデータセンターを過去見てきたので、上記記事の参加者が正直ベースで語っているのがよくわかる。

もともとデータセンターが必要になった動機は、物理サーバーが必要になった1990年代まで遡る。オフィスに置くというのが普通で、ラックを買ってタワー型のパソコンをオフィスの隅に置いていた。そのうち、会社の重要な情報をたくさん入れるようになり、そして仕事そのものを依存するようになった。また当時はかなりパソコンは熱も持つようになり、サーバーのまわりの温度が5度くらい上がったものだ。またファンもうるさい。サーバーを置く場所は執務室と切り離せというので、いろんなオフィスにサーバールームという部屋が作られた。

サーバールームは施錠が行われ、限られた人間しか入れなくし一件落着となったが、どんどんサーバーの役割は増えていきだんだんとタワー型パソコンを置いておく場所が無くなり、あるタイミングでサーバーラックというものが生まれ、薄型のサーバーをそのサーバーラックに設置していくスタイルが主流となった。今のデータセンターもサーバーラックが乱立し、そこにサーバーを設置するスタイルである。

オフィスのサーバールームがデータセンター利用に切り替わっていった理由は、間違いなく電力の問題だ。サーバーの数がどんどん増えていくとビル側から与えられる電源では賄いきれなくなる。またビルは年に一度電源を落として点検しなければいけなかったりと、24時間運用に適さない側面もある。あと、空調が故障したりするとサーバー群が一気に温度が上がり、データが失われてしまう危険もある。そして、オフィスが災害や火災などで使えなくなってしまうと、会社機能が失われてしまう恐れがある。

だから、オフィスのサーバールームを排して、データセンターのサーバーラックを借り、自社のサーバーを置くということが特に2000年以降流行した。これは接続に当たって安価な光回線が利用できるようになりぐっと通信の問題が解決したからだ。上記の記事でもわかるが、データセンターは通信の話無しでは語れない。

データセンター主流の時代においては、以下がポイントとなった。

・オフィスからアクセスしやすいか
・災害に強いか(地盤や建築構造)
・セキュリティーに問題がないか
・電源、予備電源など、電気まわりが強いか、電力の調達に問題がないか
・通信工事が安価にできるか

私も、データセンターの選定に関わったことがあるが、地方のデータセンターはアクセスの面で都市圏ユーザーからは選ばれない傾向にあった。何かあったときに来るまで4時間とか無理だろう・・と。いや、技術員が常駐しているのでリモート対応できます、なんて切り替えされるが、リモートでどうにもならないこともある。また、物理部品の交換となったときにベンダーがそこまで到着し交換するのも時間がかかる。そのデータセンターの近くにある企業にやはり利用は限られてしまうのだ。

一方で、そこからまた時代は進み、クラウドがどんどんシェアを伸ばしている。全てのITが全てクラウドに来るとは全然私も思っていないが、一方でかなりの利用がクラウドで完結してしまう。データセンターを契約し物理サーバーを買い、設置し構築し・・・なんて考える時間があるなら、Webからクラウドと契約した方が数万倍速い。

今後のIT利用はどう考えてもクラウド中心になるし、インフラ運用/構築に関わるならばクラウドを専業とした方が良いと考え、ある時期から私もクラウド中心の生き方に変えたがそれは成功だった。

一方で、捨て置いたデータセンターはどうなったかというと、やはり上記記事の中で印象に残るこの一言を私も思った記憶がある。

 

石原:NECの石原です。本日はJADOG(Japan Datacenter Operators' Group)のメンバーとして参加させていただきます。皆さんのお話を総合しますと、やはり「箱だけでは売れない時代」の到来を実感します。現状では閉域網接続へのニーズが高いようですが、そのメガクラウドとどう付き合っていくかはデータセンターの課題だと言えそうです。

 

箱だけでは売れない時代、というのは重い指摘です。

箱はもう完全に仮想化されています。そうではなく、機能としてユニークにならなければいけない。クラウドができないことをカバーしなければいけない。

一方でクラウドは東京・大阪に物理的な中心があるため、クラウドに近い東京・大阪のデータセンターは、クラウドにつなぎこむことで一定の存在感を出しています。また建設ラッシュが起こっているという現状です。

 

xtech.nikkei.com

大規模データセンター(DC)は千葉県印西市だけでなく、東京都内にも続々と新設されている。国内DC大手のNTTコミュニケーションズも関東圏で最大級となるDCを開設した。旺盛なクラウド向けに加えて、Webホスティングなど従来型の非クラウド向けも底堅い需要がある。豊富な資金力を持つ外資系や新興勢の勢力拡大などを背景に、今後は業界内での合従連衡も進みそうだ。

 

クラウドベンダーが使うから、だけではなく、大企業が機密性の高いデータを扱うための専用のスペースを借り、それをクラウドと接続するような、ハイブリッドクラウドの利用方法が流行しているのです。

これらの機能を地方に持っていくのは、冒頭記事の通り東京・大阪との接続回線がネックとなり伸びない、と言う現状だと思われます。

「地方データセンターの明日はどっちだ?!」とはありますが、歴史的に1990年~2000年当たりにできた地方の小規模のデータセンターは施設の老朽化もあり、無くなっていく方向なんじゃないかな、というのが感想です。