orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

儲かる自社サービスを持っている企業のITエンジニアは、待遇をもっと上げた方がいいのでは?という話

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退職するときに、「秘密保持契約書」という文書を書かされることは現在一般的となっています。働いていたときに知りえた秘密情報を退職後、第三者に漏らさないでね、という話です。

A社で働いていて、A社のノウハウ全般に精通。そしてB社に転職しA社で知りえた事実をB社で公開するな、と。

この場合の秘密情報とは、一般的に公表されている事実はあたりません。それは秘密ではない。ここで言う秘密とは、顧客リストや社外秘となっている技術等のことを指します。もちろん、退職後もそういう情報を漏らしたら確かにまずいよな、というのは肌感でわかります。

ここからはIT業界に限定しますが、何らかの自社サービスを実施していて、その中でどれだけ秘密情報で成り立っている技術があるのか。ほとんどがオープンになっている情報・技術で成り立っているという認識です。ですから、IT業界は転職しても他社で働けることが多く、人材の流動性も高いと言えます。最近のIT業界人気は、不確実性の高まった社会の中で、手に職を付ければどこでも働ける柔軟性によって成り立っているといえます。

そういった状況の下、退職時に「秘密保持契約書」を書かせるのですが、なんとも無力に見えます。A社がWEBサービスを実施しその技術を担っていたシステムエンジニアは、B社でも同様のサービスを立ち上げることができるはずです。この要素技術に秘密情報が絡むことはまず、ない。ITの要素技術は基本的にオープン系の、社会に広く共有されている情報によって成り立っていることが多いので、他社に転職すると、全く同じサービスを立ち上げることが容易にできるのです。

秘密保持契約書なんて書かせても、他社に技術が流出することは避けられない、ということです。

さて、そのような状況の下、自社サービス中心の企業を見るとブランド価値を上げるためにいろいろな宣伝をしたり、派手な場所にオフィスを構えたり、内装を派手にしたりします。もしくはテレワークを推し進めたり、ツールを駆使したり、サテライトオフィスを作ったりと先進性をアピールします。

そう言った会社の平均年収を見ると、残念ながら低かったりします。業界平均ではいつくばっているケースが、多い。

それが、とても不思議でなりません。

自社サービスなんて、ノウハウごと他社に移ったら持っていかれます。

自社サービスにおいて一番怖いのは競合他社の登場です。自社サービスを実現する技術者はできるだけ転職させず囲い込んで、技術を流出させないようにしなければならない。

だから、本来は、他社に移る気を失くさせるほど高い報酬を支払い、技術を封じ込めたほうがいいと思うのです。

これが、アウトソーシング中心で、誰が実装しても原則変わらない、ウォーターフォール型のSIであれば話は別でしょう。SIerは下請企業やフリーランサーで、寄せ集まって実装しますから、もともと流出という概念がありません。

しかし、内製中心の自社サービス提供企業は、従業員の待遇を上げないと他社流出が進み、せっかく当たった自社サービスの競合を生み出すだけではないかと思うのです。

Googleの待遇が良いのは有名ですが、あの待遇の良さを打ち出せる企業は著しく少ないので、高い技術をキープできるのではないか、と思います。

この業界、自社サービスが一発当たって急成長したあとに、緩やかに衰退していく企業が非常に多いのですが、その理由は待遇にあるんじゃないかな?と思ったのがこの記事の主旨です。

自社サービスの源泉たる自社ITエンジニアは、もっと待遇が上がって然るべきでは?。