orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

2020年代は「拡大」から「選別」へ向かう

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2010年代は拡大の10年間だった

2010年代が終わり2020年代が始まり8か月が経ちました。

2010年代を振り返ってみると、拡大の10年間だったと思います。コンピューターの性能やネットワークの流量が明らかに急増しました。

下記の記事が詳しいです。

 

pc.watch.impress.co.jp

 また、Windows 10の標準機能であるビデオエディターを利用したエンコードテストでも、薄型ノートPC向け第10世代Coreプロセッサーだと、フレームレートに換算すると150fpsという高い値を実現しており、パフォーマンスノートPC向けやデスクトップPC向けを上回っている。このスコアはハードウェアエンコーダ(QSV)を内蔵していない初代Coreプロセッサーに比べると40倍近く高速になっており、初代Coreでは40分強かかっていたエンコードがわずか1分に短縮された。

(省略)

 Wi-Fi 6の効果も大きく、IEEE802.11nにしか対応していない初代Coreプロセッサーの転送速度は18.46MB/sでしかないが、Wi-Fi 6に対応している第10世代では188.79MB/sに達しており、10倍以上という転送速度を実現している。単純に言えば、初代Coreプロセッサーでは転送に10分かかっていたファイルが、1分で送れるのだから、その効果は絶大だ。

 

インターネットのトラフィックに関しては、総務省の資料がとても詳しい。

 

www.soumu.go.jp

総務省は、我が国のインターネットにおけるトラヒック(通信量)の実態を把握するため、 インターネットサービスプロバイダ(ISP)9社(注1)、インターネットエクスチェンジ(IX)5団体及び研究者の協力を得て、2019年5月のトラヒックの集計・試算を行い、今般その結果を別添PDFのとおり取りまとめました。

 

下記はブロードバンドのトラフィック推移ですが、まあうなぎのぼりとはこのことです。10年間で10倍になった、と言って良さそうです。

昔は「このままではインターネットがあふれる」なんて話もささやかれたのですが、それにも増してキャリアがケーブルを引きまくってくれたおかげで、インターネット経済は急成長できたのだと思います。

 

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2020年代は選別へ向かう

この拡大理論ですが、このコロナ禍で風向きがおおいに変わったと考えています。

とにかく拡大。インターネットに何でもつなげてもっと経済を拡大する。この考え方は去年までは非常にメジャーな考え方でした。

例えばIoT、5Gなどが代表例です。IoT、モノとしてのインターネットを実施すればトラフィックはさらに増えます。効率よく実現するために5Gが注目されました。この両輪で2020年代はさらにインターネット経済は急拡大するという目論見です。

今現在も同じようなことを言う人はいますし、株式などをみても5Gやそれを支える半導体関連、そしてインターネット関連の企業の投資は活発です。しかし、一方で中国企業の排除が並行して進められています。

もしこのまま今の市場論理を放置したら、中国系企業が規模で圧倒しイニシアティブを奪い、非中国の利益が圧迫されるという算段です。

実際そうだなと思うことはあります。中国は国内では自国に有利になるように海外企業に厳しい規制をする一方で、海外では自由経済を主張しています。これでは競争として不健全な上、中国の人口が多い分、内需を抑えればグローバル経済で勝ち組になれるのが半ば決まったようなものです。

さて、アメリカ中心のグローバル経済に入り込んできた中国を排除するとして、排除するにはエネルギーが必要です。

これまで拡大一辺倒に使っていたエネルギーを、選別に使う必要が出てきます。

アメリカは「オープン」「多様性」をこれまで重視し、あらゆる参加者を受け入れてきましたがここにきて大転換です。これからは「クローズド」「選別」がキーワードになるのです。

昨日の、Clean Network構想など、もうこのことそのものを指します。

決まった国で、決まった企業で、決まった基盤で、クローズドな中で選別されていることが前提です。

 

 

成長しないインターネット

2030年になったときに、インターネットはおそらく今の形をしていないと思います。

少なくとも中国とはつながらなくなっていることでしょう。

インターネットではなく、中華版インターネットのようなものは現れると思いますが、それが日本で使えるか?というと政治的に考えて疑問符です。

そのような形になるとしたら、インターネットビジネス自体にいろんな変更を加えなければいけません。様々な規制が追加され、そのルールに沿っていない場合はことごとく拒否されます。選別の時代です。

少しでも中国的な性質のものが入ってこようとしたら、相当な拒否ルールが発動するでしょう(技術的には何も決まっていませんが)。

そう考えると、ここ10年はおそらく、インターネット関連市場の伸びは止まります。変えることにエネルギーを奪われるためです。

今までインターネットに直接的、もしくは間接的に携わってきた人たちも、刻々変わるその変化に対応しなければいけません。変化のために設備投資しなければいけません。

また、プレーヤーについても注意が必要になります。スペックだけ見て買う時代は終わります。「認証」がきちんとあるかが重要となるでしょう。ということは、Clean Network構想は認証ビジネスも付随していることとなります。

 

 

コロナ禍はきっかけに過ぎない

2020年の代名詞となったコロナ禍ですが、直接的にコロナ禍が、拡大から選別に向かわせたわけではないと考えます。

むしろ拡大するエネルギーが、コロナ禍の様々な制限で限られるため、これを機に非効率な拡大は小休止し、現行のインターネットをもっと「よりよいものにしよう」ということだと思います。

不利益なものを選択し、分別し、廃棄しないと、拡大したときに余計なものが台頭してしまうということです。

この状況は、推測というより、もう事実化しているのでこの通り向かいます。あとは、この選別への変化に対してどのような位置取りをするのが良いのか、ということがポイントになろうと思います。

投資にしろ、経営的な選択にしろ、個人の仕事にしろ、2019年までと同じようなことを言っていれば、いずれ急激な変化に取り残されるのは間違いありません。

 

「拡大」はオワコン。

世界は「選別」に向かっています。