orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

Clean Networkとインターネット アメリカと中国の対立が具現化し始めた

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 https://www.state.gov/5g-clean-network/

 

「Clean Network」構想

米トランプ政権の、「Clean Network」構想、読めば読むほど、インターネットに生きる私には衝撃です。

 

www.itmedia.co.jp

 プログラムは、「米国の重要な電気通信および技術インフラを保護するため」の以下の5つの取り組みで構成される。

Clean Carrier:中国の通信キャリアを米国の通信ネットワークに接続させない。既に米連邦通信委員会(FCC)にChina Telecomを含む中国4社への米中間のサービス提供の認可取り消しを要請した

Clean Store:米モバイルアプリストア(米GoogleのGoogle Play Storeや米AppleのApp Storeを指す)からのTikTokやWeChatなど中国製アプリの排除

Clean Apps:Huaweiなどの中国メーカー製スマートフォンへの米国製の信頼できるアプリのプリインストールあるいはアプリストアからのダウンロードの阻止

Clean Cloud:Alibaba、Baidu、Tencentなどの中国企業のクラウドに米国のデータを保存させない

Clean Cable:グローバルなインターネットに接続する海底ケーブルの中国からの侵害の阻止

 米国は世界中の政府にこのプログラムへの参加を求めているという。

「クリーンな要塞を構築することで、すべての国の安全が確保される」とポンペオ氏が語った。

 

中国系キャリアを、米国から締め出すこと。

Google PlayとApple App Storeから、中国系アプリを締め出すこと。

中国系スマホへの米国製アプリ導入不可。

中国系クラウドには、米国のデータを保管させない。

グローバルなインターネットを形作る海底ケーブルに、中国を排除する。

 

一つ一つかみ砕いていくと、アメリカの中国との絶交に対する強い意志が見えます。

上記のルールに同盟国を参加させるというのです。

また、さらにこれまでのような、ファーウェイ排除のようなハードウェア排除も行っていくでしょう。

 

 

クリーンパス計画

このニュース、実は前振りがありました。二週間前の記事です。

 

www.nikkei.com

米国務省のケース・クラーク次官は22日、次世代通信規格「5G」から中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)製品を排除するようアジア新興国に促すため日本やオーストラリアと金融支援を強化する方針を示した。米国が中国系アプリの利用禁止を決めた場合に日本にも同様の措置を促す構えも見せた。

(中略)

国務省は国内外の関連施設での5G通信網で中国企業を関与させない「5Gクリーンパス計画」を推進している。これに関連してファーウェイ製品などを使わない通信事業者を「クリーンな企業」と指定し、各国に採用を促してきた。

クラーク氏はクリーンパス計画の対象をデータセンターやクラウドサービス、携帯アプリなどにも近く広げると明らかにした。これらの分野でも中国との関係を断ち切るよう各国に促してきたが、対象分野で中国とビジネス関係がない「クリーンな企業」を指定することで取り組みをいっそう強化する狙いがある。

 

当初は5G通信網だけの話だったのが、いや、待て、今のインターネットで中国が行っていることから含めて対処が必要だろう。そんな話の流れのようです。

 

 

米国務省の発表から

どうもコロナ禍で世界が混乱している間、水面下でかなり強力に、中国排除が進められていたように思います。下記の米国務省のページが最も詳しいです(英語)。

 

www.state.gov

2020年4月29日、ポンペオ長官は、米国国務省が米国の外交施設に出入りするすべての5Gネットワ​​ークトラフィックに対してクリーンパスの要求を開始することを発表しました。

 

このクリーンパスが認可する企業の中に、NTTとKDDIが入っているのですが、日本のキャリアで言えばソフトバンクが入っていません。

ソフトバンクGとアリババは資本でつながっていたり、アリババクラウドを日本で推していたりしますので、なかなか微妙なお話です。

 

インターネットを米国発で定義しなおし、今の施設を改造するのか。それとも新しいネットワーク基盤を5G起点に推進するのか、方法論が見えないところが現時点です。

インターネットの混迷がますます深まったと思います。

誰でも自由につなげ、個々の利用者でセキュリティーを守る。そんなモデルが崩れた時、インターネットに関わるビジネスはどのように変化していくのか、ますます目が離せない状況となってきたと思います。