新卒採用を増やすと法人税が減税されるそうです。
中途、新卒のいずれの場合でも減税対象とし、新規雇用者の給与支給額の15%分を法人税額から控除する案を軸に調整。さらに、教育訓練費を前年度より増加させた場合、控除の上乗せも検討する。
この話を聴いて思ったのが、以下の案。
・新卒採用や条件低めの中途採用を増やす。
・法人税減税分のキャッシュが確保できる。
・そのキャッシュを使って、年齢が高くて給与水準が高くなっている管理職層を希望退職とし、退職金増額分の担保とする。
もともと希望退職の話は大企業中心に流行の兆しがありましたから、渡りに船とばかりにこの制度を使った大幅なリストラの話が進むのではないかと思います。
企業はそもそもの給与制度見直しが急務ですが、既に高給を支払っている社員の給与を下げることはできません。そのため人件費を抑えるためには新卒・中途採用を絞ることが一つの方法となっていました。
その一方でコロナ禍が長引き、採用を絞り込む企業が相次いでいる。就職情報会社の調査によると、大学生の内定率は10月1日時点で88・7%だった。「売り手市場」とも呼ばれてきたこの5年で、最も低い水準にとどまっている。
第二の氷河期を作らないための新卒採用促進策としての減税ですが、裏を返せば希望退職の対象者となるのは第一の氷河期を乗り越えて来た連中でもあります。
第二の氷河期を作らないのはわかるのですが、構造的には新しく雇用した分、余計な人材をカットすると倍の効果があるわけで、なかなか辛い話よのうと思います。むしろ新卒採用を進めれば希望退職の原資を国が出すよ、とも読めてしまうのです。
今は情報化社会が進んで、コロナ禍のような異変期に何が社会で起きているのかを知るシステムができたせいで政府の対応も素早くなっています。二十数年前は、何が起きたかというと派遣法の改正による非正規の大幅拡大でした。
派遣法施行後は、バブル景気の影響で人材派遣市場も順調に拡大していった。しかし、1990年代から2000年代にかけては、バブル崩壊、金融危機、デフレの長期化といった低成長期に直面することになる。産業界からも、直接雇用の人件費(固定費)を人材派遣の活用による変動費に置き換えたいというニーズが高まった。また規制緩和によって民間の活力を引き出すという当時の国の基本方針もあり、この時期には数次にわたって派遣業務の対象範囲拡大や派遣期間延長が行われた。
おかげで当時は、「就職しないで派遣で働くことにした」「新しい働き方」みたいなかたちで大量に派遣を選ぶ人が増えました。その結果が、現状です。
もうそれではいけないと、今回のように新卒採用を促進する対策が取られるようになったのですが、もしあのとき、同じ政策をしてくれていれば・・、そう思わなくもありません。
とりあえず、新卒採用と引き換えに中高年はこれから希望退職のターゲットとされるのは間違いないと思います。いつまで経っても受難だな・・就職氷河期世代。