orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

なぜ所得格差は広がるか

f:id:orangeitems:20200428132725j:plain

 

所得格差が広がるからくりとは

所得格差が大きすぎる、という実感が広がっているという記事を見ました。

 

www3.nhk.or.jp

日本では、所得格差が大きすぎると思っている人は20年前より増加し、全体の70%近くに上ることがNHKの世論調査で分かりました。専門家は「新型コロナウイルスによる経済危機に不安が高まる中、低所得層の人たちに十分な財政支援が必要だ」と指摘しています。

 

この現象、思うところがあるので考察してみます。

 

考察

コンピューターの仕事をしているので、特に「生産性」という概念を感じることが多いです。コンピューターを使えば何でも素早く処理できるよねというのは幻想で、下手な人がロジックを組めばやたら遅いプロセスが出来上がります。優れた技術者が設計・実装すれば、100人分ぐらいの仕事を自動化できたりしまたりします。

このように、コンピューターを使った仕事と言うのは、やり方を間違えなければとても生産性を上げてくれるのですが、一方で、下手な人にはそれが全くできません。

つまり、「できる人」と「できない人」の差がとても大きいと感じます。そしてできる人が業界を席巻していくのは当然なのですが、このできる人はどんどんできるようになりますから評価が集中します。報酬がどんどん上振れしていきます。一方で、できない人は給与が全く上がりません。

というのがIT業界の感覚だったのですが、これがいろんな業界に広がっているように思います。できる人が100人分の仕事をしてしまうせいで、残りの99人が薄給になってしまう。一握りの人が大きな責任を持つことがより簡単になっていき、そのほかの人々の仕事が薄まっていくという現象が、特にデジタルビジネスが注目されるようになって強化されていっていると思われます。

いろいろな繰り返し作業、無駄なプロセス、そういったものを「できる人」がどんどん省略し生産性を上げていくのですが、その結果上がった利益は彼へ。そしてやらなくなった仕事は「できない人」から奪われていくように見えます。

コンピューターは人間の計算力をとっくの昔に突き破っていて、それを御することができる人が人間の無駄な仕事をどんどん楽にしていっています。計算力は今やAIと言った知的活動の部分まで侵食しており、今後もどんどん影響力が増大していくでしょう。しかし人間の意志なしにはコンピューターは動きませんから、その意志を発しコンピューターを利用して何らかのビジネスを興せる人に富が集中していくという仕掛けが、ますます加速しそうだと思っています。

ビジネスに対する対価を人間の所得でランク付けするため、その対価を一握りの人が得てしまい、それ以外の人は付随業務となってしまう。そんな絵がこの二十年でどんどん進んでしまったのではないでしょうか。

例えば、新聞一つとってもそうです。新聞の中に書いてある情報は実は今でも二十年前でも変わりません。しかし、その情報は今や、デジタル化され各ネットメディアに配布、それがキュレーションサイトにまとめられ、人々のスマホに行くまでとなりました。昔は、新聞を印刷し、それを新聞配達所に運ばれ、そして新聞配達員がそれを各戸に配布していました。今のやり方では人間の物理的な力が必要な場所がどんどん削減されていきますが、それでも人々のスマホに情報を届けることに直接かかわっている一部の人々には多額の報酬が届きます。

たくさんの人々が産業を動かす労働集約型の産業が知識集約型に移っていくと何が起こるかというと、知識を得た一握りの人に所得が集まっていくということになります。

 

ベーシックインカムの議論

どんどん知識を集約していき、労働集約的な仕事が消されていくとすると、だんだんと全人類に仕事を配るのが大変になっていくというのが大変になるはずです。しかも、今回の営業自粛によってたくさんの人々の労働力が余ってしまっています。10万円を一度だけ配って果たしてしのぎ切れるのかも予断を許さない状況です。

仕事と言うことを考えた時に一部の人に富か固まっていく構造自体は、今後も加速していくと考えています。それならばあえてベーシックインカムの制度を設けたらどうでしょう。働かないことに対しても生命の維持を保証すれば今回のような経済自粛のケースでも短中期にわたって生命の維持はできます。もちろん、ベーシックインカムの導入にあたって、消費税の引き上げは必要になるとは思います。財源の問題に直面するでしょうから・・。そして、集中した富をどのように国庫へ吸収するかも必要な議論です。

所得格差が広がることは現在の社会の仕組み上不可避で、それよりも労働を供給できない社会は、仕事をしない人へ最低限の保障が必要。そして集中し過ぎた富を分散する仕組みも必要。緊急事態時に経済を回さないときの対処としてのベーシックインカムは議論を始めるべきだと私は思います。