orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

残業代をあきらめて有意義に時間を使おう

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減った残業代はどこへ

働き方改革で減った残業時間。その結果企業が社員に支払う残業代の総額は会社の利益となります。その金額が社員に還元されていないという話です。

 

www.nikkei.com

大企業の残業時間の上限が規制されるなか、減った残業代の分を社員に還元していない企業が2019年4~6月で5割に上ることが日本経済新聞の調査で分かった。多くの企業で残業を減らしながら生産性を高め、それに寄与した社員に報いるという循環に至っていない現実が浮かぶ。

 

問題提起の記事も出ています。

 

www.itmedia.co.jp

 残業時間が大きく削減されている中で、新たな問題も浮かんできています。それは、圧縮されたコスト(=人件費)はどこにいくのが正しいのかという問題です。これに対してはいくつかの考え方があります。

 1つは、単純に「企業の利益増加要因」として内部留保に蓄えるべきだ、という考え方です。しかし、この考え方では従業員が納得しないかもしれません。なぜなら、日本企業では長年にわたり残業が慢性化したことで、残業手当が生活給の一部を形成しているという認識が醸成されているからです。そのため、「残業手当を会社に奪われた」という不平不満が従業員から出て、モチベーションが低下することも大いに考えられるわけです。

 

お怒りの方もいらっしゃいます。

 

news.yahoo.co.jp

「いくらなんでも、それはないだろう」

報道を知って、私は天を仰いだ。そして思わずつぶやいた。

「それはないだろう、大企業」

と。

なぜなら、働き方改革で減った残業代が社員に還元されていない事実が明らかになったからだ(日経新聞調べ)。残業削減に成功した大企業のうち5割が、社員に何も報いていなかったのである。

 

さて、この状況、2020年は中小企業に広がっていくと思われます。減った残業代はどうされるべきなのでしょうか。

 

考察

私自身、もう残業代というものをもらったことが十数年ありません。

今現在はともかく、なぜ残業代が無くなったかというと「名ばかり管理職」の適用です。

以前はSES主体の企業に勤めていましたが、もうわんさか「課長」がいました。

管理職になると、残業代が付かないんですね。管理職手当なるものが用意され残業代はゼロになる。

わんさか課長がいるから、わんさか課があるのかと思いきや、全然課などありません。常駐現場に放り込まれてそこでたまたま集まった社員や協力会社などを管理するから課長なんだそうです。

でも、一人常駐なんてこともざらで、課長って言ったって部下もいないじゃん。

当時は長時間労働は「ざら」でしたので、何を会社がしたかったかというと、残業代の抑制です。一方でSESは時間清算で、無制限にSESの常駐先に長時間労働分の清算を要求できます。したがってSES社員が長時間労働すると、課長には還元されず会社の利益が増えることになる。

ほんと腐った制度なのですが、とにかくSES企業って、早めに低級管理職に昇格させ、そのまま残業代なしで飼い殺しにすることを平気な顔をしてやってきたと思います。

・・という状況で、私自身は働き方改革の現在に先んじて「残業代のない世界」で生きてきました。

そういう環境で育つとこんな考え方になります。

・残業なんてありえない(1円も出ないのだから)
・それでも残業をすることがあるので、その分リモートワークや外出などを駆使して、普段の定時間(9:00~18:00)でさぼる時間を捻出する
・限られた時間内で生産性を最大化する方法を考え実践する

残業代を抑制したい会社の考えに隷属するより、その考え方を生かして極力労働「時間」を最小化し、一方で「生産性」を最大化するという姿勢を貫くことにしました。

しかしSESである限りは、企業は残業してくれたほうがありがたいわけで、30代半ばでSESであることによって技術者としてはこれ以上の上積みはないと思い、転職をして今に至ります。

現在も管理職相当なのですが、部門利益によって評価されるというシンプルかつ公平な評価制度下にいるため、もともとの考え方を実践し続けられている状況です。会社とすれば満足した利益を出し続けられているのであれば、残業しようがしまいが何の不満もありませんから。

そのうえで、残業がないし労働時間もフレキシブルであるという結果、時間が余ります。今後この余った時間は、副業に振り向けるべきだというのが私の考え方です。以前何度か副業の考え方を書きました。副業は「時給」であってはいけないと思います。「成果」であるべきだと。余った時間をもって何かに取り組み、「成果」を出すことができたら副収入を得られる。「成果」が出なくてもお金は減るべきではない。ですから投資を副業にすべきではないと思っています。投資はお金が増えるどころか減る可能性がある。副業と言いながらお金を減らしていたら本末転倒ですよね。

こんな風に私は世の中を捉えているので、生活残業、のような残業代でお金を稼ぐという考え方自体がもう頭の中からスッポリありません。生活残業の嫌なところは、成果とは全く関係がないことです。成果は定時間でしっかり出してしまえばいいのですから、単に時間を売ってお金を生み出しているに等しい。会社にも自分自身にもいいことがない。その時間、副業や趣味などにトライできる時間を丸々失っているのです。その分会社の利益は失われていくので、その結果社員に還元できる原資も失っていくということになります。

いや、5割の会社は従業員に還元していないというじゃないか、とニュースを見て思うかもしれません。しかし世の中の利益を出している会社の経営者は、できるだけ社員に還元し長く会社に在籍してもらいたいと思っているはずです。なぜなら中途採用の採用コストは年々高くなるばかりで、教育コストもかかるからです。安定的に長く従業員をつなぎとめることは経営者の大事な仕事で、今は5割にとどまるかもしれませんが今後社員への還元は流行となるでしょう。早期退職や希望退職などで、見合わない給与をもらっている社員のリストラなどをひと段落させたら、それを原資にできる社員への還元策を強めるでしょう。それぐらい社員間の能力差は目に余るようになっていて、年功序列では説明できないようになっているように思われます。

時間で成果を測る価値観が崩壊してきている、ということです。

 

時間を会社に奪われるな

一人に与えられた一日の時間は24時間です。この時間をどう使うか。昔は24時間戦えますかと言われました。戦うのは会社のためでした。

今は、8時間しか戦うなという時代です。これ以上会社に捧げているとしたら、それは会社に時間を奪われているということに他ならないと思います。

自分のための時間をいかに確保し、その時間を「成果」に変えるような使い方をし収入に変えられるような活動をするマインドに替えられた人が、今後「生活残業」に代わり収入を増やしていくと考えます。

2020年はその傾向がいっそう強まる年となるでしょう。