パワポ禁止
アマゾンでパワポ資料の禁止、と言う記事が話題になっています。
この件、非常に大事なポイントが隠れていると思うのでコメントします。
いまやプレゼンの必須ツールとなっている「パワーポイント」だが、アマゾンでは禁止されているらしい。アマゾンの「普通」は、他の会社の「普通」とは異なることが多々ある。ではアマゾンの「普通の基準」とは何なのだろうか。アマゾンジャパン元経営メンバーが解き明かす。
大事だと思うこと
ポイントは一つです。
「社内」プレゼンだということです。
社内です。社外とは言っていません。
アマゾン、特にAWSの世界では、顧客に質のいいパワポ資料を作るように資料を公開してくれています。
アーキテクチャダイアグラムは、設計、デプロイ、トポロジーを伝達する手段として優れています。このページでは、AWS 製品アイコン、リソース、およびダイアグラムの作図に役立つその他のツールを含む AWS アーキテクチャアイコン (旧称シンプルアイコン) の公式セットをご覧いただけます。
この資料を使って、AWSを使ったシステム提案をパワポで作れば、受注間違いなし!、ということでアマゾンはパワポ資料を否定しているわけではありません。
外向けの技術資料も、パワポで大量に作成しています。
アマゾン ウェブ サービス (AWS) は安全なクラウドサービスプラットフォームで、ビジネスのスケールと成長をサポートする処理能力、データベースストレージ、およびその他多種多様な機能を提供します。お客様は必要なサービスを選択し、必要な分だけご利用いただけます。それらを活用するために役立つ日本語資料、動画コンテンツを多数ご提供しております。(本サイトは主に、AWS Webinar で使用した資料およびオンデマンドセミナー情報を掲載しています。)
社内向けには「パワポ禁止!」。社外にはパワポでどんどんプレゼンテーション。
これってダブルスタンダードかというと、またそれはそれで違います。
用途が違うのです。
考察
私はパワポ資料のことを「インスタ」もしくは「TikTok」と似ていると思います。私は苦手で、全然使えていませんが、世間的には大人気だそうです。
短時間で、視覚や聴覚を演出して、何だかわかった気持ちにならせることができる。エモーション(感動)を起こしやすい。ロジックを極力シンプルにし、結論まで短時間でたどり着ける仕掛けなのだと思っています。
ツイッターも140字以内で収まるのならそんな傾向にあります。連続ツイートになってくると意味が変わってきますが、基本的にはパワポ資料に近い。写真や動画を添付するといっそうその傾向が強まります。
一方、こういうブログ記事は、いわゆるアマゾン社内で言うビジネスドキュメントに近いのかもしれません。読まれるためにはストーリーが必要で、ロジックは簡潔性よりも正確性が求められます。結論が画期的であれば複雑であっても許容されたりします。
世の中、バズる規模はYouTubeやツイッターの方が大きいと思うのですが、世論に働きかけるのはブログ記事の方が影響が大きかったりする気がしています。
それぞれのSNSのどちらに価値があるかということではありません。それぞれで特性が全然違っていて、違う価値があるということです。
パワポ資料のほうが「わかりやすい」を誘発する性能が高いです。色や字の大きさ、写真や動画などの連携で、一つの出来事をとても印象的に彩ることができます。しかし、理解を促すという意味だと、文章でまとまった論文の方が有利です。
社内においては、印象論などはできるだけ排除し、極力ビジネスロジックに集中したいのだと。逆に社外へ売り出すときは、ビジネスロジック自体は自身があるのだから、印象的に顧客に伝えたい。
メールとチャットの議論と似ていて
私は社内コミュニケーションにおいて、メールは徹底的に使わないようにしています。無駄が多いからです。社内はチャットにしたい。課題管理は課題管理ツール(バックログなど)にしたい。
そうやって、同じコミュニケーションでも最適なツールが変わってきます。
この記事、パワポがまるで悪者に感じられるかもしれないのですが違っていて、適材適所、メリハリをつけて使っているということです。
本質を見誤らないようにしなければいけませんね。