orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

トレンドを無視し続けて二十余年、まだIT業界に僕はいる

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IT業界と技術の移り変わり

IT業界は変化が激しくて、ある技術が覇権を取ったかと思ったらいきなり別の技術が脚光を浴びて急に主役交代みたいなことが当たり前のように起こります。今はPythonやAI関連技術がもてはやされていますが10年後に同じ位置を保っているかは全くわかりません。今のところ、すごく理解するのは難しいけれどもわかってしまたら魔法のようなことができる位置にいて、そうなると技術本がたくさん生まれ、ベンダーも群がりAIを連呼。マスメディアもたくさん記事を書く。ユーザーサイドも乗り遅れないようにたくさんのお金を振り出して案件が躍るというからくりです。

さて、IT業界の中でも私の職域であるインフラエンジニアはニッチというか、もしIT業界が100人の村ならインフラエンジニアは5人くらいの認識です。インフラ専門の会社でなければだいたいどんな組織に属してもマイノリティーであり、同業者と話をするといつも思うのですが物静かな方が多いです。裏方というか縁の下の力持ち的な役割なためなのでしょうか。決して主役にはならないけれどもいなかったら絶対に困るポジション。音楽で言えばベースや打楽器に近くてプロジェクトを成功させるためには必須なのです。しかし人数比的にマイノリティーです。華々しいWEBサービス開発に比べ地味な印象はぬぐえず、わざわざインフラエンジニアを選ぶということはどこか、世の中を斜めに見ている感はぬぐえません。

まあ私のブログなんて、世の中を斜めに見ているエビデンスのようなものですね。

さて、決して主役とはなれない私がIT業界を見ていると、トレンドがたくさんの人々を突き動かし、お祭りとなる。なぜ今それをやらないのか?!みたいな雰囲気になる。その状況をいくつもいくつも生まれては消えていったのがこの二十余年だったということを宣言しておきます。

 

トレンドの盛衰

トレンドが発生するとどうなるか、こんなパターンが発生します。

 

・アメリカである程度流行し開発者コミュニティーがしっかりしていることをバックグラウンドとする。
・日本の業界の技術発表会で「・・・をやってみた」というプレゼンテーションをインフルエンサー的な人が発表する。
・上記のスライドがネットで拡散する。
・日本でもユーザー会が立ち上がる。同時期に日本のITベンダーも研究を始めサービス化を検討する。
・IT系のマスメディアが「・・・が流行の兆し」 というような記事をたくさん作成。
・ユーザー会や関連技術のイベントに恐ろしいくらいたくさんの人が集まり、グルーヴ感が生まれる。
・ITベンダーが商用サービスを行う。

 

ここまでが定期です。さてこのシナリオを経ることができればその技術は百年安泰かというと全くもってそんな事実はありません。上記の状況配下においてたくさんのユーザーがその技術を試してみるわけですが、やってみたらたくさんのトラブルに巻き込まれたり、導入が面倒だったりしたら厄介です。私の肌感覚だとたかだか2年で「あ・・この技術伸びないな・・」という状況に陥ります。

 

・ユーザー会がいつのまにか消失する。
・メディア記事を全く見なくなる。
・ITベンダーがいつのまにか関連サービスの情報をWebページから消す。

 

一言で言って「オワコン」化したということになります。

そうなったときに、一番大変なのはその技術で作った、大規模な商用サービスをどう保守するかということになります。もちろん実装した人が会社に残っていればいいのですが、そんな新しもの好きがいつまでもオワコンした技術にしがみついてくれるかと言ったら言わずもがなです。

でもそのサービスはもう動かしているしお客様もついているので、止めるわけにはいきませんしそもそもどんな技術で実装されているなんてお客様には関係ないわけで苦労の源泉が生まれてしまいます。

 

どこに向かうかなんて誰もわからない

インフラは縁の下の力持ちと申し上げましたが、地面のような存在なので、そんなフワフワした技術を簡単に採用するわけにはいかないわけです。オワコンした技術をメンテナンスしなければいけないというのは地獄に近いです。だんだんと最新の技術資料が日本語化されなくなっていきます。英語の原典にあたらないと解決できないし事例も日本では少なくなっていきます。最新化しようにも事例がどんどん少なくなって、バージョンアップを決死の覚悟で行わなければいけないシーンもあります。

枯れに枯れて安定していて日本のユーザーも確保している。そうすれば仕事も楽だし危ない橋を渡らなくて済む。と思うのですが、そもそもIT業界はイノベーションを起こすことを正義だと思っている節があり、枯れた技術しか見向きをしないようなその姿勢は、経営者やユーザーサイドから見ると消極的なように見えます。

だから開発者とインフラエンジニアは仲が良くないというのは古典のような話になっています。

 

tech.nikkeibp.co.jp

プロジェクトを進める上で必ず起こる問題は,担当者間,チーム間の「コンフリクト(対立)」である。特に,アプリケーションの担当者(チーム)とインフラ担当者(チーム)の間では,経験上,どんな現場でもコンフリクトを起こす。最悪の場合,プロジェクトの成否にかかわる問題に発展する。主な原因は3つ。そのそれぞれについて,PMOがどう対処すべきかを考えてみたい。

 

2008年の記事ですが、10年経っても状況は変わっていないと思います。

ですから、2019年現在のインフラエンジニアにおける価値は、なんと開発者とわかりあえるコミュニケーションスキルである、と私の中では定義しています。

Kubernetesのように、インフラ部分を完全に自動化し開発者だけででサービスが組める、という表向きの思想ですら、結局はそのインフラ部分の実装をインフラエンジニアが考えなければいけないという状況に陥りつつあります。物体において縦から見ようが横から見ようが、誰かが考えなければいけない事実は変わらないのです。

プロジェクトの中で開発者は主役ですから、その主役に気持ちよく仕事をしてもらえるように気を配りながら、でも世の中の雰囲気に流されてオワコン化するような技術を採用しないよううまくリードするという、結構微妙な立ち振る舞いを行わなければいけないので、相対的に市場価値が上がっているという実感があります。人数も少ないことも手伝って。

仕事としては、枯れに枯れた技術を優先しつつ、一技術者としては新しい技術をどん欲に学ぶ。そんなバランスを持たないと、自分の仕事を振り返るとオワコンな技術で彩られた成果物がたくさん転がり、そのうちそれらの面倒を見ることに時間を取られ新しい技術に触れる時間もなくなるというのがオチです。

 

こういうIT業界の性質を真顔で話す人はなかなかいないと思うのでまとめてみました。どの技術が生き残るかを冷静に見極め、これは伸びると思った分野に注力し仕事につなげる。一言でいうと簡単そうですが、大半の技術を表面上ウォッチしつつも無視し続けなければいけないというのが率直な感想です。どんなにメディア記事でウェーイなパーティーピーポーが「何で君使わないの?」的な煽りがあっても、です。同調圧力なんて有害でしかありません。IT業界でいつまでも一線でいるためには立ち止まってはいられないのですが、その幾多の選択肢の中で確実な一歩前に進み続けるのは簡単ではないと思います。ですから界隈で有名な技術者の周りにはたくさんの人が群がって、短期的にはその方向に行きがちだと思うのですが、そんなに話は簡単ではありません。集まっている人も、「使えん。」と思った瞬間にさっといなくなる冷たい世界です。たくさんの技術を試し選ぶのはやはり自分自身の責任だと思います。その心構えこそが長生きの秘訣だと私は考えます。