orangeitems’s diary

クラウド専任の40代インフラエンジニアが書くブログ。新規事業マネージャー。20世紀末の就職氷河期スタート時にIT業界に文系未経験で入りこみそのまま生き残った人。

インフラエンジニアは楽な仕事か

 

インフラエンジニアが楽、という視点は新しいなと思いまして。

 

 

インフラエンジニアって、IT業界で嫌がられる職域だとずっと思ってました。IT企業入って、新卒の子たちに夢を聴くと、有名なサイトを構築したいとかフロントデザインを監修したいとか、いわゆるアプリケーション開発者をみんな我先に希望するわけです。あのうインフラエンジニアは?と伺うと、みんな眠そうな目で、へえそんな仕事があるんですねがんばってください、みたいな扱いを受けます。受けましたとも。

インフラエンジニアに新卒からストレートになった人より、アプリケーション開発の畑がなんとなく会わなくてインフラへ転向してきた人というのも多くて、業界全体で言えば1割にも満たない我々は、なんとなくマイノリティーの集まりみたいになることが多かったです。ま、インフラ専門の会社も一部ありましたがそれもITの会社の1割未満なので、社会全体で見れば同じようなもんです。

様子が変わったのは、クラウドの登場でした。これまでインフラと言えばデータセンターに行って機械運んで組み立ててラッキングしてケーブリングして、みたいな物理作業が不可避だったのが、Webブラウザ中心の作業になりました。むしろAPI使えばコマンドでもできるし、生産性がぐんと向上したんですね。そしてクラウドベンダーが、かっこよく自社サービスを宣伝してくれるもんだから、インフラ周りのイメージが向上しました。イメージだけじゃなく仕事の仕方も大きく変わりました。全体的に自動化の流れが起きたのと、機器の故障も少なくなりました。大昔ほど、インフラエンジニア=苦行、みたいなことは無くなったと思います。

ただまあ、クラウドに閉じ込めただけで、クラウドの中の人は相変わらず物理作業に追われているだろうし、日夜二十四時間、機器故障への対策をルーティーンでやってくれていて、それがユーザー側に見えないだけなので、全体におけるしんどいインフラ作業の総量は変わっておらず、一般ユーザー側には隠蔽されただけ、という考え方はできますね。

その前提のもと、じゃあ「楽」になっているかというとですね、肉体労働というレベルでは楽になりました。知的労働というレベルでは、高いレベルが求められますので、経験のない人にはとても務まりません。経験のない人は「インフラエンジニア見習い」であって仕事はできていません。

どんな高いレベルを求められるかを具体的にお話しします。

インフラの相談をされるときは、たいていアプリケーションを開発したり利用したりする立場の人からです。彼らはIT業界あるいはITに近い立場の人たちなので、ITには詳しいのですがインフラには詳しくありません。不思議なもので、インフラの知識ってアプリケーション開発者は積極的には身に着けていない人がすごく多いんです。逆にインフラエンジニアもアプリケーション開発の知識を持っていませんから持ちつ持たれつですけどね。

ですから、結構、とんちんかんな要件をもらうんですよね。それを実現するためには、こうやってこうやって、こうやったらできますよね、とうまく設計してお伝えはするのですが、そこで、「わからない人でもわかるようにかみ砕くコミュニケーション能力」というのが重要になってきます。自分だけわかっていてもダメです。実現したいと思う人に、インフラはこうあると、コストもセキュリティーもパフォーマンスも最適化できるんだという設計を、結構短時間で説明してあげないといけない。

インフラの場合、しかも選択肢が無数にありますから、インフラエンジニアの経験値が物を言ってきます。本やWebにこれで動く、って書いてあるからといって説明し、そして組んでみたら、えらい大変なことになった、みたいな経験も私はあります。その技術のベンダーがどれくらい信用できるか、サポートの品質、市場競争力、そういうものをすべて勘案して、最適化したものを相手に出し、しかも説明できないといけない。

それを、「楽」と言われるとですね、なかなか違和感あると思います。

ただ、設計が一度決まった後、それを指示通りに作る人、テストする人、運用の中で定型的な業務をやる人、などなど、いろんな立場がインフラエンジニアにもいますので、一部の人は「楽」の領域にはいるかもしれません。その指示の中で動けばいいだけですから。ただ、それは高度な技術を求められないので待遇もそれなり、と言ったところです。

他の業種からは、そろそろ「楽」と言われることもあるかもな、なんて思っていたので別に意外感もないですが、登る山の高さは高いよ、とだけは言っておきます。