お客様へ直接売る
最近、D2Cという言葉が流行しているそうです。
Direct to Customer、お客様に直接販売するという形態です。通常の商習慣だと、卸に売った後に小売へ販売するのが普通でした。そうではなく、例えばAppleがiPhoneをApple Storeで直接売るように、顧客と直接つながり販売するというのがD2Cだそうです。
なぜD2Cが注目されているか・・というと、物を売るときにECサイトで購入することがごく当たり前になったから。卸に出すよりECサイトで直接お客様とつながり売った方が利益率も高いし、お客様の顔も見えるし、データも取れる。Amazonや楽天などのモール型ECサイトに出すと高いマージンを取られるために、自社ECサイトを構築したうえで店舗を出す。店舗では直接売らずショールームに徹し、もし買いたいとなった場合はECサイトに誘導する。これがD2Cの典型例です。
いくつか、事例が出ているのでご紹介します。
D2C事例
丸井(2019/8/16)
オンラインがオフラインを包含する“アフターデジタル”の時代。デジタル起点でリアル店舗を捉え直したとき、どのような変化が必要になるかを解き明かす本特集。第1回は、「モノを売らない店」へのシフトを決断した丸井グループに焦点を当てる。次の一手となる「デジタル・ネイティブ・ストア」戦略とは?
ITmedia(2019/7/26)
製造から販売まで自社のリソースをフル活用して一気通貫で提供するD2C(Direct to Consumer)のビジネスモデルが注目されている。中でも特にプレイヤーが増加しているのがコスメ(化粧品)業界だ。日本でも化粧品系のD2Cスタートアップが続々と誕生している。
DIGIDAY(2019/7/31)
D2C(Direct to Consumer)は、酒類業界にも浸透しつつある。
独立系企業やコングロマリットの有する新しい酒類ブランドが、オンラインコンテンツとマーケティング戦略を活用してアルコールに興味のある若年層へアピールを行っている。マットレスやカミソリ、スポーツウェア、化粧品、家庭用品などと異なり、酒類はこれまでD2Cではあまり見られなかったカテゴリーだ。いくつかの法律上の抜け穴や訴訟での勝利を経て、ハウス(Haus)やエンパシーワインズ(Empathy Wines)、ワン/ウォッカ(One/Vodka:ペルノ・リカールの保有ブランド)といったオンラインの酒類ブランドは新しい成長戦略を見出しつつある。
FORBES JAPAN(2019/8/8)
アパレル、化粧品、フード。さまざまな領域で、続々と立ち上がっているD2Cブランド。その波は“スポーツ領域”にまで広がっているようだ。スポーツ用品のD2Cブランド「TENTIAL(テンシャル)」を手がけるTENTIALは8月8日、第1弾プロダクトの機能性インソール「TENTIAL ZERO」を正式に発売開始したことを発表した。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の現実解
世の中、デジタル化しないと会社が終わる。そんな極端な物言いが流行した時期もありました。しかし最終的な勝ちパターンはデジタル一辺倒ではないように見受けられます。きちんとした事業があり、ビジネスプロセスを確立し、品格のある企業。今までの仕事を否定することなく、デジタルを取り入れて、より顧客に価値を届けるといったやり方で成功している企業が増えてきたように思います。
「破壊型イノベーション」ではなく、「非破壊型イノベーション」です。これまで作ってきたものを変えるわけではない。その売り方にデジタルを導入する。例えば自社ECサイトを作る。作るだけではなく実店舗を構えてお客様に商品に触れて頂こう。そして気に入れば自社ECサイトで購入を進め導線を作ることによって、今までの商習慣にイノベーションを起こそう。
このやり方であれば、これまでのビジネスの根幹は壊す必要はありません。そして新しい仕事が生まれます。社内に活気ができ新しい人材も入ってきます。このシナリオは誰も不幸にしないと思います。
顧客側も、その商品を作った人と直接話ができることで、刺激的な体験ができます。ECサイトでは真偽がよくわからないレビューがあふれて本当に良い商品がどれかわかりにくくなっています。直接商品に触れられるところで、商品を製造した人からどんな価値があるか教えてもらえる。これはD2Cの大きな利点だと思いますし、全てがモール型のECサイトに飲み込まれるわけではないということを示しています。
街を歩くと、たくさんの人がショッピングを楽しんでいて・・、もしECサイトで事足りるならこんなに街がにぎわっているわけないようなあと思います。
D2C、今後さまざま企業で大事になるキーワードではないでしょうか。