orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。



ダメだ、政府は海賊版サイトを止められない

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迷走する海賊版対策

昨年の漫画村騒動以来海賊版対策の情報を追いかけていますけれども、対策が迷走しています。今日も、それを裏付けるニュースがありました。

 

www.jiji.com

総務省は20日、漫画やアニメをインターネット上に無断で掲載する「海賊版サイト」対策を議論する有識者会議を開いた。問題のサイトを視聴しようとした際、画面上で警告が表示される「アクセス警告方式」について、同省が過去の議論を踏まえて法的・技術的に実施は困難との見解を提示。大半の委員も賛同し、警告方式の導入は事実上断念に追い込まれた。

 今後、有害サイトの閲覧を制限する「フィルタリング」機能の強化など、ネット利用者側の端末での対策を検討する。近く正式な報告書をまとめるが、海賊版サイトへの接続制限をめぐる政府部内の議論は、有効な手だてを示せないまま、尻すぼみに終わった格好だ。

 

昨年の春(2018年4月)は結構歯切れの良いことをおっしゃっていたはずなのに。

 

mainichi.jp

政府は13日午前の知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議(本部長・安倍晋三首相)で、インターネット接続業者(プロバイダー)に対し、ネット上で漫画や雑誌を無料で読める海賊版サイトへの接続遮断(サイトブロッキング)を促す緊急対策を決定した。早ければ秋の臨時国会に関連法案を提出する。

 

2018年の春に、秋には動きが!?と思いきや冬を越してもう2019年夏。ここで、「断念」というニュース。

厳しいことを言いますが、関係者は何もしていないのと同じです。

経緯はどうでもよいです。結果として何か少しでも前に進めたのか。

たくさんの会議の議事録だけがただただ積み上がり、インターネットの世界は何も変わりないという状況です。

 

水面下で広がる海賊版サイト

まだご存知ない方がいらっしゃれば認識してください。

近年で最も影響力のあった海賊版サイトの一つ漫画村がサイト運営を停止したのが昨年の2018年4月17日でした。

 

www.orangeitems.com

 

そこから1年強経過した2019年5月末ごろ、2つの海賊版サイトがSNSで急に話題になりました。

 

www.orangeitems.com

 

www.orangeitems.com

 

特にこの2番目のサイトが厄介です。

旧漫画村と類似した作りであり、かつ登場したとき(80000冊)から公開している書籍の数が10,000冊以上増えています。日々の運営努力、と言ったら言葉がおかしいかもしれませんが、正直インフラ/クラウドエンジニアの私からみても「ビジネスレベル」の仕事をしています。パフォーマンスチューニングのためにストレージやネットワークインターフェース、仮想サーバーのCPU、OSのカーネルパラメータチューニングなど、多岐に渡って改良を重ねており、このまま時間が経過するとかなりのPVを稼げるでしょうし、実際そういう風に見えます。

一方で、出版関係者はもうすでにこのサイトに気が付いており、GoogleへのDMCA申請も済ませ検索結果からは削除されるようになっています。しかし検索結果をつぶしたところで、SNS経由でURLは確実に広まっているのを確認しています。また、一部のまとめサイトが、「アクセスしてはダメ、URLはここ!」のような形で誘導しているのも見受けられ、結局のところ、静かに拡散しているというのが私の感想です。

今回の状況においては、広告すら出ないためもはや目的すら不明です。マネタイズできない中で何が目的なのかどうか。しかし、ユーザーは日々増え公開されるコミックも増殖しています。

問題点については下記でも記載していますので、お時間があればご覧ください。

 

www.orangeitems.com

 

最後の望みはフィルタリング機能

今回の断念のニュースの中に、「フィルタリング機能の強化など、ネット利用者側の端末での対策を検討」という記載がありました。

もはや最後の望みとなります。

青少年に対する有害サイト遮断の取り組みは、実際「青少年インターネット環境整備法」にて法整備され既に実施されています。この運用のスキームをそのまま海賊版サイトに当てはめようという考えに思われます。

 

www.itmedia.co.jp

この事態を危機的に見た政府は、2017年に青少年インターネット環境整備法を改正し、2018年2月から施行しました。この改正法では、インターネットに接続できる端末の中でもプライベート性が高く保護者による監督がより困難なインターネットに接続できる機能を備えた携帯電話(つまりスマートフォン)を特に指して、関係者に以下のような義務を求めています。

 

保護者

子供の発達段階に応じ、インターネットの利用状況を把握し、フィルタリング等で適切に管理をする
青少年のインターネット活用能力の習得を促進する

 

携帯電話事業者
契約時に使用者が18歳未満(青少年)であるかを確認する
青少年が使用する場合は、フィルタリングの必要性について説明する
携帯電話端末の販売時にフィルタリングを設定して渡す(フィルタリング有効化措置)

 

端末メーカー
フィルタリングアプリの導入が容易となる措置を取る(フィルタリング容易化措置)

 

OS開発事業者
フィルタリング有効化措置・フィルタリング容易化措置が円滑に行えるようOSを開発する努力をする

 

この件も内容を読むとわかる通り、努力義務であり抜け道はたくさん存在しています。

どこまで海賊版対策に効くのか不透明でありそもそも海賊版を読もうとする人は抜け道を能動的に探すと思われます。

先行事例自体がうまく機能していないのに、フィルタリングを海賊版対策の本丸にするのであれば現時点では望み薄、と言ったところです。

 

「ダメだ、政府は海賊版サイトを止められない。」

そうつぶやいてしまった私でした。

この件、実際に出版社のビジネスに大きな影響が出ないと先に進まないのではないかと予想します。大変残念な状況です。