orangeitems’s diary

クラウドで働くエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

大企業の技術系インターンシップに参加して失望したあなたへ

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インターンシップに参加→失望

よくまとまっていていい資料だなあと思いました。工業大学に通う大学院生が、大企業の技術系インターンシップに参加して失望されたそうです。

 

blog.browniealice.net

インターン先が日本を代表するような大企業ということで, 技術力が高く能力の高い人材が集まっているんだろうなという漠然としたイメージを持っていました. あとは, 例えばプロジェクトXみたいな熱い仕事を行っているのかなというイメージもありました. そして実際にインターンに参加してみると, 前まで抱いていたようなイメージがガラガラと音をたてて崩れていきました.

 

考察

このご時世、インターンには会社に夢を見させるためにリッチなPCを与えればいいんじゃないかと思うのですが、場所によってはお下がりのPCなんて配布しちゃうんですね。明らかに現場サイドには歓迎されていないということだと思いますね。自分がそのPCを渡されたらどう思うかなんて、業界の人間だったらわかりそうなものですもの。結局のところIT業界なんて社内でも競争にさらされていて、他人に施すというのが利にならないという雰囲気が漂っているんですね。私は四十代くらいになってその考え方は時代遅れであることに気がつきましたが、大企業四十代リストラが大手SIerに忍び寄っている状況では新しく入るかもしれない人に冷たくするのは人間の本性が透けているのかもしれません。

これが、メルカリやLINE等、メガベンチャーのような場所だと状況が違っていて、大企業と張り合って優秀な新人をたくさん獲得したい。財務的に盤石ではないが将来性にかけてほしい。そんな思いの現場ではインターンは華やかなものです。

 

メルカリ

mercan.mercari.com

三河さん(R4D/XR):想像と正反対で戦略的な研究開発部門。本気でやってるだけじゃなくて本当に近い未来に実現させそうなのがすごい!

渡部さん(Security):最高のエンジニアたちと、最高のプロダクトをつくり、守り、そして世界に挑戦できる場所

菊川さん(Frontend):自由に何にでも挑戦することができる場所!

とんさん(AI):10億ものデータを味わい尽くすインターン

浅井さん(Backend):自分の取り組む課題を通して、実際に現場で働く周りの方々に協力してもらいながら大きく成長できる場所

土井さん(Android):ダイバーシティのあるチームを感じながら、多くの学びとチャレンジができる場所!

田中さん(AI):ハイレベルな環境でやりたいことができる最高のインターンでした!!

畑田さん(Frontend):朝に弱くても自分に合ったワークスタイルで力を発揮できて、プロダクトと一緒に自分も成長できる場所

 

LINE

line-hr.jp

・LINEがどのように企画を作り上げるかを見ることができました。チューターさんには企画を作り上げる段階で学生としてではなく、社会人、LINEの社員として企画をどう作り上げていくのか、自分たちで考えこめるようアドバイスやフィードバックをいただき、成長にも繋がりました。

・チューターの方についていただいたことで、学生にはないビジネスの視点を学ぶことができました。そしてグループワークでチームワークの難しさと同時に、視点が広がる面白さも学べました。

 

同じインターンの感想とは思えない話だと思います。結局、「来て欲しい!」という強い思いがどれだけあるかで、全く違った催しになるということです。

意外と、技術どうこうではなく、もっと人間的な欲求が根源にあると思います。大手SIerだって専門的で高度なことを行っている部門は存在します。一方で会社として「来て欲しい!」という意見表明をしなくても、財務体質や企業ブランドで十分に高学歴の大学から入社させることができるなら、努力もしません。例年通り。現場も付き合わされているという感じになります。

仮に、大手の人事担当者がやる気になったとしても、現場がシンクロナイズしてくれるかといえば、してくれないでしょうね。なぜかというと彼らの安全すら危うい状況なのですから。

リストラをする、ということはそういうことです。なぜに自分が危ういのに新人におもてなしをしなければいけないのか。

一方、大手SIerの超上流、要件定義や基本設計部分とそれ以降のアウトソーシングの現場は、実装中心に学んだ大学/大学院生にとっては不思議なものだったでしょうね。大手SIerにとってその強大な財務力を持って大手企業とSI契約を結び、人月商売に仕立て上げて中堅IT企業に仕事を流すという行為は、「錬金術」なのです。

錬金術・・。お金を生むその行為の現場がつまらないように見えようが、それは利益を生む以上は現場そのものであり、それをありのまま見せてくれたとしてそれに価値を感じられない学生は、おっしゃる通り来ない方がよいでしょう。

そこまで高度に感じられないのに、なぜ彼らに発注が来るのか。それは日本のSIの現状でもあります。最終的に実装が完了したとき、もしくは完了しなかった時に、裁判になることがよくあるからです。しかも巨額です。下手するとプロジェクトに支払う費用が30億円なのに、損害賠償請求額が127億円ということがあります。

 

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SIに潜むリスクはこれです。財務体質が強くないと、一つのプロジェクトで会社が吹っ飛びますし、吹っ飛んだ会社がたくさんあります。ですから、なぜにそんなに資料作成に血眼になるか。リスクマネジメントそのものです。これらを仕上げ続けた結果持つことができた磐石な財務基盤を糧にして、今日もまた大手企業から案件を請け続けている平常運転です。

かつ、メルカリやLINEなどのBtoC企業は華々しく見えますが、基本的な本業が一本(メルカリであれば個人間取引の仲介、LINEであればメッセージング)なため、その周辺のビジネス開発に躍起です。本業が環境変化で成長しなくなると致命的なので、本業の強さを軸に周辺ビジネスの開拓に必死です。最近はキャッシュレス決済競争に両方とも参入していますね。ビジネスの安定さでいえば、実際は大手SIerのほうが磐石だと思います。大手企業の巨大ウォーターフール案件だと受注できるところは限られており、栄枯盛衰のBtoCよりは人気が出て当然だと思います。

結局、つまらなそうに見える大手SIerの資料作成は、つまらない(けど巨額な)損害賠償裁判にならないための証跡づくりなのです。そんな仕事はつまらない、と思うのか、こんな一つ一つの仕事が錬金術につながるのかと思うのかは、それは人それぞれで十分だと思います。

 

まとめ

私自身は、今後巨大ウォーターフール案件は数が限られていき、企業自身が実装をするアメリカ型に徐々に移ると見ています。

オフィスを見ていると仕事に無駄が多く、小さなシステムさえあればかなり生産性が上がる場面が多いと思っています。今はRPAに脚光が当たっていますが、もっとDevOpsと呼ばれるすぐに開発してすぐに使い始め、PDCAで修正をかけて良くしていく。いわゆるアジャイルがすでに流行の兆しです。

 

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そうすると、一件あたりの金額は小さくなりつつ案件は増殖すると思います。そのとき、中小ベンダーも参入できやすくなり大手SIerの強みは限定的になっていくと思っています。大手SIerで要件定義できるようなレベルの人は、ユーザー側に引っ張られるんだろうなと思いますし、そうやって転職した人もよく見かけます。

インターンで刺激を受けなかった、のであればメルカリやLINEのようなメガベンチャーに行くととても楽しいとは思います。ただ、就職というのは非常に重要な局面なので、ビジネス面に対する知識は合わせて必要ではないか、と思います。メガベンチャー系は中に入って高い実装技術を身に着けつつ、社外に積極的にプレゼンし自己ブランドを高め、社外から引っ張られるぐらいのプレゼンスをしないとリスクマネジメントできないだろうなあ・・。

この話、学生にちゃんと読んでおいてもらいたいですね。

人生設計というか生存戦略というか・・ね。