orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

OECDの場当たり的な提言には耳を貸すな

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またOECDが何か言ってる

先ほど、こちらの記事を読んだんですけどね。

 

www.bengo4.com

OECD雇用・労働・社会政策局のステファノ・スカルペッタ局長が4月下旬、東京都内で弁護士ドットコムニュースなど複数のメディアを招き、労働市場の世界的な状況や日本は相対的にどのような状況にあるかについて説明した。

AIなど技術の進歩により、従来型の労働が取って代わられ、大量失業が起こる可能性について、スカルペッタ局長は「技術進歩による大量失業は起こりそうもないが、多くの仕事には変化が伴う」。一方、就職氷河期世代を助けるために重点投資すべきとの考えを示した。

 

誰かOECDの口を塞げるものはいないのか。 

日本の税金が流れていると思うと本当に悲しいです。

ステファノ・スカルペッタ局長はドヤ顔している場合ではない。

 

考察

OECDは先週こんなことを言っていたわけです。

 

www.asahi.com

経済協力開発機構(OECD)は15日、日本の経済政策についての提言を公表した。日本が十分に財政健全化を進めるためには、主に消費税で歳入を増やすことが求められると指摘。20~26%への税率引き上げが必要だとしている。

 

今回の記事をトータルするとこんな話になります。

・消費税は20〜26%に引きあげろ。
・低スキルの労働者の訓練へのアクセスを拡充するべきだ。
・明らかに彼ら(就職氷河期)に的をしぼっていくべきだ。投資をして、教育・訓練をしていくことが不可欠だ。
・労働組合を強化して、使用者と労働者の力を均衡化するべきだ。
・同一労働同一賃金。

 

おかしな話だと思います。なぜ消費税率を思いっきり上げた挙句、低スキル・非正規への教育を強化しろという・・。

以前下記の記事で述べました。

 

www.orangeitems.com

 

教育は消費税が非課税!、なんです。だから資産を持っている人は我が子に教育費をどんどんかけることが「お得」になっている。

消費税率を26%にした時点で、持っている/持っていないで経済格差は確定してしまうのです。

そのうえでOECDが行うことを推奨している、低所得者層への習得スキル研修は、資産家の子孫の高学歴による習得スキルと全く違うものであることは明らかです。かけている時間も違えば、コストも違います。だから「同一労働同一賃金」にしたところで、格差が埋まらないのです。

現在の高所得者層/低所得者層の格差を確実なものとし、資産家が次世代も資産家である環境を強化してしまいます。むしろ、若い世代におしなべて投資し人口が増える政策の方が急務なはずです。資産家に偏っている財をできるだけ若い世代に押し流すような政策こそ重要だと思っています。今は、むしろ若い世代にどんどん負担を増やして、増えゆく老人の負担に割り当てる縮小均衡の思想です。

OECDが言っていることはかなり場当たり的で、一個の数字を見て一個の政策しか言ってないので、全体を実行した時のシナリオが全く成立していないのです。

 

会議でたまにいる、「各論の正論ばかり主張して、現実的なことになると人ごとになるヤツ」の典型的な存在のように見えるのです。だって、OECDのヤツらは、政策が失敗したとしてもなあんにも傷つきませんからね。

 

 

OECDについて

OECDって何者?って思ったかたに、リンクを貼っておきます。

 

www.mofa.go.jp

問4.OECDの特色を教えてください。

 1)市場主義を原則とする先進諸国の集まりであるということ。
 2)政治、軍事を除いて、経済、社会など極めて広範な分野を扱っており、また、各分野を横断する問題にも取り組む能力を備えた国際機関であるということ。
 3)「クラブ的性格」と称されるものであり、その活動形態は、WTOにおけるよう加盟国間の「交渉」ではなく、「議論」を行うことにより政策協調や国際ルール作りを主体としているということ。
 そのため、会議の運営にも 1)全会一致を基本としている 2)決定の多くが紳士協定であるといった特徴があります。

 

もう役目を終えていいんじゃないかと思いますけどね。おそらく、OECDの構成員の人たちに、「就職氷河期世代」の人が全然いないんだと思います。当事者意識が全くないんでしょうね。