orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

内製しているテック企業、いいことばかりではない

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内製しているテック企業>SIer ??

とあるところで聞いたのですが、SIerはピラミッド構造。上流から下流までゼネコン的なピラミッド構造で、上流に入れれば高待遇だけど下流だと薄給。それより、自社で内製してサービスを作っているテック企業に入った方が技術も付くし、上流から下流までやれる。ヨシ!。だそうです。

私の感想としては、いやいや、いいことばかりではないよ、なぜなら・・、とちょっと語りたくなったのでまとめます。

個人的な経験による個人的な意見です。

 

考察

内製している企業の弱点は、その内製しているサービスや企業の経営状況に大きく左右されることです。すっごく才能があってすっごくいいものを作っても、それがバズってくれるかは、マーケティングなど技術以外の視点も大切です。けっこう運も関係していて、当たった時は企業にお金がどんどん入ってくるので、待遇も良くなりますがその逆もあります。

技術が求められる仕事があって、それに対して十分な結果を自分が出したと思っていても、経営状況によって報酬が大きく左右されるため、何だこんなものかと失望に変わることも大きいです。どこかの会社では経営陣同士で経営権争いをし始め、新規ビジネスがとん挫し始め、大元の基盤ビジネスがあおりを食った、みたいな話もありましたが、そういう泥臭い大人っぽい話に巻き込まれがちなのが、内製テック企業だと思います。

当然ですが、技術のための技術、ではなく、ビジネスありきの技術です。ビジネスを加速させる技術なら経営陣から高い評価を得るでしょうし、どんなに便利な技術でも市場から見向きもされなければ評価を受けません。そして、それがその技術そのものだけで評価されるならまだしも、広報や経営陣の市場プレゼンス、他者との提携など、いろんな要素でビジネスはうまく行ったり行かなかったりします。

また、もっと面白くない要素が、社内政治です。技術的には優れてる。でもあいつは気に入らない。そんな上司に睨まれようなら技術の話はかすんでしまいます。SIerのように案件に金額があり、どれぐらいキャッシュを得ているかが客観視されるのと違い、内製環境においては評価が非常にあいまいになります。特に上司の評価が大きいポイントになってしまい、この人間的なスキキライが、技術以上に物を言ってくるのが嫌な感じだという人もいます。

一方で、SIerにおいては、案件は複数の企業・複数の技術が転がっていることが多く、技術そのものが契約条件でありその達成条件(検収)も明確です。技術を提供し成果物を収めることについて、SIerは条件をかなり明確にしていて、その中で技術力を評価される技術者、という意味ではSIerの世界は内製の環境より優れている面もあります。

もちろん多重請負、偽装請負など悪しき文化の温床ではあるのですが、一義的にだからSIは、SIerは悪いということは言えません。きちんとした取引だって存在しています。また、フリーランスはこの中で企業を通さず直接取引で企業と契約するので、技術力が物を言う最大の立場ではないかと思います。ただ、それだけに、未経験からいきなりフリーランス、というのはあり得ないかと思います。

内製しているテック企業で活躍したいと思うなら、その企業のビジネスそのものをコントロールできる立場まで上り詰め、かつ末永く活躍し、経営陣とも人生の仲間としてよい関係を構築する。それぐらいの気持ちで付き合わないと、技術力を上げたいから、みたいな理由なだけで内製の会社に入ったら逆にとんでもないことになるかもよ、リスクもあるよ、と言っておきたいです。

 

SIerのほうがいい、場合もある

技術力だけ上げたい、という動機なら、私はSES契約を悪とは思いません。特に技術が足りない段階で、名の通った大きい企業の職場に若いうちに潜り込むならSESはアリです。そこにいる優れた人々にいろんな指導を受け、本当に技術を身に着けたならばSESから足を洗い、内製の企業に殴り込み、そこにいる技術者を蹴散らすつもりで・・現場で活躍すれば、大抜擢もあり得る、面白い世界だと思います。

ネットには、単に、メガベンチャーに入ればいいとか、SIerだとトップの5社に入ればいいとか、ノウハウばっかり先行していて、辟易することがあります。入ることが目的だとうまくいかないことがあります。入ってから何をするかがよっぽど重要です。

結局のところ評価を得るためにはどれだけキャッシュを得られる人間になるかが重要で、そのためには、ビジネスのことも知らなければいけないし社内政治も必要になってきます。いや、技術力だけに注力したいんだ、というのであれば、私はやっぱりSIerっていうのも選択肢の一つだと思ってしまいます。