orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。



ついに刈り取られ始めたOracle Database

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Oracle Databaseは長い間データベース界の王者である

Oracle Databaseと言えば、オンプレミスでの基幹システムにおいては王様のような存在です。以下は15年前の記事です。

 

www.atmarkit.co.jp

上記のデータベース製品利用状況を、稼働プラットフォーム(OS)別に集計した結果が、図2だ。ご覧のとおり商用UNIX上でOracleが7割のシェアを占める半面、Linux上ではオープンソースDB利用率が65%に達しており、それぞれ各プラットフォームにおけるデファクト・スタンダードとなっている。一方、現在最も普及しているWindowsプラットフォームでは、OracleとSQL Serverのシェアが接近した“一騎打ち”状況を呈している。こうして見ると、UNIXという地盤を維持しながらも、拡大するIAプラットフォーム(Windows/Linux)でそれぞれ一定のシェアを押さえてきたマルチプラットフォーム戦略が、現在のOracleの成功要因であることが分かる。

 

なつかしいですね。15年前は基幹システムのプラットフォームは、商用UNIXが全盛でした。Solaris、HP-UX、AIXの3大OSがあってその上ではOracleがほぼ独占状態だったわけです。しかし、x86で動くLinuxが台頭してくると同時に、なんだかPostgreSQLとかMySQLというのがあって、なんだかちゃんと動くぞ、ということで注目されることとなりました。そのうち、商用LinuxからRedHat Linuxや、実質無料で使えるCentOSなどが爆発的に採用されていったのでした。しかしLinux版Oracleももちろん開発され、現在のLinux全盛の世になっても、Oracle Databaseで動くシステムがたくさんあります。

 

2016年に潮目が変わる

ここ最近は新規プロジェクトだとOracleじゃなくてPostgreSQLなどのOSSで行こうというのは現在のトレンドですよね。下記は3年前の記事。

 

www.atmarkit.co.jp

Oracle Databaseのライセンス体系が変更され、これまでSE1/SEを利用していたユーザーは「実質の値上げを受け入れる」か「Oracle Databaseをやめる」かの選択が迫られています。本連載では、商用DBMSからOSSデータベースへの移行を検討する企業に向け、「MySQL」への移行プロジェクトで必要となる具体的なノウハウをお届けします。初回は、本連載を展開する背景を説明します。

 

2016年にOracle Databaseの大幅なライセンス改訂があり、これにより小規模システムにおいてOracleを使い続けるか至る所で議論となりました。

一方で、Oracle Databaseでの開発スキルのある技術者もたくさんおり、OSSにすることで移行コストが高くつくのでは--。ここ数年はそんな微妙な雰囲気が流れており上記はこれを象徴するような記事でした。

しかし、結局は小型の新規ものだと十中八九クラウド+Linux+OSSというパターンが激増しました。下記は2018年の記事です。もはや結論は出たと言ってもいいような論調となっていますが、2016年以降の検討結果とも言える内容です。

 

enterprisezine.jp

データベースシステムに関しては、実績を重視し商用製品を使い続けてきた長い歴史がある。しかしここ最近になり、PostgreSQLやMySQLなどオープンソースのデータベースへの関心が一気に高まっている。これは、商用データベースの高いコストに不満を持つことなどがきっかけだろう。さらに、これらオープンソースのデータベースがどんどん進化し、基本機能や性能などが商用データベースと遜色なくなってきたこともある。

 

OSSの品質も大規模システムに耐えられるものとなり、かつAWSのようにマネージドサービスを提供するなどクラウドの世界により適応し使いやすいものとなりました。開発現場で実際に利用する技術者もかなり増えました。

しかし、Oracleはこの流れに逆らうべく、AWSやAzureでOracle Databaseを利用する場合の価格を実質2倍に引き上げるなど、一貫して非Oracleのクラウドを否定し、Oracle Databaseをクラウドで利用するなら、Oracle Cloudを利用するべき。そうでなければオンプレミスで利用するべきとのスタンスを崩してないように思われます。

 

tech.nikkeibp.co.jp

米Oracleが2017年1月に実施したクラウドコンピューティング向けのライセンス体系の変更が波紋を呼んでいる。Amazon Web Services(AWS)といった、米Oracleが提供する以外のクラウドサービスで「Oracle Database(DB)」などを利用する場合、これまでと比較してライセンス費用が最大2倍に値上がりする可能性があるからだ。米Oracleの1月の発表と同時に、日本企業への適用も始まっている。

 

また、Oracleのクラウド大手AWSへの攻撃もかなり激しくなってきたのが最近です。IaaSであるOracle Cloudについても2018年末に強化しいよいよ、クラウド分野の王様、AWSと真正面から戦おうとしています。

 

enterprisezine.jp

第二世代のクラウドインフラを利用することで、より高速で安価にクラウドのサービスが利用できるようになる。それを証明するためにエリソン氏は、昨年と同様に処理性能や価格をAWSと比較して見せた。

 「Oracle Cloud InfrastructureはAWSに比べ50%くらいは速い。ブロックストレージへのアクセスでは5倍も速く、さらに価格も安い。AWSからデータを抜き出して他に持って行こうとすると、Oracleの100倍もコストがかかる」とエリソン氏は主張する。

 

japan.zdnet.com

Amazon Web Services(AWS)の最高経営責任者(CEO)Andy Jassy氏は11月、Amazonのコンシューマー事業では、Oracleのデータベースの利用をほぼ終了し、AWSのそれに移行しようとしていると述べた。これに対し、辛辣な発言で有名なOracleの共同創業者兼最高技術責任者(CTO)Larry Ellison氏は、普通ならそんなことはしないと主張した。

 Ellison氏は米国時間12月17日、Oracleの2019会計年度第2四半期の業績を発表する電話会議で、「わが社はデータベースに関してAmazonを大きく引き離している」と述べ、次のように続けた。「技術的な観点から言えば、普通ならOracleのデータベースからAmazonのデータベースに移行することなどあり得ない」(Ellison氏)

 

そして、AWSもOracleに言い返すという・・。

 

tech.nikkeibp.co.jp

米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が、同社への批判を繰り返す米オラクル(Oracle)に反撃した。2018年11月に開催した「AWS re:Invent 2018」の基調講演では、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)で過去に起こったシステム障害が「Oracle RAC」のバグに起因していたことまで公表し、脱Oracleの歴史を解説した。両社の仁義なき戦いは過熱している。

 「2004年12月12日はアマゾンにとって史上最悪の1日だった。クリスマスを前に注文が非常に多くなるはずだったこの日、Oracle RACのバグが原因で顧客データベース(DB)が12時間ダウンし、それによってアマゾン全サービスも12時間ダウンしたからだ」――。

 AWS re:Invent 2018の11月29日の基調講演。アマゾンのヴァーナー・ボーガス(Werner Vogels)CTO(最高技術責任者)は冒頭でこう語り始めた。かなり異例のことだ。

 

ざっとここまでが2018年までの印象でした。小規模案件でOSSがOracle Databaseの代わりとして実績を伸ばし始め、クラウドではAWSがRDSでマネージドを行うことで中規模~エンタープライズでOracle Databaseのシステムを刈り取り始める。Oracleは必死の抵抗という状況です。

 

2019年にAWSが驚きの動き

今週に入って驚いたのが、AWSが、実際のユーザー事例、とくにエンタープライズの本流である金融システムを引き合いにして、Oracle Databaseで動くシステムの刈り取りを発表したことです。

 

cloud.watch.impress.co.jp

AWSの安田俊彦氏(事業開発本部 本部長)は、こうしたデータベース移行で使われるサービスについて解説した。

 安田氏は「これまで既存システムで使っている商用データベースについては、維持コストより移行コストが大きいと考えられてきた」と説明したうえで、「数年前まではそうだったが、その判断が逆転しはじめた」と語った。

 その理由として安田氏は、データ量の増大にともない、オンプレミス上でのライセンス料、保守サポート費用、ハードウェアの追加購入費用、延長保守費用などの維持コストが増大することを挙げた。

 

japan.zdnet.com

住信SBIネット銀行がデータベースをOracleからAmazon Web Services(AWS)に移行していることを明らかにした。理由はコストで、「移行中の一時的なコストは非常に高いが、それも含めて3年間でペイできると試算している」(システム開発第2部長の相川真一氏)と話す。

 

www.nikkei.com

住信SBIネット銀行はインターネットバンキングなどのデータベース(DB)を米オラクルの「Oracle Database(オラクルデータベース)」から、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が提供している「Amazon Aurora PostgreSQL(アマゾン・オーロラ・ポスグレSQL)」に移行する。2019年3月5日にAWSが開催した説明会で詳細を明らかにした。

 

ということで、「脱オラクル」というパワーワードを日経新聞が取り上げるという力の入れようです。日本ではIaaSとしてはOracle Cloudが弱く、AWSが非常に強いということから考えても、Oracle Databaseのクラウド移行かつOSS移行というOracle社にはかなりのクリティカルヒットとなるテーマにAWSが大きく切り込んできた印象です。

個人的には・・もっと安価にOracle Databaseを様々なクラウドで使えるようにしたほうがいいのではないかと思っています。詳しく述べませんが、Oracle Databaseのライセンス体系はプロセッサーライセンスが主体であり、パブリッククラウドに適合したものになっていません。AWSとAzureだけは仮想コアでの計算が認められるものの、上記の記事のように2017年に最大2倍に引き上げられた歴史もあります。何しろ、オンプレミスで物理サーバーで利用するか、Oracle Cloudで利用する。もしくは最近流行の、クラウドのベアメタルサーバーで利用する。何しろVMwareが絡んでも複雑になるしということになっています。

そういえば、そんなことを主張したOracleの開発担当プレジデントがエリソン氏と激突してGoogle Cloudに移ったんだった。

 

www.orangeitems.com

 

AWSがこれだけOralce Database移行の刈り取りを大胆に宣言してきた後、Oracleがどんな一手を繰り出すか、かなり気になるところです。何もしなければ、AWSの優勢は揺るがないと個人的には思います。

まあ、Oracle Databaseの代替が、OSSではなくMicrosoft SQL ServerやIBM Db2も選択肢にあったりするようなのがさらに面白いところですが・・。

 

補足

DBMS人気ランキングなんていうものがあるらしいので紹介しておきます。

 

news.mynavi.jp

トップ3のOracle、MySQL、Microsoft SQL Serverと4位以下にはストア値に大きな開きがあるが、トップ3は長期にわたり徐々にシェアを減らす傾向が続いている。