orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

「リアル店舗がAmazonに逆襲する時代」がやってくる

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アメリカではリアル店舗が逆襲している

小売りの分野は今後もAmazonの独壇場、‥と思ったらすこし事情が違うようです。

 

www.nikkei.com

 

有料記事なので引用はつけませんが、アメリカではネット優位の見方が変化しリアル店舗での販売が息を吹き返しているそうです。

もう一本。

 

gigazine.net

AmazonのCEO・ジェフ・ベソス氏の純資産が1000億ドル(約11兆円)を突破したと報じられ、Amazonの隆盛が見て取れます。一方で実店舗のある書店は生き残をかけた戦いを行っていると言われていますが、新たな調査によって、独立系書店の数がここ数年で増加傾向にあることがわかりました。

 

なんと、消失すると見られていた独立系書店が息を吹き返しているという話です。小売りは結局ECばかりになってリアル店舗は消失する・・なんていう想像も語られる状況だったのがここ最近で変化が生じているようです。

ただ、アメリカの話です。日本も同じ状況になっていく可能性も随分あると思いますがなぜこんなことが起きているのでしょうか。

 

考察

リアル店舗で品定めをして、Amazonで注文する・・という店舗のショールーム化が危惧されましたよね。

 

news.nicovideo.jp

 お客の中には、ヤマダの店舗を完全にショールームとして扱い、現物を見て商品説明を聞きながら、結局は買わない失礼な人も少なくないそうだ。30代のカウンターセールス担当の男性は、お客の容赦ない態度に心を痛めている。

 「最近はスマートフォン片手に商品説明を求められ、説明すると『それだけ聞きたかった』と言って、ネットで買うからと(立ち去る)モラルのない人も増えてます」

 

で、結局これを突き詰めると、消費者の持つ、価格はAmazonの方が安いという感覚なんですね。

でも、実は小売店は一つの大きなアドバンテージを持っているのです。

「すぐ手に入れて、持って帰ることができる」ということです。いくらプライム会員でも発注から手に入るまでは少なくとも一日はかかります。でも、お店でその商品に出会ってしまって実際に触って欲しいなというお客様が実際にそこにいるわけです。

そんなの、実際に現地で買う方が楽しいし、エキサイティングでエンターテインメントではないでしょうか。

そして、その「価格」ですが絶対的なアドバンテージではないはずです。もっと言えば小売店側で、デジタルでバッチ処理をして、Amazonの価格を上回らないようにすれば絶対に負けません。その店舗でしか使えず結局は販売価格をかさ上げしているに過ぎないポイントを廃止して、Amazon価格保証とだけやれば、実はAmazonのアドバンテージなど言うほどないのです。

すぐ買える、すぐに手に入れられる。これこそ価値です。

 

コンビニにある「すぐに手に入れられる」という価値

コンビニは24時間営業であるべきか・・。今話題になっていますよね。

 

gendai.ismedia.jp

だが不思議なことに24時間営業を実施すると、昼間の売上高が大幅に増えることが知られており、コンビニ各社はその効果を狙って24時間営業を行っているのだ。

深夜営業すると昼間の売上高が増える理由ははっきりしていないが、いつでも開いているという心理的な安心感が作用し、顧客の来店頻度が上がることが原因と考えられている。一般的に深夜営業をやめてしまうと、全体で3割程度売上高が落ちると言われており、その多くは昼間の売上高減少分となる。

 

この記事中のように、24時間であることで売上がなぜか増える。これは「24時間やっている店」というのが一つのブランドであるためだと私は認識しています。いつでもやっていて、いつでも手に入る。いわゆるリアル店舗の最強のカードを表現しているため、定価でも飛ぶように売れるのです。そう考えると、価格とは不思議なものではありませんか?。すぐ手に入れたいという衝動は定価をも受け入れる理論武装となるのです。

ですから、24時間をやめたくないセブンイレブンの気持ちはよくわかるのです。24時間のブランドを守れないフランチャイズオーナーは、そもそも契約するなよというロジックがよくわかるのです。24時間やめたらブランド価値が棄損して、みんなで共倒れだぞと。

ただし。一方でフランチャイズオーナーが契約不履行になる場合のリスクに対するヘッジが、違約金1700万円はよろしくない。違約金か、過労死か、この選択肢しかなくなるオーナーがいるのはまずい。これを予見できないのはまずい。ヘッジとしては、個人的には、契約不履行とみなされる場合セブンイレブンが店舗を買い上げて直営店にする規約を追加するべきだと思います。そうすると、フランチャイズ契約であっても本部は新規開店に慎重になるはずです。またもしフランチャイズを実行できる力のある組織が育った場合は、直営店を独立させることもよいでしょう。このように、24時間ブランドを守るためには、不幸な人間を生み出さないような制度作りが重要なのだと思います。24時間を止めることではなく、24時間を続けつつセブンイレブンはじめコンビニ各社が、それを支える労働力に対して責任を負う必要があると思います。でなければ、店舗網は縮小しなければいけない。違約金の形でフランチャイズオーナーにリスクヘッジを負わせることは、人道的なリスクを抱えていると思います。

 

リアル店舗を始めるAmazon

さて、ちょっと脱線しましたが、リアル店舗のAmazonに対する逆襲というテーマは社会現象としては興味があります。Amazonは逆にアメリカでは、リアル店舗に力を入れ始めています。

 

www.ebisumart.com

本日は、ここ数年のAmazonの実店舗への進出のニュースをまとめ、Amazonの狙いと、日本でのAmazon実店舗の課題をebisumartでWEBマーケーティングを担当している筆者が解説してまいります。

 

ここでは、Amazonの先進性とひもづけて実店舗展開を表現していますが、私は実は逆で、Amazon自身がECの限界と実店舗のリバイバルの可能性に対して対策を行っている、つまり攻めではなく、守りの政策ではないかと思うのです。

俯瞰してみれば、小売りは小売りなので、Amazonはどのような形に変化しても、消費者に最適な小売り業者でありたい、と言ったところでしょうか。自身の形をも否定できるところがAmazonの強いところではありますが、一方で失敗ができないくらい大きな体になったのも事実です。

先の記事で、小型の独立系書店がアメリカで盛り返しているとありました。やはり、顧客が商品を手に取り、それを「欲しい」と言う瞬間を捕まえているリアル店舗は強いです。ECサイトがディスプレイの平面の世界であるとすれば、リアル店舗はVRなのです。奥行きもあれば重さもあれば、質感もあり匂いもあるのです。

ぜひ、小売店舗の方は、「価格」「品揃え」だけでAmazonに負けると思わず、店舗にお客様が実際に来て商品を見ていることに大きなアドバンテージを感じてほしい。あとはデジタルの力で価格をECと変わらないと思わせれば、きっと勝てます。これが、小売業におけるデジタルトランスフォーメーションの本来の価値だと思います。だってECの価格なんて瞬時にわかるのですから、それを自動的にリアル店舗の価格にフィットさせればいい。店舗運営のデジタル化まで行かなくても、RPAでECの価格チェックを自動化させてもいいわけですよね、今風なら。

ECとリアル店舗が、デジタルの上で健全に競争できる時代がそこまで来ていると期待します。