re:Inventを見て思うこと
AWSの年次イベントであるreInvent 2018がラスベガスで開催しました。
Amazon Web Services(AWS)の年次イベント「re:Invent 2018」が米国時間11月26日、ネバダ州ラスベガスで開幕した。事前登録者数は5万人を超えると見られ、年々規模が拡大する同イベントの盛況ぶりを反映するかのように、インフラをテーマにした初日夜の基調講演では、過去に類を見ない規模の新機能が発表された。
今回の新機能は以下の通りです。
で、きっと間もなく、AWSを扱う企業の関係者が企業ブログ等で「こんなことができるようになったすごい」というエントリーでしばらく盛り上がるといういつものパターンが見えます。
AWSは大丈夫か
私は性根がひねくれものなので、どんどんAWS 何とかサービスを増やしていくこの所業は、誰のためなのかと勘繰ってしまいます。
故スティーブジョブズ氏の功罪で、大規模プレゼンを開いて年次で新機能を発表して熱狂的なファンを増やすことを繰り返した結果、必要もない機能が次々と追加され、不要な機能や重複する機能が増加し結果として身動きが取れなるのではないかと心配しています。
このあたり、Googleですらいろいろとサービスをつぶしていっていますし、「はてな」だっていろいろとラボ行きにしたサービスを廃止しているのは有名です。Yahoo! Japanだってジオシティーズの廃止は掲示板の廃止を決めていますし、それに対してAWSはどんどん機能が追加されている一方、サービスを終了する話をほとんど聞きません。
もちろんシェアがナンバーワンである宿命として、マイナーサービスでもやめられないという縛りはあるのではないか、と思います。
私がクラウドやインフラに求める要件は、たくさんのPaaS的な機能ではなく、安定性とスケーラビリティー、そして厳選した標準的な機能です。大事なシステムほど、王道の設計を施し実績のないサービスは使いません。PaaSの機能などIaaS上で構築できますしーー。
・・とまあ、こんなインフラ屋がいるから、めんどうなのでAWSで当該機能を使ってちょちょいと実装したほうが早いと思われるのもわかります!。
ですから、私の目線から見て「大丈夫かなあ」に対して「大丈夫だよ」というAWSもごもっともでアッパレです。ただ、私はAWSのデータセンターの中で仕事をするのは個人的には遠慮したいなあと。---例えて言えば、コンビニが昔はレジと商品陳列しか仕事が無かったのが、どんどんやらなきゃいけないことが増えて行っている、そんな感じです。
私がいくら大丈夫か?って言っても、これまで大丈夫だったのですから私はハズレですが、未来も言い続けると思います。AWSは大丈夫か?と。
いつか必要なスクラップアンドビルド
私は、クラウドサービスを使うに当たり、「もしかしたら将来廃止されるかもしれない機能」と言うリスクを感じる場合には、設計要素に加えないようにしています。本番サービスが安定しているときにそんなことが起きたら大変です。
仮想サーバー・OSについては無くなることがない基礎技術なのでだいじょうぶでしょう。ストレージやネットワーク、ロードバランサーやファイアウォール周りはあまり心配していません。
しかし、いわゆるPaaSと呼ばれる、ミドルウェアをサービス化したものについてはかなり不安を持っています。需要が強いものは継続するでしょうが、あまり人気が出なかったものはいずれEoS(End Of Service:サービス終了)を迎えます。
ITの現場では歴史的によくある考え方なだけに、「おおこんな新機能が出たか便利だなあ使おう」というわけにはいきません。
新しい技術で言えば、本気で採用できるのはKubernetesぐらいなものです。他のクラウドでも動くので、あるクラウドプラットフォームで終了になってもリスクヘッジできるからです。
一方、AWSも運用パワーは有限なので、どこかでスクラップアンドビルドしないと収拾がつかなくなってくるのでは・・と思っています。今は収拾がついているので順調に伸びているのでしょうが・・。これはベンダーの体力や内部統制、本業のビジネス状況など総合的に関係してくるので、特に拡大志向の強いAWSに関しては冷静に業績の報道や社会のニュースを見ているところです。まだ・・大丈夫そうですけどね。未来永劫ではないだろうと。
まあ、お客様が使うと言えば使うだけなので、私の心配は全く世の中には影響しない、のですが・・ね。