orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

人生のリスクは教育費 | 給与実力主義の大きな矛盾

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江崎グリコの例にみる幹部層の経営改革

お菓子で有名な企業、グリコの経営改革の記事です。

 

diamond.jp

それまでグリコの人事制度は、実質的な年功序列だった。評価や能力に対して職能資格を割り当てる日本的な「職能型」と呼ばれるシステムである。

 新たに導入した制度はこの仕組みを廃し、欧米的な「職務型」と呼ばれるものになった。

 務める役職の責任の大きさに応じて報酬が決まる。個別の役職に「役割グレード」が割り当てられ、そのグレードごとに設定された幅のある年俸レンジ給となる。

(中略)

実際、年俸レンジ給は従来の固定給の水準に比べて下振れ幅が大きい。現在の役職が重要でないと判断され、低いグレードを割り当てられれば、従来と同じ仕事でも給与は減る。給与が上がった者がいる一方で、下がった者も続出しており、事前の説明から間もない性急な施策に社員の間で不満が噴出している。

 

考察

40数年生きているとわかります。生活水準は年々上がっていくのですが、もっとも支出が多いタイミングが、子供が高校から大学に差し掛かるときです。極論、生活水準なんて長期間フラットにしようと思えばフラットにできます。保有する自動車の価格や外食の頻度、旅行の有無など、「変数」、つまり自分の意志で変えられるものであれば、切り詰めればよいだけです。すべて切り詰めた結果の消費する金額が、給与と見合っていれば破綻しません。しかし、しかし、教育費だけは変数ではないのです。現在の教育環境をシビアに見ればわかるのですが、明らかに私立の方が効率より設備や教育メソッドが充実しています。ここまで差がついている状況の根幹がどこにあるかはわかりません。そして、私立のほうがお金がどうしても公立よりかかります。そんな状況で、子供の教育環境を選ぶとき、自分の給与を理由に私立より公立を選ばせることは、親としては避けたいのが事実です。もちろん、よい公立高校もあるでしょうから一概には言えないとは思いますが、その分環境の良い公立の競争率も相当に高いものとなります。

このような意味で、教育費というものは、変数というより固定費と考えた方が良いと思います。どんな才能があるかわかりませんし、あったらあったでまた教育コストがかかります。もっと具体的に言えば、年間にして100万から200万を超える支出が求められるのです。自分の収入からこのコストを毎年出し続けなければいけなくなるのが、ちょうど40代、つまり今回の江崎グリコの幹部クラスにピッタリと重なってしまうのです。しかも子供が一人ではなく二人、三人以上いたら?。

終身雇用を前提とした古くからの日本企業に代表的な、職能給、つまり毎年給与水準が上がっていく方式は、この教育費に対してフィットしていました。教育費のかかる40代から50代、ついでに住宅ローンまで背負うこの世代に波長が合っているため、今の日本の繁栄もあるのだと思います。

急に、40代、50代の能力給のロジックで給与水準を下げるような状況に追いやると、最終的にはこの教育費において相当なリスクを負います。今の時代だから、と言う言葉でごまかしてはいけません。この世代は次世代の教育責任を負っており、全ての企業が給与水準を引き下げるようなことを大胆に行うと、次は教育の崩壊が起こり、最終的には全体バランスが崩れ優秀な次世代の人材が枯渇するところまで行くと思います。

この記事を読んで、自身の給与がどうこうではなく家族の生活まで踏み込んで、相当に悩み、転職の道を選んだ人も多数いらっしゃるのではないかと推察しました。

まとめ

もし、社会が本当に給与実力主義に100%舵を切るのであれば、人生におけるこの教育費という突出した「変えられない支出」、そして住宅ローン設計など、ミクロにおける人生設計の方法をもう一度、国民的な議論として見直してほしいと思います。

給与のところだけドラスティックに変えつつ、教育や住宅のところは全く状況を変えないというのを今の40代、50代に押し付けると、最終的に社会が壊れてしまうということを「一企業だけが抜け駆けせず」考えるべきだと思います。

 

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