大塚家具絶不調
大塚家具の経営が絶不調だそうですね。
私は若い頃から大塚家具をよく使ってきました。調子が良かった頃の大塚家具を知っています。で、ここ数年変わってきたのもよく知っています。去年行った時にかなり印象が違っていましたから。
そういう意味では私も客離れした一人なのですが、不満点および改善点をまとめておきます。復活してほしいなと思っている一人です。
ビジョンとミッション
私は、まず会社を評価するときは、ビジョン(どうありたいか)、ミッション(どうすべきか)を確認する癖をつけています。不思議なことにこの通りに会社は成長します。そしてその内容があやふやであったり、邪念が入っていたりするとそこをついて、不祥事が起きてしまう。
さっそくホームページを確認してみます。
・経営ビジョン
・ブランドビジョン
これが並列に書かれていることです。
かつ、経営ビジョンのほうが、ブランドビジョンより「上」に書いてあります。つまり視覚的には経営のほうが上位のビジョンということになります。ここにまず改善ポイントがあります。会社としてのビジョンは1つであるべきです。経営とブランドのビジョンがそれぞれあると、従業員も顧客も混乱しますし、しています。
ブランドビジョン
それぞれのビジョンを見たのですが、本来であれば、このブランドビジョンが最上位のビジョンであるべきだと感じました。
幸せをレイアウトしよう、これが最上位であるべきですが。この意味を確認します。
私たちIDC大塚家具は、インテリアを起点とした幸せを、高度な専門性を発揮しながらご提案していきます。そして、お客さまと一緒に考えながら、新しい暮らしを創っていきます。
すべては、お客さまそれぞれの幸せのために。ブランドビジョンに基づき、お客さまからの評価を高め、企業価値を高めていきます。
この内容については特に違和感がありません。昔から、担当者がついてくれて、いろいろ提案してくれて、家具が選べて満足したものでした。高度な専門性があるというところも価値だと思いました。
あれ、そういう意味ではビジョンは変わっていないのになんで今うまくいかないのか。経営ビジョンも見て見ましょう。
経営ビジョン
経営ビジョンって、クリックするとIR情報-IRライブラリーの中にあるんですよね。
ということは、IR寄りの文書として作ったものの、目立たせたくてブランドビジョンの上にアイコンを作っちゃったんだろうなあ・・。
で、最も、最も私がいけないと思うのが、経営ビジョンの中にミッションを入れてしまうことです。
文書をよく読むと、大塚家具のミッションは「一人ひとりにとっての上質な暮らしの提供」 らしいのです。トップメッセージの大塚社長の言葉の中にもでてきます。でも、ミッションというのは社長が語るときに出てくるものではないのです。
経営ビジョンはIR情報の中に閉じ込めて、ブランドビジョンのページにこれを達成する方法として、ミッションをきちんと書くべきでしょうね。
ブランドビジョンに対するミッションがあいまいので、どうやったら「幸せをレイアウト」できるのか行動できなくなっていると思いました。
また、経営ビジョンの端々にある、「暮らしのソリューション提案企業」というのも気になります。これを目指すとあるのですが、そうするとブランドビジョンと重複しませんか?。意味が同じだとしたら言葉を変える必要はありますか?。
暮らしのソリューション提案企業になるのがビジョンでしょうか。幸せをレイアウトするのがビジョンでしょうか。私が社員なら混乱します。目指して、というのはビジョンと同義です。
で、経営ビジョンを最後まで読んだんですが、ブランドビジョンは全く触れられてなかったですね・・。
総括
これって、ブランドビジョンと経営ビジョンがケンカしているということでしょうか。ブランドビジョンによって作られてきた先代の会社文化が、久美子社長の経営ビジョン・ミッションと大きくぶつかっている・・。
トップメッセージには、その証拠に経営ビジョンだけが語られ、ブランドビジョン「幸せをレイアウト」というワードは全く、全く出てきません。会社としては不思議極まりない。ただただ露骨だと思います。
経営ビジョンに関して改めて触れると、これまでのブランドビジョンにて行ってきた経営は、久美子社長の経営ビジョンによって取って代わるんだというようにしか読めません。「どう変えていくか」ということが書かれているのですが本来は経営ビジョンというのは会社のビジョンのもとで、何がどのようになれば良いのかが書かれるべきです。今をどう変えていけばいいかというのは経営ではなく現場寄りの話だと思います。ミッションというよりコマンド(指令)になってしまうと思います。
結果として、現場は萎縮してしまい久美子社長の意図の中でしか、物事が動かなくなったのではないでしょうか。経営ビジョンやミッションは、実はより抽象的であり、従業員の創造的な発想を生み出す基盤となるべきものなのです。具体的な指示であればあるほど従業員は逸脱しなくなり、創造的なプロセスをやらなくなります。
優秀な人であればあるほど、去っていきます。
そうやって大企業は、つぶれていくのです。まず今やるべきは、経営の立て直しです。久美子社長就任以来(つまり経営ビジョン)を否定した上で、一からビジョンとミッション、そしてコアバリューを再定義し、現場に自由を持たせることができれば、きっと息を吹き返しますよ。
お父さんを経営に再度呼ぶとかね。横にいてもらうだけで違うと思います。
そうか、スティーブ・ジョブズもアップルから一度追放されて、帰ってきたんだっけか。