orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

AI革命、はじまりは2014年だった

 

NVIDIAと言えば、最近はAIを動かすエンジンであるGPUを一手に担っているイメージだが、元々はグラフィックカードを担当していたイメージだった。

いつの間にかAIの中心にいる同社だが、それはいつからなんだろうと思って歴史をさかのぼっていたところ、どうも2014年、同社の技術者会議で発表したお話がスタートのようだ。

 

www.4gamer.net

NVIDIAはこれまで,GPGPUを,石油探査やコンピュータ支援エンジニアリング(CAE),産業シミュレーションや新薬開発といった,比較的,短期間で成果が現れやすい分野に売り込んでいた。もちろん,これらは今後もGPGPUが使われる分野ではある。
 それに対してGTC 2014では,機械学習という新しい領域にGPGPUを訴求してきたわけだ。機械学習は今まさに急速な発展を見せている分野であり,強力な演算能力を持つコンピュータが求められている。Huang氏が基調講演の大きなテーマとして機械学習を取り上げたのは,この分野にGPGPUのビジネスチャンスを見出せると考えているためだろう。

 

世間に広がるのはここから6年くらいはかかっていると思うが、その土台をここを起点にして作って来たというわけである。きっと、2014年にこの記事を読んだときはほとんどの人が「?」だったと思うが、先見の明とはこのことだ。今読めば何を言っているかわかるが、10年前の話である。

上記の記事がもっと興味深いのは、もともとはGoogle社が2012年に出した論文が着火点となっていること。Google社のクラウド思想においては、世の中において不可能なことも、コンピュータを並列につなげれば(スケールすれば)何でもできる、という発想だ。だから、単なるサーバーを横に並べて機械学習したら、1万6000コアが必要だったと。私のPCのコア数は32コアでかなり多いが、それでも500台は必要だ。家に置けないね。

それを、GPUを使ったらもっと速いし、安いじゃん、ということを2013年にNVIDIAが発表。PC3台でできちゃった・・だって。

今となっては当たり前に感じるこの辺りの体感も、2014年辺りにワクワクして突き止めて行った研究者がいるというのが夢があると思う。その成果が2023年、2024年あたりで大きく花開き世界を変えていくということになる。

もっと言えば、2016年にはNVIDIAは、世界の有名大学に機械学習向けのGPUを配布している。

 

blogs.nvidia.co.jp

私たちは、世界最速の GPU を、世界で最もスマートな AI 研究者が使えるようにする取り組みを続けています。

NVIDIA は先月、ホノルルにおいて、世界初の NVIDIA Tesla V100 GPU アクセラレータを AI のトップ研究者に提供し、彼らを驚かせました。そしてその後シドニーでも、またも衝撃を与えました。NVIDIA Tesla V100 GPU アクセラレータ 15 基を配布したからです。

 

日本では東京大学が受け取っている。今はGPUも進化し、個人レベルでも機械学習を楽しめるレベルまで来た。NVIDIAではない、AI専用チップの話も至る企業で現実化している。

急に様変わりしてしまった世界だが、まずは研究段階があり、実装に向けた試行錯誤の段階があり、そして今に至ると言う流れは知っておくべきだ。

そして今、実装までできたので、どうやって世界はこれを社会に取り込むか。また、今であっても資源を限りなく使うので、もっと効率のいいAIの在り方も考え始めている。

AIは、また一時の流行で終わるだろう、と考えている人も依然として多いと思うが、これだけ長い期間を経て現在に至る。もうここまで来たら、流行の部類ではなく、使う人と使わない人で差がついていく段階に入ったと言っていい。次は、どう使うか、である。