orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

実用段階に入ったAIとそれを支えるハードウェアの進化

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今のAIは第三次ブーム

AI(人工知能)自体の発想は最近始まったわけではなく昔から着想はあったものの、長い間がっかりされてきた事実です。

 

www.technologyreview.jp

「3つの時期」は、第1次から第3次までのAIブームの各時期に当たる。第1次AIブームは1960年代。米英を中心とする「AI」分野が初めて立ち上がった。ただ、あくまでも学術的なブームであり、社会的なインパクトがそれほど大きなものではなかった。第2次ブームは1980年代。コンピュータが一般家庭に入り、期待が高まったときのことだ。そして第3次が現在である。

 

第3次ブームと呼ばれる今のAIは、過去のブームと違ってどんどん社会に露出し実際の人々の仕事や生活に入り込んできています。

 

目に見えてきた具体的なAI

ここ最近のニュースを見ても、AIを中心に置いたサービスがどんどんリリースされています。具体例をまとめます。

 

バスの出発時間を予測する

forbesjapan.com

カナダ・バンクーバー都市圏の交通行政を管轄する団体「TransLink」は、利用客がより正確に目的までの時間を推測できるよう独自のAIツールを公開した。すでに13のバス路線に試験的に採用されており、出発時間の予測という側面で大きな成果を収めているという。

開発されたAIは、バスの位置データや、出発時間に影響をおよぼすであろう天気や時間などのデータを組み合わせたものとなる。同社のKevin Desmond CEOによれば、「予想された時間と実際のバスの出発時間が74%も改善(誤差が縮まった)された」という。

 

見込み顧客を検出する

www.nikkei.com

建築事務所のロジックアーキテクチャ(熊本市)は、営業データなどを人工知能(AI)が学習し、戸建て注文住宅販売で、成約率を高めるシステムを開発した。注文住宅は成約までに時間がかかり、成約率が低いと採算が悪化しやすい。これまでの営業記録や住宅展示場でのアンケート調査を分析し、AIが顧客に最適な価格や建設地域を割り出す。自社運用を経て2020年からシステムを外販する。

 

紳士服スーツのオーダーメイドを提案する

senken.co.jp

高島屋は9月1日から、AI(人工知能)を活用した接客ツールを紳士服パターンオーダー(PO)の自主編集売り場「タカシマヤ・スタイルオーダー・サロン」に導入する。AIが顧客の好みに応じた最適な生地を提供する。日本橋、新宿、横浜、大阪、京都の5店でスタートする。

 

植物を育てる

tech.nikkeibp.co.jp

ソフトバンク・ビジョン・ファンドなどが2億ドル(約210億円)を投じる米プレンティ(Plenty)は、独自の植物工場を開発する農業スタートアップだ。既存の植物学にとらわれない発想で開発したAI(人工知能)が植物工場を制御することで、優れた風味の野菜や果物をわずかな水使用量で栽培できるという。

 プレンティの植物工場は独自の「垂直農法」であり、文字通り垂直に立てた柱のような栽培装置で葉物野菜や果物を栽培する。土は使わない。ミネラルや栄養素を加えた少量の水を栽培装置内で循環させて野菜を水耕栽培する。水は工場内でリサイクルするため、屋外の農場で野菜を栽培するのに比べて、水の使用量は20分の1にすぎないという。

 

ハードウェアの進化が欠かせない

第三次ブームはディープラーニングがもたらしたのは周知の事実ですが、このディープラーニングを個人レベルでも動かせるようにしたのは間違いなくハードウェアの進歩です。昔のパソコンでは絶対にムリでした。特にGPU(グラフィック用として用いられてきたプロセッサー)がディープラーニングに応用できることがわかってからの動きが革命ともいえる状況を創り出しているように思います。

一方で、GPUはそもそもディープラーニングに特化した部品ではないので、全世界で専用部品の開発が行われています。その中で本日インテルより注目の発表がありました。

 

www.reuters.com

(日本語訳)

Intelが最初の人工知能チップSpringhillを発表

エルサレム(ロイター)-Intel Corpは火曜日に、人工知能(AI)を使用する初めての大規模コンピューティングセンター向けに設計された最新のプロセッサを発表しました。

イスラエルのハイファにある開発施設で開発されたこのチップは、Nervana NNP-IまたはSpringhillとして知られており、10ナノメートルのIce Lakeプロセッサに基づいているため、最小限のエネルギーで高いワークロードに対応できます。

 

CPUやGPUをディープラーニング等の機械学習に用いると大量の電力を消費することがわかっています。これは特化した部品ではないために無駄が多いためです。上記スプリングヒルは、相当に効率が良いと言われこれまでのハードウェアではエネルギー消費効率上無理があった大量の機械学習がデータセンターで可能になるのではないかと考えられます。そうするとコストが下がり、もっと個人にとってAIが身近になることが予想されます。

また、インテルだけではなく、他の企業も意欲的に専用チップの開発に取り組んでいます。

 

www.nikkei.com

 

上記は有料記事のため引用はしませんが、今後ハードウェアが大きく進化するのは間違いないところです。

現時点でも身近になってきたAIの世界ですが、ますます加速することは間違いありません。AIとは何か、AIは使えるのかと言った状況はもはや過去であると断言することができると思います。