orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

君が得意とするその技術、5年後にレガシー扱いされるかもしれないよ

 

IT業界ってのは本当に節操ないところがあって、過去自分たちが作り出したプロダクトを、数年経ったらメッタメタにこき下ろす。「レガシー」とか今は言うが何がレガシーだ、自分たちで大げさに売り出して、これで将来大丈夫とか言っていたテクノロジーをあっという間に歴史上の遺産にしてしまっている。

COBOLやメインフレームなんて同じ文脈でかなり叩かれたから、ネットではCOBOLをさぞ古くて使いにくくて、COBOLで仕事をしている人はかわいそうみたいな言論すらあるんだけど、単なる普通の言語である。私が新入社員だったころは、C++とクラスとオブジェクト指向が世界を救うって言われたものだよ。それでVisual Basicがそんときは叩かれてた。遅いって。

IT企業は最新のプロダクトが売れないと困るから、「古くなった」の演出がすごいんだ。デジタルだから古くなるはずがないのに、もうセキュリティーパッチは出ませんだの、新しい考え方に対応できないだので、あなたが使っている製品は古いですよ、となる。

最新バージョンを導入して、しばらく大丈夫だなと思ったら2年くらいですぐ次のバージョンが出て、しばらくしたら「あなたが使っているバージョンは保守が切れますから最新にしなきゃいけないですね」みたいな話に巻き込まれる。保守を結び続ければ最新のバージョンに上げ続けられるのが最近のトレンドだけど、毎回バージョンアップするたびにアプリケーションが動くのか調べなきゃならんので、着いていくのにも金がかかり、着いて行かなければ捨てられる。よく考えられた収益モデルである。

だから、なぜ古いプロダクトが忌み嫌われるかって、金になる方向に人が動き続けるからレガシー、つまり保守が切れそうなものはどんどん技術者もいなくなるから。その技術自体がイケてないわけじゃない。むしろ、技術的に優れているからこそ、メインフレームもCOBOLも無くならないし、障害発生可能性だけ言えば、メインフレームの方が全く持って優秀なのである。同一ベンダーがハードウェアからソフトウェアまで面倒を見ているので、品質が超高いぶん値段も高い。またベンダーでクローズドな技術なので、1社丸儲けじゃんみたいになり感じ悪い、ともなりやすい。

ほとんどが金儲けのためのポジショントークで「新しいからすごい、新しいからすばらしい」みたいなことしか言っておらず、そこに各ベンダーが乗っかって来て、今の今動かしているその最新技術、きっと5年後はレガシーと言われているに違いないよ。

技術者の心の中で「今自分が受け持っている得意にしている、勉強している技術こそが覇権を取り世界に広く長く使われる」とみんな信じていることもあり、ネットで人気やら年収が高いやら言われる技術が、本当に素晴らしいのかどうかなんて、全く関係ないと思っている。もし、単なるバズりだけなら、本当にすごいのが後からやって来て瞬く間にレガシー扱いだ。ガチで戦ったら負けるからね、幻滅されてしまう。

ちなみにこのレガシーに仕立て上げる戦略、ベンダーも世間の様子を見ながら定期的に仕掛けるんだけど、レガシーと掲げた技術のユーザーがさっぱり減らずに、仕方ねえなあとどんどん戦略を撤回し引き延ばす場合もあるので、実力のあるものは結局残るようになっている。

あまりベンダーの口車に乗らず、冷静に技術を見極めるべきだとほんと思う。この20年、色んなものが花火のように消え、遺産のように残り続けているものもある。