orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

そろそろ現実解としてAIを無視できなくなってきた/買うか?

 

仕事柄、エンタープライズIT、いわゆる企業が使うITについてのニュースをよく見るが、最近はAI、生成AIと言った方がよいか、こちらのニュースが半分くらいである。よくそのニュースを見ると、AIを生成しましたよ、なんて話は全くない。既存のAIサービスをどうしたらあなたの企業で使えますか、導入支援をしますよ、というニュースが非常に多い。

システムインテグレーターはSIという略称で呼ばれ、SIerなんて言い方もする。SIerは何の仕事かというと、お客様の欲しいシステムを構築し届け、運用すること。最も古いSIは、全てを一から開発する、というものだった。スクラッチ開発と呼ばれた。私が若手の頃スクラッチ?何?と思ったものだが今でも言葉は残っている。

今ではスクラッチから作るシステムなど、ない。ほとんどが構築済みのソフトウェアパッケージもしくはハードウェアアプライアンスを持ってきて、組み合わせて使う。基盤を作ってしまえれば後は開発者が、便利に開発して終わり。そんな建てつけがここ最近まで続いた。

その流れと並行して、クラウドシステムで既に動いている基盤を間借りするという方法も一般化した。元から動いているので構築の必要も無く、データを流し込めばすぐに使える。この形態はとても便利だが、事業者側でサービスを終了したり、大幅な仕様変更をすることがあるのが難点だ。また、基盤自体の堅牢性は使っている方が関与できるものではないため、便利ではあるものの全てがクラウドシステムを使うようにはなっていない。

また、「システムが欲しい」と言ったって利用者はITには素人。でもSIerは御用聞きであって、利用者が欲しいシステムを提案してくれるわけでもない。利用者側に立って相談に乗ってくれて、そしてSIerに発注できるまで手伝ってくれる会社はいないか。こうやってできたのが「コンサルタント」である。SIerをやっていると、利用者の横にコンサルがいるというパターンを散見する。最近はコンサルタントが主業だった会社が、SIerがやっているような実装部分を請け負うようにもなっているらしく、SIerのほうも負けじとコンサル業を開拓しているらしい。

と、ここまでの流れを知っておけばこの業界のこれまでは語れるのだけど、問題はAIの出現だ。これだけポンポンとAI関連のサービスリリースが続いてると、私もSIerのはしくれ、気になってくる。もしかしたら取り残されるかも?。

ただ、ニュースを確認していると、AI自体を生み出すと言うより、既存のAIサービスをどのように企業に取り入れていけばいいかを、お教えします、と言うようなサービスが非常に多い。

つまり考え方はAIが出現してもシステムインテグレーターのスタイルは何も変わっていない。1つの魅力的なソフトウェアの一つに生成AIが出現したというだけの話だ。やっていることは、これまでのシステムインテグレーターと変わらない。利用者にAIを利用させる筋道をつけ、実際に利用ができるまで道案内しますよ、ということと同様である。

だから、基本的には、これまで革新的なソフトウェアが出て来たときのシステムインテグレーターの動きと同様に、単にお勉強して、導入サービスを作ればいい。本当にそれだけで、AIには遅れないと思う。興味を持った利用者に話をして、導入を完了させればお金が頂ける。

気になるのは、本当にAIを導入することで、利用者は便利になるのか。あまりAI活用をした事例が聴こえてこない一方で、AI支援サービスが氾濫し始めているので、これって、どこに行きつくのだろう、なんて思っている。

そういう意味では、この「生成AI導入支援サービス」的なものを利用者として買ってみようかな、なんて思っている。自分で勉強すればお金かからないじゃない、とは言うけど、それだと時間がかかり過ぎる。お金で時間を買う感覚で、どこかの会社に導入方法を教えてもらおうかな、なんて。

SIerは、何を売れば売れるか、なんて考えない。とにかく売り物を並べ、売れるものを売ればいいと言う感覚だ。だからとりあえずサービスラインナップとしてはAIは置いておきたいというだけの話で、ここまで盛り上がっている。祭りの外から見える景色はこの程度。

AIが降ってくるのを待っているのではなく、つかみに行ってみるか、なんて思っている。これだけ導入サービスが出てくるってことは、導入すると何かいいことあるんだろうな。1度くらいは導入経験をした方がいいフェーズに入っていると思う。