orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

クラウド成長のきっかけ

 

聞きかじった話を書いておく。

 

クラウドサービス自体は今や、たくさんの会社が利用する社会インフラになったのは間違いないけれど、大昔からそうだったわけじゃない。

クラウドサービスが出て来た当初は、そんなにうまい話があるわけがない。そのうちバグだらけで立ちいかなくなり、撤退するだろう、ぐらいのことを言う人までいた。

当初は本番サービスをクラウドで動かすなんてとんでもないというのが意見の大勢で、まずは開発環境としてこわごわ使うのが関の山。また、初期の頃は今よりも断然障害も多く、草創期はそこまで垂直に伸びるということはなかった。

流れが変わったのはいつか。それは東日本大震災の時だったと思う。

あのときだけ、BCP(ビジネス継続計画)と言う言葉が異常に流行した。もう一度あの規模のことが起きたらウチの会社は耐えきれるのか。しかしあの時期は物流も含めて混乱したので、すぐにサーバーリソースが欲しいということになり、背に腹は代えられぬとクラウドサービスでサーバーを構築する事例が相次いだ。一度利用すると、その便利さに震えるのがクラウドサービスの企業戦略だ。

この記憶、間違いないよなと思い2011年の記事を探してみたら、正しかった。

 

www.itmedia.co.jp

 2011年は東日本大震災の影響により、事業者の相互連携、社会サービスとしての期待、そして融合産業創出やエコシステムの形成など、クラウドへの評価と期待が高まった1年となった。震災とクラウドについて、この1年を振り返る。

 

災害を起点として日本ではクラウドが普及したということは、覚えておいていいだろう。

なお、もう一つの観点がある。それは、「ソーシャルゲーム」の存在だ。クラウドの中の人の話を伺うことが何度かあって、口々にゲーム利用の勢いがすごいと聴いた。

ゲーム一つで何百億円も動くような現象が発生したとき、ゲームを何としても止めたくない。また、利用状況が時間帯やキャンペーン時期で全然違うので、クラウドを利用するのが一番経済的。

ということで、ゲームとクラウドサービスの関係ががっちりハマった時期があり、クラウドはさらに伸びたという記憶だ。下記の記事も、2012年ごろの話である。

 

gihyo.jp

ソーシャルゲームがヒットして継続する場合、ソーシャルゲームの需要に応えるためサーバを用意しなければなりません。クラウドの場合は、スケールアウトがしやすいので物理サーバと比べて容易にサーバを増やすことができます。

また、クラウドではスケールアップもできます。アクセス集中などでサーバが過負荷となった場合は、スケールアップを行って対処することもあります。このようにアクセスが急に増えた場合はスケールアップ・スケールアウトなどの力技で対応することができるので、ソーシャルゲームにとってクラウドは使いやすいです。

 

つまり、2011年~2012年にかけて、クラウド利用が伸びるきっかけが立て続けに起きた。この時期はiphone 4/4S/5あたりの時期で、ちょうどスマホが垂直に成長し始めた時期でもある。そこにソーシャルゲームのピースがハマったということになる。

 

段々、歴史の波に飲まれて誰も思い出さなくなってきたような気もするので書き残してみた。この契機から10年以上経ち、もうクラウドサービスが無かった時代には戻らない。そして、皆、その契機すら忘れていくのである。