orangeitems’s diary

クラウド専任の40代インフラエンジニアが書くブログ。新規事業マネージャー。20世紀末の就職氷河期スタート時にIT業界に文系未経験で入りこみそのまま生き残った人。1日2記事投稿しています(0:00、12:00)。

ゆるすぎる職場と思われないためには

 

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最近、企業などに勤める若手社員が「仕事がゆるすぎる」「職場がホワイトすぎる」という理由で、退職するケースが増えているといいます。その背景を取材しました。

 

この記事、ゆるすぎない=叱られる、というバイアスが見えて嫌な気持ちになりました。叱らないと、職場がゆるいと思われる、というのはあまりにも時代錯誤過ぎて。

ゆるい、という感覚的な表現が意味しているのは、そういう感情的な衝突のことを言うのではありません。若手社員について仕事を「任せない」ということを示しているのだと思います。

仕事をよく観察し、それぞれを細分化しタスク化する。それぞれのタスクの手順を整理し誰にでもできるようにする。そしてその手順を逸脱しないように若手社員に指示する。タスクに対してかかる時間はあらかじめあり、それを逆算して、若手社員が残業しなくても完結できるように仕組まれている。

そういう職場は増えていると思います。特に、IT化が進んだことで生産性も上がり、時間も読みやすくなりました。逸脱するとすぐに上司もわかるようになっていて、若手社員側で工夫するポイントはとても少なくなっていると思われます。

そして、上司はその仕組みに精通していて、かつそこまで洗練するまでの過程をよく知っているので、若手を細かく指導しようとします。もちろん上司の教える方法はスマートであるので、その指示に従うのが若手社員も楽だったりします。

こういう背景が、マイクロマネジメントを生み、若手社員は受け身になります。そして上司は「私がいなかったらこの現場はどうなってしまうんだろう」といつも不安げで、そして忙しそうです。

結局、若手社員にとって「ゆるい」とは、責任が渡されないということに尽きます。この分野については任せた。あなたの役割で問題が起こってもあなたがなんとかしてくれ。こういったやりとりがあれば、「自分がなんとかしなきゃ」という思いが芽生えます。この職場において自分がいないとまわらない、という感覚があれば、「ゆるい」なんて言葉は出てきません。稼働の大小が問題ではありません。自分がこの分野については掌握していて、もっと良くできる、良くしたい、という思いが芽生えるかどうか。

責任を任せないというのは、会社から信用されていないということになります。信用されないまま会社にいても、自分の頭を使ってできることは少ないです。ただただ、言われたとおりに手を動かすだけ。その場合に、いくら叱ったって、いくら手を動かす量を増やしたって、プロフェッショナルとしての成長は残念ながらありません。

だって、どの企業においても、手順が決まったことを遂行する能力より、手順がわからない課題の解決能力のほうが価値が高いし収入も高いし、その上仕事の楽しさも格別なのです。ということは、若手社員がやめることの理由を「ゆるい」としただけでは問題がぼやけてしまいます。彼らがほしいのは「叱って欲しい」じゃないのです。「信用してほしい」「もっと責任のある仕事を任せてほしい」なのです。

若手社員に任せるにはスキルが・・とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、順番が違います。スキルがないのに任せたら、本人が不足を感じて勝手に勉強するはずです。しないならできないだけですが、その場合は任せられた時点で断るでしょう。断るような人が「ゆるい」と不満を漏らすでしょうか。それこそが仕事へのモチベーション不足の証拠であり、ゆるい以前の問題を抱えていると考えます。今の問題は、若手に責任のある仕事を任せないことで、若手が成長の機会を与えられないことです。まずは、若手に任せるとは何を意味しているかを、各々の職場で考えるべきでしょう。

今、上司側にいる人たちは30代〜40代だと思いますが、昔はブラック企業という言葉が社会問題化するほど労働状況が悪かったです。上司になったらこんな環境には絶対しないぞと張り切って、そして今とても若手はその恩恵を受けている部分はあると思います。ただ、前述の通り、仕事は任せられてこそ成長の機会となるため、あまりにも手順を確立しすぎたことばかりを部下に流すようになると、若手が伸びませんし、若手がなぜか辞めていく羽目に陥ります。

どこかで、覚悟を決めてまるっと任せることが必要になります。そのためには、手順を詳細に伝えることより、仕事の基礎部分を教え、あとは自分でなんとかしろと突き放さなければ行けない場面もあることを、世の上司は知るべきだと思います。