orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

重要インフラ障害で怒る人の気持ち

 

この記事、視点おかしいんじゃない?って話。

 

www.itmedia.co.jp

 先日、KDDIが大規模な通信障害を起こした。社会インフラである携帯電話に関する障害ということもあって影響は大きく、SNSでもさまざまな話題のタネになった。障害対応をしている真っ最中の現場など、関係各所に「今どうなってるんだ」と怒鳴り込み、解決を遅らせる「今どうなってるんだおじさん」もその一つだ。

 

著者が、直接auショップに行って、怒鳴ってるおじさんを見たわけじゃないでしょ・・。いそうだということで憶測で書いているんだろうなと思う。

別の記事ではこんな話もある。

 

news.yahoo.co.jp

 午後3時半頃、よろず~ニュースの取材に応じた都内のauショップでは、混雑している様子は見られず、落ち着いた状態だった。スタッフによると開店の11時頃には通信障害を知らない利用者が次々に店を訪れ、10人ほどの行列ができたという。しかし、午後に入るにつれ徐々に落ち着きを見せた。「結構怒鳴ったりとかするお客様もいたと、ネットで見ましたけど基本的に当店ではなかったです」と話した。携帯電話自体の故障だと勘違いしている人が多かったという。

 

どうも、ネットの都市伝説じゃないかと思っていて、かつ理由も、そんなインフラの冗長性みたいな高尚な話じゃなく、この記事にある通り、使えん、使えるようにしろ、みたいなレベルの低い話だったんじゃないかと思う次第。

 

もっと言えば、モバイル3社は、社会の資源である電波を独占的な利用をしていて、毎年莫大な営業利益を上げている。もちろん次世代通信への投資を行わなければいけず、それも資産計上していてお金がじゃぶじゃぶ溜まっていっているわけじゃない。が、世間はそんなこと知らないだろう。

そこで、大きな障害でも起こせば、ほらお金儲けのことばかり考えて、変なCMばかり流して実際のサービスで手を抜いているからこんなことになるんじゃないの、って言いそうな人はいるだろうな、と思う。

許認可を出している総務省は、重要障害を起こさない前提で電波を使わせているのであり、いざ起こったらそれは、総務省も出張るよなと。ここまでは結構自然な話だと思う。

特に、今回の設備は2012年くらいに利用を本格化させた4G LTEの部分でもう10年くらい経ち、システム運用に携わっている担当者の気持ちからすれば、「枯れた部分」と思っていたはずだ。これまで通りやっていれば問題は出ない。そのうち中の人も入れ替わり、あまり大きな工事はせず保守対応だけを粛々とやるフェーズに入っていたと思う。ところが、こういうこともあるのだから、システムとは難しい。ただ、昔習った障害の考え方としては、リリース直後に障害は頻発し、その後落ち着くが年数が経ってくるごとに漸増すると知っている。機械が古くなるとともに、新しい要件のための変更も必要となり、だんだんと変更が積み重なるからだ。

ただ・・、利用者が、こういう運用設計まで熟知して、別のキャリアで冗長化しておけってのは、制度設計的には無駄が多くて、一つの事業者の中で対応してよというのが、国民も、総務省も考えるところだろう。私も今、ドコモの物理SIMとAUのe-sim(Povo 2.0)のデュアルSIMで似たようなことはしているけど、全ての人々がついてきてくれるとは決して思わない。

インフラのSIerとユーザーが契約するときは、顧客が過度な冗長性を欲しがる場合には、マルチクラウドやハイブリッドクラウド、複数DCでの運用など様々な選択肢をユーザーに問いかけ、それなりの費用を提示する。で、だいたいの顧客が、「そんなにお金はかけられん」みたいなところで妥協する。これが普通のインフラとの付き合い方だ。

ただ、社会インフラの場合は、じゃあ東京電力が頼りないから東北電力も契約しようとは行かないわけだ。やはり、そこはキャリア間のローミングなど、運用面を含めて検討し国民には負担が行かないようにする努力を、電波を独占しているキャリアが行う必要があるよね、と。

ということで、なんだか、本当にいるんだかわからない「今どうなってるんだおじさん」や、普通のITインフラと同じじゃないでしょ、重要インフラだもんね携帯って、ってところも含めて、ボヤきたくなる記事でした。