orangeitems’s diary

クラウドで働くエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

深い。「問80 技術者倫理の観点から、職務遂行において技術者が優先すべきこととして、最も適切なものはどれか。」

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問80

H31春応用情報技術者試験午前の問80が話題になっていますね。

 

問80 技術者倫理の観点から、職務遂行において技術者が優先すべきこととして、最も適切なものはどれか。

 

ア 会社の利益

イ 技術者個人の名誉

ウ 公衆の安全

エ コストの削減 

 

こちら、正解は「ウ 公衆の安全」だと思います。技術者倫理の観点とありますから一択なのですが、現場で会社の利益やコストの削減にいつも晒されている技術者には新鮮に見えた設問かもしれませんね。

 

ITインフラの仕事は特に「安全」にたおす

この設問に似た瞬間って、結構仕事していてもあるんですね。

ファイアウォールを設置するにも、二重化して冗長にするべきか。それともシングル構成にするか。冗長にすると価格も倍です。また冗長化構成にかかる技術料も積算すると、迷うポイントとなる。

物理サーバーのディスク構成も、RAIDを組むのは当然として、ホットスペアという壊れた時の予備のディスクを装着するか。またそれは何本にするか。容量も、ぎりぎりの構成にして費用を抑えるのか。それとも余裕を持った容量にしておくのか。HDDにするのかSSDにするのか。

VMwareなら、たくさんメモリを載せたら一杯仮想マシンを動かせる。でもホストが停止すると全部落ちる。たくさんのホストでクラスターを組むのか。それともパワフルマシンにして台数を減らすか。

ネットワークも最近では10Gbpsが標準化しているが、1Gbpsはすこぶる安い。

Redhat Linuxで有償サポートつけたほうがいいけど、CentOSにしておいてOS代をけちる。

クラウドにするにしても豊富な選択肢があり、とにかく価格と安全の綱引きが行われます。各社提案してコンペする場合、安全に寄せすぎるとすぐ価格が高くなって、他社に負けるポイントとなってしまします。

だから、この問80、なかなか深い問題なんです。

情報処理安全確保支援士の研修でも諭されたのですが、会社員である一方で、技術者として倫理を守っていこう。利益重視でダンピングしていくと、重大事故の起きやすいITになってしまう、と。

で、「安全に安全に」ということで提案を作っていくとお客様から一言。

「高いね」

どうしろっちゅうねん。

 

コストも目をかけつつ安全を実現する、が価値

本当、面白くもなんともないのですが。

ITインフラの世界においては、コストがあまりかからないでいながら、強度な安全を実現する方法を見つけ出すことが、ものすごく価値があります。

ただただ値段が高いだけでは、価値と見られません。

一方で、ただただ値段が安いだけでは、それも価値とは見られません。

こんなに安いのに、こんなに安全。

で、安全であると、その後の運用がとてもとても楽になります。コストを抑えたのにその後の運用が穏やか。これがITインフラ技術者の技術を測る評価ポイントとなると思います。

しかし、それには「システムのスケールアップやスケールアウトに安全に対応できる柔軟さ」「システム自体の実装がシンプルで、たくさんの人に理解しやすいから、誤解による障害が起きにくい」と言った、将来も見越した安全設計が必要で、険しい道だと思います。

この仕事を長年していると、本当に慎重になります。安全に対して神経質すぎるほど神経質になります。

ですから、答えは「ウ 公衆の安全」でいいんですけど、会社の利益やコストの削減がチラッチラする今日この頃、平常運転です。