A君「C課長、障害報告書作りました。確認していただけますか。」
C課長「ああ、この前のヒューマンエラーの件ね。君が、サーバーを間違えて、開発じゃなくて本番のほうを落としたんだっけ。B君も見てたけど、気づかなったって言ってたけど。」
A君「・・はい。」
C課長「B君と話し合った結果ということだね。じゃあ、報告書見せてもらおうか。・・・原因は、開発と本番の画面の見分けがつかなかったから。なるほど。」
A君「そうなんです。今回Linuxだったんですけど、ホスト名が似通ってたんです。」
C課長「まあサーバーは無数にあるからな。だからと言って、いろんな担当者がいるのに何で今回だけ間違えたんだろうか。不思議じゃない?。」
A君「はい、不思議です。何度も同じような作業はやってきたんですけど。」
C課長「で、じゃあ対策だな・・。・・・ん??」
A君「どうしました?」
C課長「ええっと、『ホスト間違えに徹底して気を付け、二度と起こさないように気を引き締める』って書いてあるけど、これ本気?。」
A君「はい。やっぱりこの仕事、ちょっとのミスで大変なことになるということがわかったんです。だから、もう二度とこのようなことはないと思います。」
C課長「いいや、また起こるね。」
A君「なぜそう言い切れるんですか。」
C課長「じゃあ聞くけど、気を付けるって何?。引き締めるってどういうことを言うの?」
A君「そりゃもう、ぐっ・・とですね。きっ・・・と。」
C課長「いや顔芸してもダメだよ。これ、結局さ、来月にはすっかり忘れてるだろうよ。人間って忘れる生き物だからさ。あとこれ、新しい人入ってきたら、気を付けるだの引き締めるだのって、どうしようもないでしょ。」
A君「言って聞かせますよ。」
C課長「それでも言って聞かせたときはいいけど、それからまた忘れるんだよ。」
A君「じゃあどうすればいいんですかね。」
C課長「それをまとめるのが君の仕事だよね。だから、そもそも対策になってないんだ。話を少し戻すよ。ホスト名が似通ってたということだけど、つまりログインした後のプロンプトの文字列を見てたってことだよね。」
A君「はい。字が小さかったです。」
C課長「じゃあ、目を鍛えて良くするってこと?。」
A君「いやそれは・・。」
C課長「つまり、気を緩めようがどうしようが、間違えなきゃいいんだよ。」
A君「確かにそうですね。」
C課長「何か方法ある?」
A君「とりあえず、今ログインするためのショートカットが同じフォルダに入ってるんですけど、そこを変えてみるというのはどうですかね。」
C課長「いいね。そういうことだよ。」
A君「後、ディスプレイをもっと大型にしてほしいです。あれ見にくいんですよね。昔のモデルで斜めから見ると字がつぶれるし・・。」
C課長「あ、そうなんだっけ、じゃあ買っとくよ。とりあえずその二つを対策に盛り込んで、報告書書き直してよ。もう気を引き締めるとかいらないからね。」
A君「はい、わかりました。」
(三日後)
C課長「D部長、障害報告書ができあがりました。」
D部長「ふむ、これは社内向けではいいけど、顧客向けについては正直に書きすぎだな。別版を作っておいてくれ。」
C課長「内容はどうしますか。」
D部長「うーん、作業手順に問題があった、再発防止に気を付けるとでもしておけよ。」
C課長「・・はいわかりました。(よりによって、『気を付ける』か。やりきれないな。)」
(~終わり~)