orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

システム運用の超えられない壁

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今日とても面白い気づきがあった。

システム運用の現場で、毎朝、アラート確認を行っている。どこでもやっていることだと思うが、業務時間外に出力されたアラートを毎朝確認し、対処が必要かどうか判断する。軽微なものまで目を通し、障害予兆を見逃さないのはとても大事な仕事だ。

あるアラートに対して、メンバーが確認をし、システムオーナーであるお客様に情報提供を行った。行ったのだがその文が私は気に入らなかった。「アラートが出ていますので、方法Aや方法Bなど、対応を検討ください」といった文だった。

お客様はシステム運用の専門家ではないので、これじゃ情報は足りない。自分がお客様としてこれを読んだ時に全部わかるのだろうか。わかるためにはもっと付加するべき情報、例えばアラートの意味。なぜこういうアラートが出るにいたったのか。もし放置するとどうなるか。必要な情報をわかりやすく伝える必要がある。

まずは見本を見せようと、私なりに追記を行った。

その後メンバーに声をかけ、これではお客様に伝わらないよね、不親切だよね。これは納得してもらえた。と思った次のセリフがこうだった。「わかりました。もし次に同じアラートが来たら、追記のようにお返しします。」と。

違う、違うのだ。そうではない、と私は釘を刺した。今回はこの返しを私は望むのだけど、それはお客様のスキルレベルや空気感を踏まえてこう返している。同じアラートが来ても違うお客様だともっと工夫しなければいけないかもしれない。だから、これは答えがないんだ。お客様の立場に立って、こういう風に情報提供してもらえれば最もわかりやすく、答えやすい。それを毎回考えなければいけないんだよ、と。

インプットを分類し、それらに対して典型的なアウトプットをあらかじめ作っておき、対応することを「定型的な仕事」と呼んでいる。

一方で、インプットに対し、その場で考えアレンジし、ふさわしい形にする仕事を「非定型的な仕事」と呼んでいる。

プロジェクトマネジメントの仕事も非定型だ。いろいろなツールは持っているけれど毎回プロジェクトの形は違う。それぞれに対して人間の頭で考え、形を柔軟に整えていくこと。それが非定型だ。

仕事は「定型」と「非定型」、大きく二つに分かれると言っていい。

定型化する能力も重要だ。いつも行う繰り返し仕事を見つけプログラミングし、定型化できてしまえば、これをコンピュータにやらせたり、アウトソーシングすることもできる。

しかし、システム運用において、定型の中で行う仕事は、むしろ自動化されなくなっていく運命にある。定型的な仕事を覚えていくことは重要だが、それは未来に非定型的な仕事をできるようになるための準備にほかならない。

そして、この定型のワナから逃れられない。これがシステム運用の超えられない壁だ。

なんでも手順書化すればいい。なんでもマニュアル化すればいい。そんな思考の人はいる。しかしこれは壁を超えられない、まだまだレベルの低い段階だと考える。

壁を超え、非定型の仕事ができるようになると仕事の幅はぐんと広がる。誰もやったことのない課題、緊急の仕事、突然のメンバー交代、障害対応など、日常は非定型なことばかりに満ち溢れている。全てを非定型に対応していくのは無駄が多い。パターンもあるからだ。だからと言って全部をパターンにすると、それはまた無駄だ。一度しか起きないことに定型化は不要だからだ。原則を知り、定型パターンも豊富に知った上で、そしてお客様の立場に立って、最適解を出せる。結局はこの領域にまで到達できなければ、いずれコンピューターに自動化されてしまうと考えていいと思う。メンバーにはそうなってほしくない。すべて定型化することを求めない。非定型な仕事ができるために、お客様の立場になって考えることが大事だ、と強く伝えた。そういう癖を付ければ、いろんな事象に柔軟に対応できるようになるから、と。

もし、あなたの現場が、マニュアルが多すぎる。手順書ばかり作らされる。しかし顧客満足度が上がらない。そういう壁にぶち当たっているのであれば、非定型的な仕事について考える必要があるだろう。壁を乗り越えた後に顧客満足があるからだ。