それなら、ご発注いただかなくて結構です、という話

 

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Q.ユーザー企業の情報システム部門の責任者です。経理や人事業務はパッケージを利用しており、カスタマイズや追加プログラムの開発は大手IT企業のA社に発注しています。実際は、A社の下請けであるIT企業B社が対応します。今回新たに、サブシステムを追加することになりました。プロジェクト体制図から見るとプロジェクトリーダーはA社マネジャーですが、この人が顔を出すのは、定例会と費用提示のときぐらいです。付き合いの長いB社がいるので困ることはありません。開発費用の原価構造は分かっており、その点から見ても、丸投げにしてはプロジェクト管理費を含めて全体的に高いと思っています。

 

じゃあ、B社に直接、見積を依頼すればいいじゃないですか。

今後A社にお仕事を依頼しにくくなるからですよね。B社を連れてきたA社を飛ばすってことですから、道義上の問題とでもおっしゃりたいのでしょう。

そうじゃなかったら、A社に義理立てする意味はないんじゃないですか?。

で、多分B社はこういうんです。「直接はお請けできません。A社のプロジェクト管理があるからお請けしていますし、A社との契約だからこそ、弊社(B社)もリスク管理ができています。」。え、A社なんて何もしてないんじゃないの?、とようやくここでユーザーはA社のバリューに気が付くわけですね。

または、B社はA社からたくさんの顧客を紹介してもらっていて、A社を裏切ることになると今後、別の案件も含めて切られるかもしれません。A社にお伺いを立てることなく、直接ユーザーと契約するのは、営業費用を盗むのと同じですね。

そもそも、ユーザー側もA社に対して失礼なわけです。見積内容や前提条件に対して理解をするのは全く構いません。問題は、その金額に対して、原価構造まで教えなさいと、客が言うことの是非ですよね。これは下品です。見積内容に対してどのように作業を行ってどう満たすかは、ベンダー側の裁量です。その裁量をお金と交換するのですから、金額に客側が交渉するのって、大変に下品です。

例えば、レストランに行って客として注文するとします。Eセットが\5,000とします。そしてオーダー時に店員に向かって、「\5,000は高すぎない、だって前菜と魚と、ご飯、これらって原価いくらなの?。店員さんって時給いくら?。家賃は?。それでこの値段は高いよね・・」という客。私が店長なら、営業妨害で追い出しますけどね。

商品やサービスを生み出すことと、値付けは、ベンダー側のビジネスモデルそのものです。客側はその値段を見て、発注するかしないかを決められる自由があります。でも、その値付けに物言いする権利なんて、一つもないですよ。

これって、客側が偉いというバイアスですよね。お金を払う方が偉い。そんなこと全然ないですよ。だって、価値と、お金を等価交換しているわけですから、どちらが偉いもないんです。信頼関係の下で交換されるプロセスであり、それを壊すような行為は、ビジネス上下品そのものだな、と私はとても嫌な気持ちになります。

ですから、見積の時点でこういう行為をされるお客様とは、私は注文を断るポリシーです。人が何時間働くから、値段が決まるわけじゃないんですよ。じゃあ、Windowsって何人月かかって作ったから2万円なんですか?。iPhoneって何人月かかって作ったから15万円なんですか?。もう、おかしいんですよ、発想が。

高い、と思うのなら、他にできる会社にも相談して、見積を取ってみることぐらいですかね。でも、新しく会社を変えるリスクも背負うことにもなりますし、A社との関係もギスギスはすると思います。ただ、客にも選ぶ権利はあるので否定はできません。納得する価格で、正しい成果が得られるか自己責任でどうぞ。

もしくは、自社で内製するとか・・。ま、お金で解決したいんでしょうから、できないでしょうけれど。

見積には敬意を払いたいものです。予算と合わないなら、そういえばいいだけで、ね。