orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

サポートエンジニアは、構築・運用エンジニアにキャリアチェンジできるか

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私は今となってはインフラエンジニアかつクラウド専門で構築から運用まで幅広く対応をしていますが、過去を振り返るとサポートエンジニアという業界全体から言えばニッチな仕事を結構長い時間、やっていました。

ソフトウェアの不具合等を電話やメールで対応する仕事で、一般のIT業界でイメージされる業務ではなかったと思います。しかももっと昔の話でしたから電話対応がほとんどでした。今は問い合わせを含めていろんなソフトウェアサポートがWeb上で完結することも多く、事情は少し違うとは思います。来る日も来る日も電話を受けていた記憶があります。

二十代から従事し随分経験を重ねたある日に、このままのキャリアで大丈夫なんだろうかと不安になりました。世の中の仕事の大部分は構築の仕事、そして運用の仕事のようで、サポートエンジニアとして社会にどれぐらい需要があるのかわからなかったからです。

その現場でずっと暮らしていくという未来もありましたが、保障はありません。ソフトウェアサポートの世界はサポート終了となったら現場も無くなります。そのときに社会一般としてサポートエンジニアは同じ待遇で採用されるのかどうか。

ある日上司にメールを書き、サポートではない仕事に異動してもらうようお願いしました。もっと違うことをやってみたい、違うキャリアを積んでみたいと。

それは叶えられ、運用や構築の仕事を経験しました。その後、また違う事情でそのときの所属していた会社からは転職をしましたが、今では結果としてちゃんとキャリアチェンジできています。若い時からずっと構築エンジニアをやらないと構築はできないとか、運用に入ると構築はできないとか、サポートの仕事をやると現場がわからないとか、いろいろな迷説はありますが、全然そんなことありません。IT業界の中に居て、キャリアチェンジしたいと思ったその時に行動するべきだと思います。仕事をこなせていて、会社や顧客から評価を頂いていれば、基本的にキャリアチェンジなど誰も促してくれません。リーダーになったりマネージャーになったりと、結果的にどんどん変化できない立場になっていくことになるでしょう。キャリアチェンジしたいと思ったときが最も適切なタイミングだと私は思います。

さて、元サポートエンジニア、の強みについて語っておきます。ずっと構築や運用をやられている方と比べて、実際弱みももちろんありつつ、強みも感じるときがあります。

 

強み①:想定外の問題が発生したときに、解決までのステップが身に着いている

ずっとサポートをやっていたわけですから当然です。一次対応。問題のまとめ方。基本的な情報収集。もし原因がすぐわからないときは、次回発生時に追加の情報を取得する。サポートの回答には期限を求め、綿密なコミュニケーションが必要。

ずっと現場にいた方は、サポートセンターの向こうで何が行われているかはわかりません。彼らが何を行い、何を知りたいと思い、どういうコミュニケーションがやりたいのか。これを知り尽くしている人が構築や運用側にいると、何か起こった時の対応力がずば抜けます。

 

強み②:コミュニケーション能力が高い

元サポートセンターというキャリアは、ある意味、サポートセンターの人がオンサイトで運用に入っているようなものです。しかも、顧客とのコミュニケーションを毎日行っていたので、テクニカルな会話が非常にこなれている強みがあります。

コミュニケーションに強みがあり、トラブルシューティングに強いのですから、顧客も現場も信頼を得られやすい強みを持っていると言えます。

顧客に打ち返しも常に行ってきているので、サービス業としての基本が身に着いていると言えます。

 

強み③:体系的な知識が身に着いている

構築や運用で思うのは、理屈より実績を重視するということです。

手順書がしっかりあればそれ通りやること。サポートから指示があればその通りやること。理屈から入るよりは、プロセスを間違えないことを重視していると思います。

ソフトウェアがどのように動いているかより、動いた結果が正しいかをテストします。

外形的なことを重んじるので、いざ普段使っているソフトウェアの資格試験などを見ると、自分が知らないことがいっぱいあるんだなと思うことが多いです。

もっと具体的に言えば、人々はテレビがなぜ映るのか、知らないままテレビを見ていますよね。そしてテレビを設置する人は、テレビの仕組みなど気にせず、電源やアンテナケーブルを接続し、セッティングを追えるのです。したがって、テレビ視聴環境を何回も構築し運用しても、テレビそのものの知識は身に着かないんです。

その点、テレビのサポートセンターを行おうとすれば、テレビのことを知らないわけにはいきませんよね。そうやって、体系的な知識を身に着けたうえで、構築や運用に入れば、実装する際に理路整然とTo Doを決められます。

ですからサポートセンターで身に着けることのできた製品知識は、現場でも十分強みになると思います。

 

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このように、サポートエンジニアだからといってキャリアチェンジすることができないわけではない、ということはご理解いただけたと思います。一方で、構築そのものや運用そのものは、やっぱり経験しないとわからない部分もたくさんありました。ですから活躍するまでには、勉強の時期は必ず必要になります。ですから、強みを活かした上で新しいことを身に付けて行く姿勢。これがあるとすれば、あとはそこに早く飛び込んでいくだけの話だと思います。経験は必ず必要なら、時間が必要だからです。

もちろん、サポートエンジニア自体も、これだけソフトウェア中心の時代がやって来たのですから常に需要はあると思います。それを磨き上げるという手段もありつつ、キャリアチェンジしてもそれを強みに十分に私のように対応できる例もあるよ、ということをお伝えしたかったです。