orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

政府がアマゾンにITを丸投げする、という誤解を解きたい

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うーん、ITに詳しくない人が記事を書くとこうなってしまうのかという。

 

webronza.asahi.com

 

あたかも、ITインフラにAWSを使うとアマゾンに丸投げしているように一般大衆には受け取られてしまうように思える。

AWSなんて、単なる基盤であって、AWSがビジネスロジックを書くわけではないですよね。今起こっていることは、AWSじゃなくてアクセンチュアが上位コンサルしていることがポイントに当たると思うのですが。

そもそも、オンプレ時代だって。

OSはアメリカ製。

ハードウェアはアメリカ製。

ハードウェアの中身の部品はアメリカ製。

アメリカ製だけど、工場は中国や東南アジアにあるケースが多い。

そんな状態で、それを組み合わせてユーザーに提供していたので、基盤だけ注目すれば昔から外国に丸投げでしたよ。

日本独自のハードウェアなんてありゃしないです。

日本のSIerが構築する場合でも、結局ハードウェアやOSは仕入れてましたから、それが直接AWSから仕入れているだけに過ぎません。

で、結局そのインフラ基盤のレイヤーは、どのメーカーも性能も品質も同じになって、いわゆるコモディティー化してしまって、大量生産の薄利多売ビジネスになってしまった。だから、規模の経済を働かせるグローバル企業のものを使った方がいい、と言うことになるのです。

でも、本当の利益の源泉って、「どうシステムを作るか」のSI部分です。

そこは、日本のSIerの出番なわけで、今もって全く構造は変わっていません。

超上流でアクセンチュアがNTTデータの独擅場に入り込んできたからといって、そこから下の実装部分でもアクセンチュアが取れるかは厳しいと思います。なぜなら、業務を理解しているのは圧倒的に国内SIerだからです。

さらに言えば、アマゾンが業務プロセスの分解までやってくれるわけないでしょう・・。

とにかくインフラ共通基盤だけ先に決め、運用設計までやった後に、さあ今までのオンプレの既存システムをAWSで載せ替えるのは、さすがに国内SIerの仕事になるはずです。

なぜなら、(はっきりいえば)デジタルオンチの公務員たちと、膝を突き合わせて「共創」しなければいけないのが、SIの本質だからです。今はDXということばで置き換えていますが、やることは一つです。

しかしこのままでは、単にインフラ基盤がオンプレからパブリッククラウドに載せ変わるだけで、実装はまるで変わらない恐れがある。AWSで動きましたねパチパチパチじゃ、単なるインフラ基盤の移行案件になってしまいます。

その指揮を執るべきが、今後設立されるデジタル庁の役割です。各システムをAWS上でどう実装するかについて、横の連携を深めていかないと、相変わらずの縦割りシステムの乱立が続きます。

ですから、IT基盤、という言葉がまるで、SI全体を意味しているような誤解をしてしまうと、むちゃくちゃな推論になってしまう、ということですね。インフラエンジニアを担当して思うのですが、やっぱりSI全体においてIT基盤は大切ではあるものの、主役ではありません。家電製品における電力のようなもので、電力だけでは、何もできないのです。

残念ながらアマゾンに丸投げするから国内SIerが滅亡する、なんてシナリオは全然実現しません。そもそもAWSを必ず使うとも決まってはいません。IT基盤なんてシステム全体から見たら道具にしかすぎませんから、他の基盤だって必要に応じて使うだけです。それより、どう実装するか。今後、業界全体で真剣に取り組み、より良い仕組みを作り上げていってほしいと期待しています。