orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

ネット広告問題で大事だと思うこと

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とあるネット広告が問題に

今話題の、ネット広告の話です。

 

nlab.itmedia.co.jp

WebサイトやSNSを閲覧していると、さまざまなゲームの広告が目に入ります。

 美少女があられもない姿になる戦争ゲームや、知的好奇心をくすぐる独創的なパズルなど、どれもキャッチーな魅力にあふれて面白そう。しかし中には「戦うのは美少女じゃなくてモブ兵士」「パズルのシステムが広告と全然違う」など、実際のゲームと異なる印象を受ける広告も多いようです。

 “釣り”とも取れるゲーム広告に法的な問題はないのでしょうか。専門家や消費者庁に見解を尋ねました。

 

この件、去年から問題意識は持っていたのですが、言葉にしてみたいと思います。

 

考察

本件、2つの問題が混在していると考えます。

 

問題1)広告の内容がサービスに含まれていないから「詐欺的広告」と批判されている

問題2)広告の内容が不快と感じる

 

今回のねとらぼの問題提起は、問題1だけに焦点が絞られています。

しかし、私自身は問題2を問題視しています。私はこの広告を見たくないのです。見たくないにもかかわらず、このねとらぼの記事を見ただけで、はてなブックマークのページの下部に、該当の広告が表示されるようになってしまいました・・・。不快なのでスクリーンショットすら載せませんが。

まだGoogle広告であれば、閲覧者がこの広告を見たくないと設定することができます。これはGoogleにログインしているから使える機能ですね。

 

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しかし、例の広告は止める手段がないのです。見たくない広告を表示させない方法がないということの方が大きな問題。またこのような広告を規制する方向に業界が動くことの方が重要だと思うのですが、問題1(商品の内容を広告が違う)ことばかりに人々の意志が集中すると思い切り議論がずれると感じています。

そもそも、問題1が焦点となった場合、対策としては広告の内容に合わせたサービスをゲームに入れ込めばいいだけの話になってしまいます。それでは広告の表現は変わりません。問題1が解決されたところで問題2(広告が不快)は全く解決されません。

消費者側が二度と表示したくないと思っているのに、表示させない手段が用意されていない、という広告を出している広告代理店と、それを利用しているサイト運営者に問題意識がないというのが、今回の問題の焦点だと思います。

 

なお、問題1については解決が難しい話だと思っています。IT業界にいるとたくさんの商品やサービスがあり、日々広告を目にします。これは革新的だの素晴らしいだの。しかし実際に使ってみると全然違うじゃないか、なんてことは日常茶飯事です。広告とサービスが一致することを保証しなければいけなくなるとすれば、かなりの広告がリスクのある状態だと言えます。広告に対してユーザー側が「まあ広告だし、実際は違う可能性があるよね」ということでいきなり本番環境に商品を導入するのではなく、まずは実証フェーズを設けて評価することをします。広告を真に受けない態度も仕事をしていると培われるのですが、そもそも使ってもらわなければ何千万もする機器やソフトウェアは売れないので、広告段階で盛ってくるのはいたしかたないと言う態度です。選ぶ際には広告の美辞麗句に惑わされない保守的な態度は必要です。

過去何度か、痛い目に合いましたから・・。設計時に夢をみて運用時に現実を知る。派手な売り文句には注意が必要です。

 

さて、問題2(広告が不快)に話が戻りますが、「美少女」が広告のアイコンとして使われた場合の破壊力が、ビジネス的にすさまじい。そんな話を赤裸々にしてくれた記事を知っています。

 

www.gamecast-blog.com

2019年末、タイトル画面は美少女なのに、ゲームを始めるとリアル調のキャラクターが登場する謎のゲームに出会った。
タイトル詐欺というか、ローカライズで力尽きたというか。
その名も、『異世界で始める偉人大戦争(いじばと)』(1月19日にリニューアルし、『超偉人大戦(すーぱーいじんたいせん)』と改名)。

あまりにカオスすぎて、「どうしてこの状態で出せたのか」と思ってツイートすると、即座にRT数4桁を突破し大いに笑ったのだが……なんと、このツイートを見た運営さんから仕事の依頼が来てしまった。
しかも「なんでも語るから、好き放題書いて記事にしていいよ、ギャラも払う」と。
そして、実際に話を聞くと「リアルなイラストから美少女にしてプレイヤーが激増した」とか「他のゲームではありえない事件が起きた」とか、見た目以上に楽しく刺激的な話の連続だった……!

 

この「アイコンは美少女」を問題にし出すと、じゃあ展示会で資料を配っているキャンペーンガールはどうなんだと。テレビコマーシャルでアイドルを起用しているのは同じかと。今の深夜アニメの画風がほとんど似たような「美少女イラスト」になっていることから考えても、私企業が売上や利益の創出に縛られていることから考えてもいたしかたないのかな、と思います。消費者自身がこれを選んでいる。

ただし、行き過ぎた表現に対しては、どこかで歯止めがないと、それを不快だと思う少なくない人々の感覚を無視してしまうことにつながります。

今回の件、不快だと思うのならば広告ブロッカーを仕入れてきて、一切広告を見ないという風にしなければいけないとすれば、誰にとっても不幸になると思います。広告収入がないとサイト運営ができないのが実際なので、結果的に草も生えないということになってしまいます。

 

特定の広告を見たくない、を権利に

特定の広告を出したくないというユーザーの意志に対して、例えばWEBブラウザの方で画像認識を導入し特定の文字列が入っている場合は表示させない、なんて機能があったら好ましいな、と思っています。ユーザー側でミュートできるようにするのです。広告代理店が等しく、特定広告の拒否をさせてくれるようにすれば、安心なのですが。

例としてYahoo広告を確認してみると、特定の広告非表示の機能は実装しているのですがYahoo! IDでログインしないと使えません。広告代理店なんて無数にあるので、どれもこれもログインするわけにはいかないので、やはりブラウザ側のミュート機能はぜひとも欲しいところです。

ツイッターにも「この広告は見たくない」が実装されています。しかし、これもログインしているから使える機能ですが。

ということで、特定の広告を見たくない、ということをユーザー側でコントロールできるようになる権利。今後必要なのでは、と思います。