orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

オープンソース開発者にもっとお金が廻るようになれば社会はもっと良くなるという話

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発明しても対価が支払われないオープンソース開発者

世の中はすごくオープンソースのプログラムに依存しているのに、そのオープンソースの開発者には相応するお金が廻っていないという話です。

 

gigazine.net

ステンバーグさんは「オープンソースのプロジェクトから多大な利益を得ているのにも関わらず、その利益をプロジェクト自体に還元するのではなく、無料であることにつけ込んでいる人を見ると腹が立ちます」と語っています。こういった経験から、ステンバーグさんは「トラブル時に備えるために、企業は開発者に金銭を支払ってサポート契約を結ぶべきだ」と主張するようになりました。

 

確かにcurlコマンドを使うことにお金を支払ったことはないですものね。curlコマンドを一回叩くごとに0.1円でも支払われていたら、きっとステンバーグさんは億万長者になっていたことでしょう。

 

考察

まだブログを書いて広告を貼ってお金をもらうほうが、オープンソースを開発するよりまだ報われると思います。0.1円でも支払われていたら・・ということを実現するのがWeb広告の世界であり、大量にアクセス数を稼ぐことができればマネタイズも可能となります。Youtube然りで、Google社が個人にWeb世界にマネタイズできるプラットフォームを創り出したのは人類の大発明の一つだと思います。今のインターネットに情報があふれる現状はこの戦略あってのものだと思います。

オープンソースのマネタイズというのは大変険しいもののように感じます。使われることにお金を直接的に付随させる手段がありません。Githubのリポジトリにソースコードが置かれていて、それをさらっと持っていけば二度とリポジトリにすらアクセスする必要は無くなります。アクセス数で言えば「1」。ソースコード自体の公開なので試用制限を付けてもすぐにコード改変されてしまうだけです。プログラムの設計図、なんてソースコードを表現した新聞社もいましたが、ある意味正しくて、設計自体を変えられるのでこれを公開してしまったとき、利用者に課金することというのは相当難しいと思います。

私も、Githubに公開されているあるプログラムには非常にお世話になっていて、その開発者には少しでもフィードバック(金銭でお返し)をしたいのですが、まだGithub公式では正式には実装されていません。

 

www.itmedia.co.jp

米Microsoft傘下のGitHubは5月23日(現地時間)、気に入ったプロジェクトや開発者を経済的に支援するための新サービス「GitHub Sponsors」のβ版を発表した。

 

この仕組みは2019年5月に公開されましたがまだベータ版で、限定された開発者しか利用できていません。そもそも使い方がわかりにくい。GoogleのWeb広告を押すのはユーザーが自然にできますが、今のGithubにはそれがありません。

いわゆる「投げ銭」のようなことがオープンソース開発者にできるようになれば、開発者のモチベーションが上がることは間違いありませんし、生活が安定しプログラム開発に専念できるというものです。

日本語のヘルプもGithubは用意していますが、読んでも何を言っているかよくわからない。

 

help.github.com

オープンソースプロジェクトに貢献すれば、スポンサー付き開発者となって、作業に対する報酬を得られます。

 

プログラミングを含めたクリエイティブな活動は、作っていること自体に楽しみがあり、かつたくさんの人に使ってもらうことで感動できます。しかし、そればかりに頼ってマネタイズの部分が欠けていると、タダ働きを搾取する図ができあがってしまいます。マネタイズできないコミュニティーはある時期を機に衰退します。がんばりが生活の向上につながらなければモチベーションが下がります。この話が当てはまるのがニコニコ動画の例です。日本の才能のある動画クリエーターがニコニコ動画にたくさんいた時期がありましたが、今やYoutubeにごっそり動いてしまいました。これはYoutuberの仕組みを用意し、クリエーターが成功したときに巨大なマネタイズができることを提供したからです。

また、重要なのは、クリエーターはビジネスの専門家ではないということです。できればお金の煩わしい話からはできるだけ離れて、クリエイティブな活動に集中したいと考えています。クラウドファンディングを立ち上げて・・なんていうのはビジネスの世界で、お金集めをするために作品を作りたいのではないのです。生活が厳しいのにクリエイターを続ける人のモチベーションはそこにありますが、それを利用して搾取しようとする人もごまんといますから、オープンソースはその悪いマッチングから逃げられていないと思います。

アメリカのIT企業もそれは十分にわかっていて、マイクロソフトがGithubを買収したり、RedHatやIBM、Google等がオープンソースに寄付や活動を積極的に行うのもその裏返しかと思います。しかし、やはり為すべきは、クリエーターがあまり気を払わずともマネタイズが成立するスキームを社会全体で考えることだと思います。特に日本人は、オープンソースは「便利なフリープログラム」と考えてフリーライドする傾向が特に強いので、この誤解を解く仕組みが必要なのではないでしょうか。

日本人が、自然に開発者に投げ銭でき、その投げ銭の結果なんらかの特典を得る仕組みが必要です。

 

草も生えない日本の状況

余談とはなりますが、「ベクター」というサイトをご存知ですか?

 

www.vector.co.jp

 

これ、インターネットの草創期からあるフリーソフト/シェアウェアのサイトですが、もう古いプログラムの骨とう品サイトのようになってしまっています。

これが日本の現状なんだろうな‥と。結局作っても、お金が入ってこないので開発をやめてしまうのです。

「動作OS:Windows XP/2000」なんてプログラムがゴロゴロ落ちています。

日本にもたくさんの優れたプログラマーはいるのですが、シェアウェアという仕組みはもはや廃れてしまっていて、じゃあGithubで公開するかといってもマネタイズの仕組みも整理されておらず。そんな状況です。

Github Sponsorsがうまく立ち上がればいいなと思うのですが、ちょっと今のままではわかりにくく・・。ビットコイン送ってくれっていうreadmeも見かけるのですが、ビットコインの口座を持っているのもまだ一部の人に限られていますし・・。

たくさんいるだろう日本の技術者の才能がもったいないなと。

以上、オープンソース開発者にもっとお金が廻るようになれば社会はもっと良くなるという話でした。