orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

学生はAI人材なんて目指さないで

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AI人材を目指す学生は少数派

案外、今の学生は冷静だなあと安心しました。

 

www.itmedia.co.jp

いまの学生の中で「AI人材やエンジニアになりたい」と考える人は少数派――マイナビの調査で、そんな結果が出た。ビッグデータ分析やアルゴリズムの作成など、AIに関連した業務を行える人材の需要が高まっているが、企業側のニーズと学生の志望度には大きな乖離(かいり)があるようだ。

 

20年以上IT業界にいる私が思うのは、AI人材なんて目指すべきではないということです。

 

考察

AI人材は給与水準を上げてでも欲しいというニュースが飛び交っていますよね。

 

www.nikkei.com

 

ledge.ai

 

www.nikkei.com

 

mainichi.jp

 

www.nikkei.com

 

edtechzine.jp

 

ということで、こうなると、AI人材になれば高収入も!と思って飛び込む方も多いと思うのですが、IT業界のトレンドを考えてみますと、これはそんな生易しい話ではないと思っています。

結局のところ、人気のある職域というのはレッドオーシャンになります。競争相手がたくさん増えて、価格競争になってしまいます。マーケティング上、今が単に少ないから給与水準が高いだけであって、長い目で見て同じ給与水準が確保されるかどうかは非常に疑問符が付きます。教育環境が整備され、AIとは何かがはっきり定義され、誰でも習得しやすくなればなるほど、結果として競争相手が増え供給が需要を追い越し、価値が下がります。これは過去も繰り返されてきたことです。

このAI人材の怖いところは、AI領域が誰でも使えるようになったときに、他の領域で応用が利かないことです。もしAI人材として勝者でいるためには、AI市場を見極めその勝者となるプレイヤーに属さなければいけないということです。

一方で、AI自体はこれから開発が進み、誰でも使える道具になる可能性が高いです。今はAIは高い数学知識が必要とされ使いこなすためには周辺知識が必要です。しかしどんどん汎用化が進みます。

似たような例では、「データベース」があります。過去データベースエンジニアが重宝されていた時代があり、データベースを利用するためには高度な知識が必要でした。しかしデータベース側で設定の自動化が進み、例えばWordPressを利用するときに裏でMySQLが自動でインストールされ勝手に利用されます。そこでデータベース人材が登場することは皆無でしょう。また、AWSでは、Amazon RDSというサービスにて、データベースを構築するための構築スキルが大部分不要になり、Webからの設定を行うことで半自動的に利用できるようになりました。このように、便利なものはどんどん、利用が易しくなっていくものです。

今データベース人材で価値を保っているのは、OracleやMicrosoft、IBMと言った場所でDBMS自体の開発を行っている人材か、大型案件を手掛ける大型SIer、データベース専門に特化した企業ぐらいだと思います。どんなにDBMSに詳しくたって、スクラッチでDBMSを作ることなどしませんよね。

このように、便利な道具というものは時とともに汎化し、専門の人材ではなくても便利に使えるようになっていきます。

Linuxも、昔はインストールが大変だったけど、最近はほとんど一本道で終わります。いろんなことがそうなっています。どんどん専門家じゃなくて良くなってくる。

私はインフラエンジニアですけれども、AIがこれだけもてはやされると、AIの核の部分は「AI人材」に任せるとして、ユーザーとしてどのように振る舞えばAIを使いこなせるかに注目しています。高度な技術でAIを一から作る必要など全くないのです。ソフトウェアとしてのAIに注目し、わかりやすいAI、親しみやすいAIが出てくるのを待てばいいだけです。それは、WindowsがWindows 95で爆発的に普及したように、スマートフォンがiPhoneで急激に広まったように、ユーザーとしての沸点はもっと先に訪れます。今はまだまだ使いずらいから、これだけ高度な知識を持つAI人材が人気になっているのです。

その親しみやすい、キラーソフトとしてのAIが未来に出た時に、それだけを使える人は価値は限られてしまいます。今あるシステムエンジニアとしてのフィールドにAIを結び付け、実装を拡張できる人が最も価値を生むと思います。

もしくは、OSSとしてキラーソフトが出る可能性もあります。そのときはそこで勉強をすればいいのです。

技術そのものと、技術を活かして何を実装するかは、全く別物ということです。

 

まとめ

ということで、少し冷ややかにAI人材について眺めてみました。

今日、日経xTECHでAI人材の必要性について木村氏の記事が投稿されています。

 

tech.nikkeibp.co.jp

 

論点は似ていると思います。AI人材なんていうカテゴリーを作ってそれだけのスキルセットを作ろうものなら、汎化したときに周辺のスキルセットから便利な能力だけ奪われ、行き場を失うのではないか、ということです。おそらく本当のAI人材は、巨大な資本力を持ったグローバル企業が自前で教育するでしょう。きっと、もっと便利で市場を席捲する出来上がった専門家でなくても使えるAIツールが出てきますよ。本当のAIブームはそこからだと思います。もし今の時点で使いやすいAIツールがあるのなら、とっくの昔にいろんな場面で実装されているはずですから。

ということで、AI人材?が作ってくれた便利なAIを、どうやればビジネスに使えるか日々情報収集をしているところです。学生は、AI人材なんて奇手を選ばず、まっすぐシステムエンジニアリングやプログラミングを学んでいけばいいと思います。狭義のAI人材縛りで道を見失いませんように。