orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

ロスジェネが新人/若手を育てるために考えるべきこと

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ロスジェネと新人

もうそろそろ連休も7日目に差し掛かり自分が仕事していた時のイメージが薄れかかってきました。こんなに連続で休むのは社会人になってから記憶がありません。ということは約20年ぶり。

せめてブログの中では仕事を思い出そうということで、いろいろとGW中の記事を見ていると新人教育の話もちらほら出てきます。

こんなに時間があるので、ロスジェネが新人/若手を育てるときに気を付けることをまとめておきます。

 

考察

まず大前提として、もう親子ぐらい年が離れているということです。大卒であれば23~24、私は四十代半ば。絶対的に世の中への価値観が違います。学校に通っていたときの経験も全く変わっています。異世界転生ものだと思ってください。

だから、「自分が新人のときに教えてほしかったこと」という目線はやめましょう。その新人はあなたの二十年前ではありません。そこが誤っていると、やることなすこと全てうまくいきません。あなたが正しいと教わってきたことが、間違っていると教わっている可能性もあります。その逆もあります。

そのうえで、自分が育っていったプロセスをトレースさせようとしてはならないのです。スタート地点が違います。同じ富士山に登るにも静岡コースと山梨コースでは違う準備が必要です。

 

まず大前提を置いたうえで、最も大事なこと。仕事において正しいプロセスというのは存在します。これを「二十年間の経験」などと表現してはなりません。今の現場で正しいとされていること、それだけに集中してください。もし管理職やリーダーだったら、徹底しているルールそのものは、きちんと教育することは必須です。つまり、車の運転を教えるときに、道路交通法の歴史なんてものは不要です。今の道路交通法だけ教えればいいんです。だから、「自分が若いときは・・」という論は不要も不要。大不要です。覚えなければいけないことが二十年前から数倍増えていて、しかもあなたはそれを二十年かけて覚えてきたわけです。一、二年目の彼らが、数時間講釈をしたところで身に付くわけがない。しかも、ロスジェネはどブラックでひいひい言いながら覚えたことばかり。今はホワイト労働で、口頭で授業しても響かないのです。繰り返しますが異世界の人々です。まずは、今のルールに集中すること。今のルール以外のことは持ち出さないこと。これが重要です。そうじゃないとルール違反です。経験の豊富さで彼らを「マウント」してはなりません。

 

次に。あせらないこと。ロスジェネには標準装備で「危機感」という機能がもれなくついてきました。隠れて勉強した思い出。残業してでも業務量を稼いだ思い出。それは「危機感」が発動したのです。ロスジェネはそもそも部活動でも受験戦争でも競争が熾烈で、危機感を植え付けられる教育をされてきました。しかし、今はオプションとなっています。すべての新人/若手がそうだとはいいませんが、学校制度が絶対評価となり個性を重視するようになり、状況が大きく変わりました。一方で危機感を持たないと競争社会にて優位に立てないというのはロスジェネ世代がとてもよく知っていることです。だから新人/若手に危機感をあおりたくなるんです。でもね、あせったらだめです。何をするべきかというと、「働くことの楽しさ、面白さ、そして厳しさを教えること」なんです。彼らもそれらは知識としては聞いてはいるのですが実体験したことが全くないのです。加えて危機感がないのですから、短い間にロスジェネが持っている仕事への情熱を伝えるのは無理だとあきらめてください。でも、彼らと一緒に仕事をじっくり共有し、成功したときに彼らと共感しあえば、絶対に伝わります。

彼らに、怒っても何も響かないんです。厳しさを伝えるとしても、その内容を落ち着いて話す必要があります。エモーションが重要だとしても、それそのものをぶつけるのではなく冷静に対等に話をしてください。彼らの人格を尊重してください。そうしているうちに、ロスジェネが一番伝えたかった、「働くことの楽しさ、面白さ、厳しさ」がある程度の時間をかけて共有・醸成されていきます。我々は、筋骨隆々の先輩からムチで叩かれ大声で怒鳴られて教わりましたよね。それがもうダメ。その発想が禁止。コンプライアンスうんぬんではなく、非効率的で非生産的で望みがないやりかたです。異世界ファンタジーです。

例えば、こういうことをやってはいけないという極端な例。

 

www.fukuishimbun.co.jp

 兵庫県朝来市立梁瀬中で昨年8月、女子バスケットボール部の練習中、見学していた保護者の40代男性が部員4人をたたく体罰をしていたことが17日、市教育委員会への取材で分かった。

 市教委によると昨年8月、体育館で練習中に女子部員14人が顧問の男性教諭の近くに集合。ふがいないプレーに怒ったとみられる男性が近づき、自分の子どもを含む当時3年の4人に「外で話し合ってこい」などと言いながら側頭部を平手打ちした。顧問は止めず、学校に報告もしなかった。

 

ロスジェネ世代は自分たちがこんなことやられているんです。でも、我々がやっちゃあいけません。厳しさを知って欲しいなら、冷静にその事実を共有し彼らの人格を尊重しなければいけません。

 

大事なことはそれだけ

実は私が言いたいことは、以上です。「報連相は?」「進捗管理は?」「主体性は?」・・これは、実は「働くことの楽しさ、面白さ、そして厳しさを教えること」ができれば全てあとからついてくるものです。

現場のルールはすでに最適化されているでしょうし厳しさもあると思います。これをチームで遂行し、そこで起こる様々なストーリーを経験しているうちに、新人/若手に身についていきます。しかし、楽しくもないし面白くもないし厳しさもわからない、そんな状況で、「報連相!進捗管理!主体性!」なんて言ってもなあんにも響かないんです。響かないまま不協和音をいくら立ててもモチベーションは上がらない。そのうち新人が退職していくというストーリーが多発するのはしのびない。

新人教育関連の記事を見ていて、大前提から誤っているような話が多いなと思い記事を書いてみました。このジェネレーションギャップの話ってほとんどメディア記事になっていませんよね。私の半径50メートルを参考にまとめてみました。今年度から新人/若手と接する方も多いかと思いますので参考にしてみてください。

彼らとは、対等に接し人格を尊重しましょう。時代は変わったのです。遠回りをしませんように。