orangeitems’s diary

クラウドで働くエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

ブラック企業が中高年引きこもりを引き起こしたという説の現場を見たことがある

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中高年引きこもりは、ブラック企業が引き起こした

中高年引きこもりが社会問題化していますが、その原因はブラック企業にあったのではないかという説です。

 

news.yahoo.co.jp

長時間労働・低賃金の働き方が蔓延する日本社会では、たとえそれらが違法な水準であったとしても、多くの人びとが未払い残業代の請求などの正当な権利を行使することができず、「我慢」して働いている。

 その結果、過酷な働き方が「標準」になってしてしまっているのだ。それどころか、異常な「標準」に耐えることが正しいこととされ、心身の健康を損なうまで働き続けてしまう人が後を絶たない。

 そして過酷な労働に耐えられなかった人たちに対して、「異常者」/「障害者」/「病気」などのレッテルが貼られる。

 こうして、自分は「社会不適格者」なのではないか、「どこにいっても上手くいかないのではないか」と自分を責め続け、社会に戻ることが難しくなっていく。

 

この話、実際に同様の状況を見たことがあるので、かなりの説得力を感じました。私の体験をシェアします。

 

私の経験から

今はブラック企業という言葉も一般化し、異常な勤務環境であると気が付きやすくなっていると思います。

しかし、2000年~2010年くらいまでのIT業界は本当にひどいものでした。

ブラック企業、なんてわかりやすい構造ではなく、ブラック偽装請負がはびこっていました。キーワードはSES(SEサポート)という契約形態です。

顧客のオフィスに常駐するのですが、派遣契約と違い顧客と直接の指揮系統は結びません。技術をサービスとして提供する、の体を取るので、顧客は常駐しているSEの勤怠を管理しなくてもよいのです。

ただ、しなくてもよい、のであって都合よく顧客は勤務時間を報告させていました。少しでも勤怠が優れないようだとすぐに自社の営業を呼びつけて長時間の説教です。直接指示はできない前提なので、遠まわしにクレームを入れているつもりでしょうが、かなりのプレッシャーを受けることになります。

この体系で数十人が顧客のオフィスに常駐していたのですが、 あるメンバーの勤務表を見て驚きました。残業が200時間を超えているのです。勤務時間ではありません。残業時間です。

・毎日6時間残業(終電ダッシュ)
・土曜あるいは日曜に休日出勤15時間

平日が22日、土日が8日だとして、22 x 6 + 4 x 15 = 132 + 60 = 192時間。

これでも200時間いかないのに、彼は超えていたのです。

こんな激務、誰が責任を取るのでしょうか。彼は実は自社の社員ではなく、自社の下請けでした。自社と下請けの会社もSES契約であったので、もはや自社の営業も顧客からクレームは受けても200時間の彼には直接指導できません。下請けの営業に伝えるだけです。

これが多重請負・偽装請負と言われる問題の本質で、実際に誰も責任を取らない野戦場と傭兵の集まりでした。しかもITの最先端であるデータセンターの中で起こっていたのです。

私と200時間の彼はそれぞれ顧客の別部署に配置されていたので直接手を出せず、どうにかならんのかと彼に直接会話してみたものの、どうにもならんと。また、大変じゃないのかと聞いたけれども、大変だけど大丈夫ですと。自分の会社は何も言ってこないのかと聞くと、そもそも残業代が出ませんと言われました。

もう、すべてがめちゃくちゃであり、200時間の彼はおそらく悩む時間も与えられなかったと思います。私はリーマンショック絡みで早めに撤退したので彼はどうなったのかわからないのですが、まだその時彼は若かった。若さで乗り切っていたようにしか見えません。彼は非常に素直で、従順な戦士でした。

しかもSES契約、顧客とは月間労働時間の超過分は別途精算することになっていました。だから、200時間分の残業代はそのまま支払われ、自社や下請けの売上に加算されるのです。しかし、末端の彼の会社からは残業代は支払われない。

同じ現場で、ある朝出勤してみると、救急車が止まっていました。存じ上げないSEが通路で横になっていて、人だかりができていて、救急隊員が担架で運び出すところでした。朝、顧客の社員が出社したらもう倒れていたそうです。

命には別条はなかったと聞いているのですが、救急隊員が去った後、何事もなかったかのように皆、いつ終わるかわからない仕事を始めたのが印象的でした。

そんな狂った現場が、たくさん、たくさんあったんです。まだ仕事に就けるだけありがたいだろう、と。

その時流行した言葉が「自己責任」でした。現場を選んだのは自分。その現場から逃げないのも自分。その現場を楽にできないのも自分。・・。

顧客が悪だとは言いますが、顧客の社員も同じような勤務状況でした。みんな、みんな狂っていたと思います。

 

長時間労働は人を狂わせる

昨日書いた記事でも指摘しました。

 

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かの中国ですら、996.ICUです。毎日午前9時~午後9時、週6日勤務を続けると、ICU行きになる、と。もっとひどい状態だった2000~2010年のころに、ぼろ雑巾のように使われたSES戦士たちは、たくさん働けない状態になっているのではないかと直感的に思いました。

たまたま私に被弾しなかっただけだな・・と思った次第です。

 

追記

続編です。

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