楽天と5G
楽天の5Gに対する動きが鮮明化してきましたのでまとめておきます。NTTドコモ・AU・ソフトバンクは、3G/4Gの資産について1年でも有効活用したいと思うでしょうから、きっと5Gの動きは思いのほかゆっくりだと予想しています。一方で、楽天は5Gのスタートラインと同時に事業化のタイミングがやってきましたので、身も軽いと思います。一方、立ち上げは世界初とも言えるアクションなので、非常にチャレンジが多いと思いますが、成功すれば先行者利益をぐっとつかむことができます。
ニュース記事
ITMedia
楽天の三木谷浩史社長が「MWC19 Barcelona」において基調講演「The Next Generation」に登壇。楽天モバイルネットワークがMNO(キャリア)として2019年10月にサービスを開始する際に活用する、ネットワークシステムについて紹介した。
楽天の5G先鋭化がもっとも表現された記事です。クラウドとは言いつつ、AWSやAzureのようなパブリッククラウドではありません。プライベートクラウドと表現したほうがふさわしいかと思います。ただし全てがx64の汎用サーバーで組み上げられるということで、膨大な既存のソフトウェアやサービス資産と簡単につなげられるということになります。モバイルネットワークがいわゆる仮想化環境で動くというのはコスト面を考えても活用の幅を考えてもこれまでとは比較にならない可能性を持っていると断言できます。
この記事の中で、今の時代では絵空事に聞こえるようなビジョンも、確実に5Gなら実現しそうと言われていたことばかりで、かつ設備をすでに手に入れつつある楽天はポジション的に日本ではブルーオーシャン(競合相手がいない)と思います。
ローンチに向けてかなり現場は盛り上がっていると思いますが、ここまでのスペックだとまずは私もファーストユーザーとして体験してみようかなと思っています。パブリッククラウド側にいる私としても、様々な新しいビジネスが生まれるだろうと思います。特にエッジ側(端末)にクラウド経由でリッチにつながるとなると、この記事のようにサーバー側にいろいろさせてその結果を送ってあげたくなりますね。まずはコスト面がどこまで激変するか・・。
Impress
レッドハットは、楽天モバイルネットワークの携帯電話事業向けに、ネットワークを構築すると発表した。
レッドハットと楽天モバイルネットワークの協業では、汎用サーバー上の仮想化環境でネットワーク機能を実行するNFV(Network Function Virtualization)クラウドが構築される。NFVクラウドはシスコシステムズがインテグレーションし、データセンターからエッジコンピューティングまで展開される。
これも最近のニュースですが、RedHat Enterprise Linuxに、OpenStackに、Cephという、コッテコテのオープンソースの上で動く5G。4Gまでの通信機器会社って、もしかするとかなり業界地図が激変するのではないでしょうか。これまで通信の世界でRedHatなんて結びつきませんでしたからね。
engadget
2019年10月に自前の設備による携帯電話事業を開始し、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに次ぐ「第4のキャリア」となる楽天。2月12日に実施した決算説明会の中で、そのネットワークの特徴が紹介されました。
通常、携帯電話の設備には、基地局の制御装置や、その上流の「コアネットワーク」と呼ばれる部分を構築するため、多数の専用の装置を用意する必要があります。楽天はそれらの機能を汎用のサーバー上で再現する「仮想化」と呼ばれる手法を多用。コストを抑えて更新しやすいネットワークを設計しています。
こちらの記事は上の2つの記事を読んだ後だと、とても分かりやすい話です。インフラ基盤は汎用サーバーの上にレッドハット社の仮想基盤で、その上はアルティオスター社のソフトウェアで、と考えると納得がいきます。
ここに来て狙いがはっきりした楽天のモバイル戦略
楽天は大多数の人がキャリア参入には懐疑的で、株価も低迷しています。しかし、最近の発表やその内容、プロジェクトの進捗状況を見ると非常に期待できそうです。むしろ「聖域」とされてきた3社寡占の日本のモバイルが、一気に楽天がゲームチェンジャーとなってひっくり返す可能性が「ある」と思います。それぐらい、楽天が5Gのために準備している技術類は世界で最も洗練されているし、各国の通信会社が注目しているのもよくわかります。
ローンチを楽しみにしておくと同時に、各種技術記事に注目していきます。