orangeitems’s diary

クラウドで働くエンジニアの日々の感想です。

今のSIer、共創って言いがち説

f:id:orangeitems:20190204220931j:plain

 

共創

どこのSIerに行っても、話題は共創(きょうそう)。取りつかれたようにみんな共創、共創。どうしてしまったんでしょうか。ベンチャーは共創なんて言葉語りませんよね。決まってSIerです。これからは共創の時代だと。お客様と共にデジタルトランスフォーメーションを考えて一緒に創り上げていく。通り一辺倒の要件定義から始まるウォータフォール型開発はもう限界だと。これだけデジタル技術が高度化すると、そもそも顧客側すら要件を思いついていない。でもIT投資予算はあるから各社提案してほしい、というのは古い。だから、ビジネスモデルの部分から含めてSIerの上流に位置するコンサルタント部門と一緒に、お客様の経営に近い層と時間を共有し、新しいデジタルならではのビジネスモデルを共に、創ろう。これが共創です。私でもこの営業はできそうな気がします。だってどのSIerのイベントに行っても必ず同じことを言うんですもの。

 

なぜかカフェっぽい部屋で

この共創という概念。SIerの本社オフィスを改造して、カフェスペースみたいなところを作って共創ルームみたいな場所をこしらえるのがテンプレートになっていますよね。

 

www.projectdesign.jp

会社の部署間の垣根を超えて、あるいは社外の企業や個人とともに、オープンな空間でアイデアを出しあい、イノベーションや新しい価値創造を目指す「共創空間」が注目を集めている。

「フューチャーセンター」「クリエイティブオフィス」「オープンイノベーションラボ」「コワーキングスペース」「ファブスペース」と、その空間に付けられる名称はさまざまだ。欧米では、IBM、アップル、グーグルなどのグローバル企業が従業員の創造性を引き出すためにクリエイティブオフィスをデザインし、政府機関などでも未来のための価値創造の場としてフューチャーセンターを運営している。

こうした動きは日本にも波及し、グローバル化のなかでイノベーション創出を求められる企業や、地方創生や起業家育成を目指す自治体などが、共創空間を相次いでオープンさせている。

しかし一方で、空間はつくったものの活性化しない、アイデアが出てこないという悩みの声も多いようだ。

「活発な共創空間はどのようにデザインすれば良いか」。そんな興味深いテーマで、クリエイティブ・エージェンシーのロフトワークが主催するイベントが開催された。共創空間づくりに取り組むパナソニックや富士通などの大企業の担当者や、空間設計の専門家などが登壇し、活発な議論が行われた。

 

どうにも、海外から輸入した文化のようで、日本の役所みたいなSIerのオフィスにこしらえたものですから相当に違和感バリバリという状況のようです。

そういえば国内SIerの代表格であるNECもチャンレンジするらしく。

 

cloud.watch.impress.co.jp

ちなみに、NECでは「共創」を商標登録しているが、「共創という言葉を独占するものではなく、幅広く活用してもらう」(同)ためと説明している。

 

あの田町にそびえるNEC本社ビルの中に、なんとか雰囲気を壊さないように慎重にデザインされた感じは受けますね。

共創という登録商標をNECが保持しているのも今回始めて知ったのですが、やっぱりSIerと共創と言う言葉は密接だよなあと感心しました。

なお、個人的には、日本人にカフェスペースでのディスカッションは気質的に合わないんじゃないかなあとは思いますけどね。

 

共創についての現状認識

これまでのSIって、ユーザーのビジネスモデルがまずあって、そのプロセスの一部をシステム化して自動化することで生産性を上げようというものばかりだったんですね。だから日本のSIは、海外と比べてカスタマイズがやけに多いことで有名でした。ITにビジネスを合わせることは無しで、ビジネスにITを当てはめるので独自のシステムが出来上がります。したがって、構築したシステムはなかなかリプレースするのが大変になります。カスタマイズの塊ですから。システムを更改するたびに要件は雪だるま式に広がり案件は大規模化。だんだんユーザー側もわけがわからなくなって、最後はベンダーに丸投げになりIT予算といえば保守予算がほとんどと揶揄されるまでになりました。

で、こんなこと日本も続けていたら、ビジネス自体をIT前提で考えたビジネスモデル、これが既存の業界からみると「破壊的ビジネスモデル」を持ってこられて、途端に既存の業界のシェアトップは売上を持っていかれて最後は破綻してしまう。こんなことがいろんな業界で起こっていて、保守的なユーザー企業もうかうかしてられないというのが今起こっていることです。

破壊的ビジネスモデルがやってくる前に、既存のユーザー企業自身が一からIT前提のビジネスモデルを作り上げてイニシアチブを取るべきなのですが、そもそもITの知識が全然ないぞってんで、SIerが、「共創!」「共創!」って騒ぎ始めているわけです。もしかしたらSIerも破壊的ビジネスモデルの創出にかんで、一緒にレベニューシェアできたらWin-Winです。

ただ今のところ、確実に変わったのは、カフェスペースがSIerの一角にできたことぐらいな感じで結果を出したところはまだまだ少ないと理解しています。

共創で結果を出したと各SIerが言っている実例を見ても、単なるSI案件の延長ばかりです。そもそもユーザー企業側が、これまでの企業文化を自己否定するようなビジネスモデルをSIerと組んで世に出して、破壊的に市場をなぎ倒すなんてことが起こったら、もう消費者の我々にもニュースとして耳に聞こえてくるはずですからね・・。単に協力することを共創という言葉で拡大解釈しているような認識です。

だいたい、営業が新製品や新サービスをお客様に紹介したら、「もしかしたら、こんなことに使えるかい?」とお客様から相談があり、それを営業が技術と協力して提案書を作りプレゼンしたら、「いいね、やってみよう。まずはPoC(概念実証)から」みたいなことって、大昔から普通の営業活動ですからね。広い意味ではそれも共創なんだと思いますが。

本来の共創とは、ビジネスプロセスをデジタルを元に一から作り直すことなのです。これが、今の狂騒、いや共創というキーワードの乱立を生んでいると解釈しています。

 

大事なことは

今のままでは共創はバズワードで終わります。

ユーザー企業+SIerで、世の中があっと驚く破壊的なビジネスモデルを成功させる必要があります。それができなければ、単なる営業活動の言い換えにしか過ぎません。単にAIを使うことやIoTを使うことは今までのSIの延長です。ビジネスモデルの構築までたどり着くことが大切です。

あのカフェスペースが世の中を劇的に変える何かを生み出す機会になればいいなあと思いつつ、本当に日本人はデジタルファーストにシフトすることができんのかいなとものすごく懐疑的です。

国会議員が代表質問するときに、タブレットを使おうとしたら咎められる国ですからねえ。