orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

データが導く時代は来るが大失業時代は来ない

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ビッグデータの時代で大失業時代がやってくるか

ビッグデータによるデータ解析スピードが劇的に向上したことで、真実を発見するプロセスが大きく変わるのは二日前のエントリーで書いたばかりですが、だからといって大失業時代が来る!という煽りには全く賛同できません。

 

toyokeizai.net

ここの読者はそうでないことを願いますが、多くの日本人サラリーマンは同様にFB、アマゾンなどによって職を失うことになります。

 

まあ巻末のスプリンターズステークスの予想が大外れですので、この記事も外れるかな、というのは軽口ですが、なぜ外れるかについて私なりの見解をまとめておきます。

 

ビッグデータを集めるのは誰か

まるでGAFA(google/amazon/facebook/apple)が世界のデータを牛耳っている印象を持つ記事ですが、これは違います。世界のデータ量から言えばほんの一部も一部。表層に見える部分をサマリーしているだけです。データは、そのデータがアウトプットしないとストレージにはインプットできません。その足を延ばすために、Amazon AlexaやGoogle homeなど、非PC/非スマホデバイスを作ったわけですが、それでもほんの一部にしかすぎません。データは99%以上がプライベート(非公開)です。インターネットにあるデータはノイズやウソの塊です。本当の情報にたどり着くことが難しいのは、例えばシステムエンジニアであればよくわかるはずです。検索して正しい情報にたどり着くためには、何個か候補を見出し、そのなかで最善なものを一度試して正しか検証するでしょう。検索順位というのは「多数決」でありGoogleが正しさを保証してくれているものではありません。ノイズもウソも含めて「情報」という素材でありその順位を決めるアルゴリズムを考えているGoogleは素晴らしいのですが、一歩引いて考えるとそのローデーターは、「公開されていいもの」から成り立っているにすぎません。繰り返しますが、データは99%以上が非公開です。しかもこの非公開のデータに限って、正規化されノイズの無い状態ですぐに利用可能なものです。

インターネット上にあるデータを生データとしてビッグデータとして扱うのは、GoogleだけではなくTwitterも有名なところです。そしてその非公開なデータにうまく入り込んだのがFaceBook。ただ非公開と言ったって、親しい仲間の間でやり取りされる情報、というくくりであって、ビジネス上の機密データなどは入り込むスキがありません。インターネットは世界の縮図と考えるのは、インターネットに夢を見すぎでしょう。

一方で、そのプライベートデータをビッグデータと呼べるほど一企業がデータを保有しているのかという心配のニュースも出てきました。

 

www.nikkei.com

日本の主要企業の6割が人工知能(AI=総合2面きょうのことば)運用に欠かせないデータ活用で課題を抱えていることが分かった。製品やサービスの開発、事業開拓などAIの用途は新たな分野に広がりつつある。だが必要なデータが不足していたり、データ形式が不ぞろいで使えなかったりと、AIの導入に戸惑う事例も多い。

 

こんな状況で、「大失業時代」というのは話が飛躍しすぎです。電車の改札が自動改札になって失業率が上がったのでしょうか。そろばんが計算機になりそしてEXCELになりクラウドになり、経理の仕事はなくなったのでしょうか。自動化された結果その職種に関わる人数は減るのですが、上がった生産性をもとに別の課題が与えられるようになります。人間でしかできない仕事に人々が誘導され続けているのがこれまでの歴史の鉄則であると思います。昔あった仕事は今ない、と言うケースは多いかもしれませんが、昔ない仕事が今あるケースも多分にあります。ある職種が無くなるからと言って大きな心配はいりません。別の職種が生まれます。ビジネスの中心は必ず人間であって、人間のないビジネスは存在しません。データ中心主義になればなるほど、どうやってデータを集めるかたくさんの人間が知恵を絞ることになり、そしてその結果が正当であるようにまた、人間が関わることになります。またそのデータそのものの性質も時代により移り変わり、それを人間がコントロールしなければ、無価値の結論が出てくるだけです。

 

変わることを恐れない

ビッグデータを人間が扱える能力を持って全く時間が経っていません。したがって、今はGAFAに富を集中させた世界ですが、未来を知っている人は誰一人いません。データの保全はもはや国防であると世界が気付き始めています。だんだん情報鎖国のような政策も出てくるでしょう。冷静にビッグデータとの付き合い方を図りながら、人間がよりよい生活をできるようになるためにはどうすればいいか、個人一人一人が考えていく必要があると思います。そんなに怖い話ではないのです。私はそう思います。

 

 

the four GAFA 四騎士が創り変えた世界