ロシアがサイバー攻撃?
政治の世界と、インターネットとはどうしても切り離せないことを感じさせられるニュースです。
米英仏によるシリア空爆でロシアとの対立が深まる中、米国土安全保障省(DHS)と米連邦捜査局(FBI)、および英国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は4月16日、共同技術アラートを発表し、ネットワークインフラ機器を狙ったロシアのサイバー攻撃に対して警戒するよう呼び掛けた。
1つ気になること
ロシアはITの世界ではあまりなじみがないと思っている業界関係者も多いと思うのですが、1点、大きなシェアを持っているロシアと関係の深いプロダクトがあります。Nginx(エンジンエックス)です。
Nginx自体はWebサーバー市場の中で最近実力をつけ、かなりの商用環境で使われるようになったサーバーです。
World Wide Web技術の調査を行うW3Techsによると、Webサーバーソフトウェア市場においてnginx(エンジンエックス)の成長は目覚ましいものがあり、2010年1月時点のシェアは3.9%でしたが、2012年に10%に到達。2014年までにMicrosoft Internet Information Services(IIS)のシェアを抜いて、2017年にはとうとう33.3%にまで至りました。nginxは開発者のIgor Sysoev氏が2002年から開発を始めたソフトウェアで、ロシアで76.8%という圧倒的なシェアを誇るほか、旧ソ連の国々やアジア、アフリカ、南米でもシェアを抑えています。
Nginxは、現在、アメリカ・サンフランシスコの企業Nginx, Inc.が管理をしている、BSDライクライセンスのオープンソースソフトウェアです。アメリカ企業が管理している体となっているので気が付かないのですが、結局Nginx, Inc.のCTOとしてNginxの生みの親、Igor Sysoev氏が在籍しています。ロシアの方です。
来日中の、Nginx.incのCEO、Gus Robertson氏、CTOでNginxの開発者でもあるIgor Sysoev氏、ビジネス開発担当のAndrew Alexeev氏の3人がユーザー会に登壇し、日本でのコミュニティ活動に期待する発言が相次ぎました。
CEOのGus Robertson氏はアメリカ人、CTOのIgor Sysoev氏がロシア人という状況で、今後Nginxの開発がどうなっていくのか興味を持っています。
ホームページを見る限りは、まだCTOとしてご活躍されているようです。
アメリカではNginx離れも
もしかすると、ロシアがらみのリスクを警戒して、Nginxか離れるユーザーもいるのかなと思っていましたらこんな記事が。
2月はMicrosoftがシェアを伸ばし、Nginxがシェアを減らした。Nginx減少の要因に、一部のサービスで他のサーバへ移行したことがあるという。
右肩上がりで上がってきたNginxが今年に入って初めてシェアを落とすというのも、何か政治的な動きを感じてしまいます。Cloudflareという会社をここでも聞くとは思いませんでしたが。
カスペルスキーしかりですが、ロシアがらみのソフトウェアは地政学的リスクがあり、例えば現在のクラウド環境は、AWS/Microsoft/Google/IBMなどアメリカ企業が基本なので、ロシアが絡むソフトウェアに対して何か規制が入る可能性も否定できないと思います。
<米政府は、連邦機関に露カスペルスキー社のソフトが安全保障上の脅威だとして使用禁止を通達。カスペルスキーは巨額の損害を被り、プーチンは報復を匂わせる>
ということで、まさかNginxに飛び火するとは滑稽な、と思う人もいらっしゃるかもしれませんが、ZTEの件しかり、実行力が半端ないトランプさんなので、警戒だけはした方がいいと思います。